インターネットのけもの

全て妄想です。

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「饗宴・砦ノ戦争」

人は皆、心に秘密を抱えている。

誰かが言っていた。その隠された秘密を暴くのは、決して開けてはならぬ扉を開けるようなものだと。

だが、開かない扉はどうしようもなく人を惹きつけ、こじ開けたいという欲求を駆り立てる。

それゆえに、あの事件は起こってしまったのだろう。

フィリシア・ハイデマン少尉は本件についての記録は抹消し、砦の歴史から消し去るつもりだと言っていた。

だが、私は記そう。またいつか、私達と同じ過ちを犯すものが現れないとも限らない。その子羊たちへの教訓として、あの忌まわしき出来事は、記録に残すべきものだと思うからだ。

それは昨日、セーズ教会の尼僧、ユミナの来訪で始まった。

 

 

とまあ、クレハの独白から始めさせてもらいましたが、日記にはあまり関係がありません。ユミナの来訪どころか、この旅を通じて僕を訪ねてくるような人なんか一人たりともいませんからね。ただ、タイトルある「饗宴」という言葉は、今日という一日を表すのにピッタリだったとは思います。

 

2016年9月19日(月)

 

この日はアラルコンからクエンカに戻ってくる日として設定していたのですが、アラルコンは交通機関が貧弱、というか車でしか到底行き来出来ないような場所でしたので、念のための予備日も兼ねて、予定は入れていませんでした。

ですので、クエンカに着いてからはカフェでチュロスの大きさと旨さに驚いていたくらいで特にすることもなく、宿に荷物を置いてからは、街中をぶらぶらしつつ旧市街の方へと向かいました。旧市街はやけに人が多く、どうやら今日はサン・マテオというお祭りの日のようです。

 

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新市街から旧市街へと続く道路は途中で通行止めとなっており、この先は歩行者天国のようになっています。2日前に訪れたときには想像もできなったほどの人で溢れており、一体クエンカのどこにこれだけの人が潜んでいたのか、ただ驚かされるばかりです。それにしても、救急車で道路を塞ぐというのはいいアイデアかもしれませんね。これなら患者をスムーズに運搬することが出来ますしね。

 

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サン・マテオでは牛追いが催されているらしく、いたるところに牛からの避難場所を兼ねているのでしょう、柵が設置されていました。本来の用途ではないのでしょうが、どの柵もベンチ代わりに腰掛けている人が多かったように思います。牛追いが行われるというのに子供の姿が多いのが気になります。思っているほどは危険じゃないのでしょうか。残念ながら僕は、この後に起こるのっぴきならない事情により、牛追いを体験することは出来ませんでした。

 

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さすがクエンカ旧市街の中心地、マヨール広場は人でごった返しています。ここにも、隅の方には柵が設置され、避難場所が形成されていました。広場に面した家々の窓からも、身を乗り出して様子を伺う人が大勢いました。行き交う人々も笑顔で楽しそうです。街に入ってから気がついたのですが、革製の水筒を掛けた人をチラホラと見かけました。こういうアイテムを見ると異国の祭り感が強まっていいもんですね。

 

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今日は教会も締め切っているのでしょうか。誰かが出入りするところを見た記憶がありません。いい溜まり場になっているのか、座り込んで談笑する姿ばかりでした。よく見ると、手にした水筒は飲むため以外の目的もあったらしく、水筒をぐっと握り込み、水鉄砲のように相手めがけて中身を掛け合うという実にお祭りらしい、バカバカしくも楽しげなことをしていました。中身は大抵ワインが入っているらしく、お互いのシャツを紫色に染めながらはしゃいでいる姿が目立ちます。まるで水掛け祭りのようです。

 

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離れて写真を撮っていたはずですが、気がつくとシャツが少し濡れていました。いつの間にか貰ってしまっていたようです。こうやって濡れてみると、なんだか自分もこの祭りの一員として認めてもらえたような気がして嬉しくなりました。異国から来た身ではありますが、やはりこういったイベントには飛び込んでこそだと思います。考えてみると、旅行先でお祭りに出会うなんてめったにないことです。折角なのでもっとサン・マテオというお祭りに飛び込んでいこうと思います。

