昼食をとったところからの続きです。
2016年9月16日(金)
昼食をとり、猫とも別れ、周囲の探索を再開します。
街の門を出てから道なりに進んできましたが、街から門を出て左側はどうやら降りられそうになっていたため、気になっていたのです。右側は妙な形に切り立った岩場になっており、まるでカナタが鈴の音を追って、立っていたあの岩場のような場所のように見えますが、ひとまずこちらは後回しとし、階段を下っていきます。楽しみは取っておくタイプなのです。
こんな景色を見せつけられては下りられずはいられないでしょう。
階段を下りるとそこは登山道のように整備されておりました。
ここから僕の遠足が始まります。
こういった案内もたっているので安心ですね。読めないけど。
僕が目指す方向は右ですので、一応その方向に何が待っているのか確認しておこうと案内に近づいたのですが、当然のように案内板にはスペイン語しか表記がなかったため、僕は呆然と立ちすくむしかできなかったのでした。
とかなんとか適当書いても良かったのですが、実際には冷静に携帯を取り出し、Google翻訳を駆使して案内板を解読していました。便利な時代になったものですよ。
さて、この世の叡智の結晶たるGoogle翻訳様によると、「Presa de Las Grajas」とは「ラス・グラハスのダム」、つまりこの先にはダムがあると看板は言っているわけですね。
ダムと言えばカナタが沈んだのもダムのような場所でしたね。もしかして、この「ラス・グラハスのダム」こそがあの場所のモデルなのか?看板を見ると2.7km50minと書いてあります。この遠さから調査がされていなかったために判明していないだけで、行けば何か分かるのでは?看板ひとつからどんどん妄想が膨らみます。時間はたっぷりあるのです。だらだら歩くよりも目的地の一つでもあったほうが楽しいに決まってます。地図などありませんがダムなら川沿いに進んでいけばいずれ突き当たるでしょう。
道中。のどかな道で遠足気分。
案内板が指す方向にはこのような道が続いていました。ただし、大部分は写真のように整備された道となっていたのですが、場所によっては「これって獣道なんじゃないの?」と、思わず疑いたくなるくらい草木が生い茂っている場所もありました。あまり見たことのないタイプの実をつけている木もありましたが、残念ながらヤマモモはなっていないようでした。
崖下に来たことを実感させる一枚。
草木が生い茂る場所ではどうしても下を向いて歩くことが多くなってしまうのですが、たまに顔をあげるとそこには広大な自然が広がっています。切り立つ崖などを見ていると、自分が崖下におりてきたのだと強く実感できました。
カナタ達が遠足で訪れた場所に似ているような気がする。
しばらく歩いていて思ったのですが、ここはどうも5話でカナタ達が遠足していた場所に似ているような気がします。切り立った崖に緑の斜面、所々に現れる大きな岩がどうにもそんな気分にさせてくれます。特徴的な建物などがあるわけではないので確証はもてませんでしたが、そう思って歩いていると、この光景がより素敵なものに感じられるのでした。
後々に調べてみると、カナタ達が遠足で訪れていたり、アーイシャを発見した場所のモデルとされているのは、クエンカ山地自然公園の「シウダ・エンカンターダ」だと言われているそうです。確かに作中にもでてくる特徴的な逆円錐形の岩群は、シウダ・エンカンターダにあるものをモデルにしているのでしょうが、地図や写真を見た限りではシウダ・エンカンターダはひらけた場所であり、緑もそこまで多くはないため、完全なモデルとするには説得力が弱い気がします。おそらくですが、僕が歩き回ったこの場所とのハイブリッドなのではないでしょうか。今回の旅行では確認できなかったため、いずれは自分の目で確認したいところです。
舗装された場所もあります。自分で言うのもなんですが、普通の観光客はこんな場所まで来ないと思う。
川とはかなりの高低差があったため、ガンガンと下っていきます。階段のように整備された場所もありましたが、崖のようになっているにも関わらず、柵も何もないようなところもあったので注意は必要です。
このあたりに来る途中にも幾つか案内板を見かけたのですが、気づけばいつからか「Presa de Las Grajas」の文字は消えていました。普通に考えれば川に近づいている分、案内が増えてきてもいいと思うのですが嫌な予感がしてなりません。
ようやく川に到着。草木が生い茂りすぎてて近づけない。
なんとか川にまで到着しました。川辺の方まで来るとガラッと雰囲気が変わり、起伏のないひらけた道に出ます。どこからやってきたのか、自転車に乗った人ともすれ違うことがありました。ここまで下りてくるのに約40分。案内が正しければここからそう遠くない場所にダムがあるはずです。ここから川を下っていくか上っていくかの選択が迫られますが、街から見下ろした際にダムらしきものが見えた記憶はなかったため、街の反対側、上流に向かって歩くことに決めました。