 

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一昨日に訪れたときにはそんなことはなかったのですが、今日は裏路地も人が溢れかえっている場所が多いです。一昨日にこの路地を通ったときには人っ子一人いなかったはずですが・・・。人が溢れすぎていて何度か迂回するハメになりました。

 

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何かそんなルールでもあるのか、同じTシャツを着ている人たちが街中に大勢いました。このTシャツにはいくつかのカラーバリエーションがあるようで、何故か同じ色のTシャツを着ている人たちは固まっていることが多かったです。僕も祭りに参加した証に一着欲しかったのですが、残念ながらどこで売っているのか、そもそも売っているのか分からず、手に入れることはできませんでした。

 

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どこの国でも祭りで変な方向に浮かれる人はいるものですね。クエンカと全く関係ないはずのスパイダーマンと遭遇しました。こういう良い意味でアホな人を見かけると、なんだか嬉しくなってしまいます。音は響いていませんが、日本もスペインもおんなじなんだね、とついついカナタのようなことを考えてしまいました。このスパイダーマン、結構歩き回っていたようで、この後も何度か遭遇しました。

9月とはいえ、まだ日差しがきついためか、日よけに張られたブルーシートの下に人が押し寄せていました。屋台もこの場所にあったためか、人が集中しており抜けてくるのに大変苦労しました。あと、このエリアはオレンジのTシャツの人が多かった。

 

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先程の写真右手にあった階段を上ってきましたが、こちらも大勢の人が行き交っています。一体クエンカのどこからこれだけの人が集まっているのでしょう。近隣の街からも集まってきたりしているんでしょうか。ここでも屋台のようなものが出ていました。広場からかなり離れたところでも出ている辺り、街全体が祭りの会場となっているのが分かります。

 

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入り口にもありましたが、街中にも救急車が鎮座しておられました。こんな場所に止めていても、街中人でごった返しているのでろくに進めやしないと思うのですが、救護所的な扱いだったりするのでしょうか。これだけ人が多いと、怪我する人も多いでしょうから目に見えるところに救急車があると安心できますね。僕だっていつお世話になるかわかりませんし。

 

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炎の乙女の儀式が行われていた場所へ向かおうとしたのですが、めちゃくちゃ人がいて思うように進めません。作中で儀式が行われていたときも、こんなふうに人で溢れていたのでしょうか。

何とかたどり着くことが出来ましたが、周りは騒ぎまくった人ばかりなので、儀式と違って厳かな雰囲気は全くありません。ですが、こういう賑やかな雰囲気も悪くないものです。

 

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そうやって一人で、黄昏れながら写真なぞ撮っていますと、俺たちも一緒に撮ってくれ!とばかりに、3人組の連中に話しかけられました。最初は、「すわ、これが噂に聞くスペインの強盗ってやつか!」と思ったのですが、どうやら単純に祭りで浮かれているだけで、悪意は感じられませんでした。何言ってるかは全くわかりませんでしたが、カメラを向けると笑顔になってくれたので、向こうもまあ楽しんでくれているのでしょう。

その後、この場を離れようとすると先程の3人組が「ヘイ!俺たちについて来いよ!楽しませてやるぜ!」と、まあそんな事を言っていたか定かではないのですが、そういう感じの身振り手振りをしてきたため、「これは仲良くなって身ぐるみ剥がされるパターンでは!」と思ったのですが、まあ取られるにしても大したものは持ってないしまあいいか、さっき祭りに飛び込もうと思ったばかりだしなあと、アホ丸出しの思考で「いくぜ!」と突っ込んでいきました。

突っ込んでいったのはいいのですが、思い返してみると、この時点での所持品は、パスポート、デジカメ(旅行に備えて買った4万くらいのやつ)、財布(全財産)、と大したものしか持っていなかったため、自分の浅慮っぷりにはもう笑うしかありません。

 

3人組はいろいろと話しかけてくれるのですが、僕はスペイン語が全くわかりません。何とか拙い英語で返そうとしますが、向こうも英語はあまり得意でないらしく、どうにもちぐはぐな会話になってしまいます。その中から辛うじてお互いの年齢と名前くらいは伝えることに成功し(同年代でした、名前はマリオ以外忘れてしまった、申し訳ない)、その後はgoogle翻訳で簡単なやり取りをすることが出来ました。

その中で「お前は何をしに来たんだ?」という、まあ当然の質問があったので、「観光だ!」とこちらも当然のように返したら、「一人で来たのか?」と質問を重ねてきたので、これまた当然のように「一人だ!」と返したところ、やけに何かが面白かったようで3人組は笑いだしてしまいました。これがきっかけで一気に距離が縮まり、拙いやり取りを重ねているうちに、当初抱いていた強盗疑惑は綺麗さっぱり吹き飛んでいました。こういう素直な心を持っているところは、自分でも美しいと思います。

 

そうやって酒なんかをガブガブ飲みながら話しているうちに(酒はどっかからワインとビールをしこたま持ってきてくれた)、別の場所に移動することになりました。ちなみにこの辺の流れは、「話しているときにカメラとか触ってたら失礼かな」という小心すぎる僕の悪い面が出たために、一切写真がありません。今考えると相当にもったいないですね。

移動した場所は街の北東側にある城壁近くにある広場で、既に多くの人が集まっています。なんだか近くにはDJブースみたいなのを備えたトラックも停まっており、今から何か始まる気配がプンプンしています。どうやら僕に話しかけてくれた3人組は顔が広いらしく、広場に集まっていた人たちに僕のことをガンガン紹介していってくれます。僕はそのたびに「オラ!(やあ!)」と挨拶していたのですが、横から3人組の一人であるマリオが「「オラ!」はいけてない、「ママダ!」がいけてるぜ」と親切にも教えてくれたので、途中からは「ママダ!」と挨拶していたのですが、どうにも相手の様子がおかしいのが気に掛かりました。というのも、僕が挨拶すると男連中は大喜びし、女の子たちは皆顔をしかめてどこかへ行ってしまうのです。聡明なる僕はこの時点で何かがおかしいと思いましたが、酔った頭ではまともな判断もできず、その後も僕はマリオの言うとおりに「ママダ!」と言い続けたのでした。

 

しばらくすると音楽がかかりだし、広場に集まっていた人たちが一斉に踊りだしました。大体予想できていましたが、やはりダンスのために集まっていたようです。この時点で結構な量を飲んでいたので、酔いも手伝ってフラフラになりながら僕もダンスを踊っていたのですが、ここでもマリオが大活躍してくれます。何が面白いのか今となっては全く意味がわからないのですが、踊っている僕の足にじゃぶじゃぶと酒をかけてくるのです。足元に撒いているわけではなく、足というか靴に直接かけてきてました。マリオは安いシャブでもキメてきたんじゃないかと疑いたくなるほど笑いながら、僕の靴を紫色に染め上げてくれました。頭おかしいよ、こいつ。

マリオの躍進は留まることをしりません。どうやらダンスの音楽によっては、酒を飲んではいけないタイミングがあったようなのですが、その時間に限って僕に酒を勧めてくるという始末。酒を勧めるマリオと、何も知らないままそれを飲む僕、慌てて止めにくる周りの人間いう構図が、どうやら飲んではいけないタイミングがあるらしいと理解するまで続きました。理解するまでの僕は相当に調子に乗っていたので、右手にワイン、左手にビールという頭の悪い装備のまま、時折両方一気に飲むという、本当に頭の悪い行動を繰り広げていました。当然、この装備はマリオから受け継いだものです。調子に乗りすぎたマリオは最後の方は周りから殴られていました。

 

この辺りで思いもよらなかった方向から声が掛かりました。一人で祭りに来た挙げ句、スペイン語も話せないくせに、周りとワイワイしながら踊り狂ってる日本人が珍しかったのでしょうか、DJブースの方からお声が掛かりました。気がつくと広場の中心で踊っていたために、よほど目立っていたんでしょうね。導かれるままに、トラックに乗り込むことになりました。

 

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なぜかここは写真を撮っていたのですが、トラックの裏手にあった入口からDJブースに入っていきます。写真を見ていると、フラフラの状態でよくこんな場所に上っていったな・・・と思ったのですが、このときの僕は何も思わなかったのでしょうか。これ左手に転げていったら下手すりゃ死んでるよ。