廃墟と化した何か。家ではないと思いますが物置でしょうか。
途中で廃墟に遭遇しました。崩れ去った建物に落書きされるのは万国共通なんでしょうか。こんな街灯も無いような場所に夜な夜なクエンカのヤンキーが集ったりするのかな。そう考えるとなんだか面白いですね。まあ落書き自体も描かれてから随分経過しているように見えたので、もうヤンキーすら寄り付かない場所になってしまった可能性もありますが。
カナタはこんな岩場にのぼって耳をすませていたんでしょうか。
そのまましばらくあるき続けましたが一向にダムらしきものは見えてきません。もう仕方ありません。できれば使いたくなかったのですが、ここはGoogleMap様に頼ることにしましょう。自分の足で確認してこそだと思っていたのですが、ダムの気配すら無いのですからもうどうしようもありません。文明の力に屈する瞬間です。
検索した瞬間、哀しい事実が僕を襲います。なんと「Presa de Las Grajas」で調べてみてもメキシコのよく分からない通りが引っかかるだけでクエンカ周辺は一切出てこないのです。仕方なくクエンカ周辺の地図を見てみましたが、ダムが設置されていることが読み解けるような場所は見当たらないのでした。僕が探していたダムは一体どこにあるのでしょうか。
地図を見てもわからない以上、むやみに歩き回っていても仕方ありません。仮にあったとしても地図から分からない程度では、僕が想像しているようなダムではないことは容易に想像できます。ここは切り上げてしまって岩場探索に移行したほうが良さそうです。
サウンドトラックの表紙と同じ光景。こういうのはテンション上がりますね。
上がってきたその勢いのまま再び展望台へ。ここから街を見下ろせばサウンドトラックの表紙と同じ光景が見られるのですが、先程撮り忘れていたため再び登る必要があったのです。
展望台から見下ろした岩群。切り立っていることがよく分かる。
展望台からはこれから向かう岩場もよく見えます。こういった景色を見ているとクエンカが崖の上に建てられた街なのだと実感できますね。街を一歩出るだけで味わえる圧倒的な光景。今更ながらに遠い場所まで来たのだな、と思いました。
パラドールとクエンカ旧市街を結ぶサン・パブロ橋。
展望台を下りて岩場に向かいます。ここからの景色もまた素晴らしいですね。パラドールと旧市街、これらを結ぶサン・パブロ橋が一望できます。ED最後のシーンはこのあたりの何処かから見たものかと思われますが、角度的にはもっと下から見たもののようですね。
奇妙な形の岩が集まっている。どうなればこんな形になるんでしょうね。
こういった岩が並んでおり、自由に近づくことが出来ます。ただし、岩と岩との隙間が大きく空いていたり、ちょっと足を踏み外しただけで余裕で死ねる高さにも関わらず柵も何もない状態ですので、あまりテンションを上げすぎないように気をつけないといけませんね。絶対毎年何人か死んでると思う。
岩に映る影も素敵。
一話ではカナタの影は崖下の水面に映されていましたが、こちらには水が無いため岩場に映すことになります。撮っていて気がついたのですが、夕日に照らされた影が崖下方向に伸びていないということは、セーズの街とクエンカの街はその位置する方角が違うのかもしれませんね。まあ、セーズの街はアラルコンもモデルに含んでいるために、単純に比べるのも間違っているのかもしれませんが。
舗装されていたであろう階段を下りていくことも出来る。
完全な自然物だけではなく、舗装されていた階段なんかもあります。写真にも少し写っていますが、階段を降りた先には古びた門がありました。いつごろ建てられたのでしょうか。すっかり機能していないようですが、これからもここに在り続けるであろうその姿は哀愁を漂わせておりました。
上にも登れるようになっていました。
門は横から登れるようになっており、これを通って先へと進めるようになっていました。翌日気がついたことなのですが、この岩場群はパラドールから見ることが出来、この門もよく見ることが出来ます。どこかのサイトではカナタが乗ってきた列車が通っていた橋のモデルになっているのでは?という意見を見たような気がします。たしかにそう見えなくもありません。
古びた門。何のためにこんな岩場に建てられたのでしょう。
一通り堪能したので街へと戻ります。結局、午後の殆どの時間は街の外で過ごしていました。最後のほうは岩場に佇みながら一通りサントラを聞くという行為に興じ、今自分はセーズにいるのだとよく分からないことを考えながら世界に浸っておりました。
街に戻ってみると、なんだか朝と雰囲気が変わっていることに気が付きます。雰囲気がどうこうというよりは、明らかに朝にはなかったはずの柵なんかが出現しており、やけに人々が色めき立っています。これから何かが始まるような、そんな気配が街を包み込んでいました。
戻ってきたら街の雰囲気がガラリと変わっていました。
そんな街の変貌に気を惹かれ、すぐにはパラドールへ戻らずにもう少しだけ散策を続けるのでした。
続く