 

DJブースに入った僕を迎えてくれたのは、熱烈な歓迎でした。先程まで一緒にいた3人組とその仲間たちが僕を呼びかけてくれます。全然知らない人だって口笛を吹いて盛り上げてくれます。ここで、横からDJが話しかけてくれたのですが、毎度のことながら何を言っているのかさっぱり分かりません。DJもそのへんを理解してくれたのか、簡単な英語で話しかけてくれるようになり、どうやら名前を聞かれているのだと理解することが出来ました。

名前を伝えると、さらに場が沸騰します。まあ正直ここにいるようなのは大半が酔っ払いですので、意味もわからないまま騒いでいるだけだとは思いますが、それでも自分のことで盛り上がってもらえると嬉しいものです。この瞬間だけは、まるでなにかの主人公にでもなった気分でした。調子に乗った僕は、未だに意味はわかっていませんでしたが、まあ受けるだろうと思い、DJからマイクを奪って「ママダ!」と叫びます。これがよっぽど良かったらしく、前の方にいた男連中を中心ににめちゃくちゃウケてました。あとちょっと女の子たちにもウケてたから嬉しかったです。

 その後は何故かビンゴのガラガラを回す係に就任し、ビンゴマシーンを回していたのですが、数字を読み上げることが出来ないという致命的な欠点が判明し、即座に解任させられるという憂き目にあいながらも、なんとか場を盛り上げたままにすることには成功し、広場に戻ることが出来たのでした。

 

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広場に戻った僕を待っていたのは、知らない人たちとの写真撮影ラッシュでした。面白いくらいに皆が一緒に写真を撮ろうと言ってくれます。ちょっとした有名人にでもなった気分でしたよ。

間抜け面を晒すのが憚られたため、モザイクを掛けさせていただきましたが、別に卑猥なものが写っていたとかそういうわけではありません。それにしても顔がもう面白いくらいに真っ赤になっています。隣の人の肌の色よりTシャツの色の方が僕の顔の色に近いんじゃないでしょうか。Tシャツも街に来たばかりのころにちょろっと濡れていたのとは比べ物にならないくらい紫になっています。もしかして最初からこういう柄だったんじゃないかってほど染まっていますね。これはほとんどマリオの仕業です。

 

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少し暗くなってしまいましたが、DJブースのあるトラックを撮っていないことを思い出したので、一枚撮っておきました。さっきまで自分があそこに立っていたなんて少し信じられません。まあ立っていたと言ってもビンゴマシーン回してあたふたしてただけですが。この時点でもうベロベロだったわけですが、DJブースの影響は凄まじく、出会う人出会う人が新しくお酒をくれたため、この辺りから急速に記憶が曖昧になっており、もう自分がどう行動していたのか思い出せなくなってしまいました。

 

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撮っている写真もブレブレのものばかりで、どれだけ酔っていたのかが伺えます。というか、写真に僕が写っていることから、誰かにカメラを託していたのでしょうが、今となっては全く思い出せません。一体誰が僕のカメラ(旅行前に4万くらいで買った新品)を持っていたというのでしょうか。せっかく僕を撮ってくれているところ悪いのですが、コイツも相当に酔っていたのかブレブレの写真ばかりでした。

 

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あんまりぶれていない写真もあったのですが、もう僕は完全に壊れてしまっていたようで、一人だけ躍動感たっぷりの全く状況がわからない写真ができあがっていました。他にも写真を整理していると、男と顔を向き合わせている写真が出てきたのですが、嫌な気配しかしませんでした。あまり想像してみたくもありませんが、こいつと接吻なんぞをカマしていないことを祈ります。このときばかりは、ぶっ壊れてしまった自分の記憶に感謝しました。記憶になかったことは起こっていないのと同じなのです。

 

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もはや何が撮りたかったのかも分かりませんが、写真に映る何かは微笑んでいるように見えるので、彼らに向けてシャッターを切っていたのでしょう。残念ながら彼らの笑顔は手ブレという悪魔に奪われてしまいましたが、彼らの気持ちは感じ取れます。手ぶれ補正が効いてなくても、伝わるものは伝わるのです。

 

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やはりというかなんというか、また僕だけがぶれてしまっていますが、この写真で見るべきところはそんなところにはありません。なんと、この僕が女の子と肩を組んでいるではありませんか。さっきから撮っている写真は野郎と写っているものばっかりで気が滅入っていたのですが(なんで祭りというボーナスステージでわざわざ男連中とばかりつるんでいたのか全く意味がわからなかった)、しっかりと押さえるべきところは押さえていたようです。まあぶっちゃけ、このときのことは全く記憶に残っていないため、記憶が吹っ飛ぶほど飲み続けた自分を思わず呪ってしまいました。記憶になかったことは起こっていないのと同じなのです。

この辺りから何故かTシャツが変わっているのですが、これには理由があります。元々着ていたTシャツがワインのかけられすぎで紫一色になったころ、どこからか現れたマッチョマンが僕のTシャツを無残にも腕っぷしのみで引きちぎっていったのです。流石にそれは話盛りすぎだろ?と思われるかもしれませんが、恐ろしいことにこのシーンだけはあまりの衝撃からか、記憶がはっきりしているため真実です。あるいは酔い過ぎた僕が、Tシャツが変わっているという事実を整合するために適当な記憶を作り出してしまったということも考えられますが、流石にそこまで自分の頭が狂っているとは思いたくありませんので、マッチョマンが引きちぎっていった、というのが真実なのでしょう。

ちなみにこのままでは僕の上半身は裸のままですので、何か着なければとも思ったのですが、そんなに都合よく替えの服を持ってきているはずもなく、しばらくはそのままで過ごしておりました。するとそれを不憫に思ったのか、どこからかTシャツを持ってきてくれた人がいたのですが、明らかに「お前それどっかで拾ってきただろ」というレベルでぐしゃぐしゃになっていた挙げ句、既にワインでビシャビシャになっていたので、正直あまり着たくはなかったのですが、文句を言う暇もないまま、有無を言わせずに着せられてしまいました。嫌だなあと思っていたはずですが、着てから5分も経たないうちに全く気にしなくなっていたため、自分の単純さには呆れるばかりです。でもこういう素直なところは自分でも褒めてあげたいところですね。

 

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その後も狂乱の夜は更けていきます。完全に全てが忘却の彼方なのですが、この夜最後に残されていた写真がこれでした。何があったかはわからないけど、ただ楽しかったということは伝わってくる、この夜をあらわす良い一枚になっていると思います。もはや名前どころか顔も禄に覚えていませんが、ふらっと立ち寄っただけの旅行者でしかなった僕を、ここまで受け入れてくれたことには感謝の気持ちしかありません。この夜だけは、僕もクエンカを構成する一員になれたような気がしました。

 

それっぽく書いてはいますが、実際のところはというと、トラックを降りたあたりからもう記憶は曖昧になっており、ブレている写真に至っては一枚たりとも撮ったときの記憶がありません。そんな僕ではありますが、次に記憶が戻ったのは見知らぬベッドの上でした。急にこんなことを書かれても意味がわからないと思いますが、勿論僕も最初は意味がわかりませんでした。徐々に鮮明になってくる頭を起こすと、そこに飛び込んできた光景は、どうみても病院のそれだったため、僕は一瞬であまり把握したくはない状況を把握してしまったのでした。

おそらく調子に乗りすぎた僕は急性アルコール中毒という大学生の代名詞みたいなものに陥ってしまい、通報してくれた誰かのおかげでここまで運ばれてきたのでしょう。まさか異国の地で倒れるハメになるとは思いもしませんでした。ふと違和感を感じ、左腕を見てみると、思いっきり注射針が刺さっていました。まさか変な薬を注入されているということはないと思いますが、得体の知れない液体が知らぬ間に自分の体内に流れ込んでいたことを思うと少し泣きそうになりました。しかも、どうやらメガネがどこかにいってしまったようです。こんな状態ではこの後の行程に支障をきたすこと間違いなしです。泣きっ面に蜂とはまさしくこのことを言うのでしょう。

しばらくすると看護婦さんらしき人が、僕の目覚めに気づき、何事かを話しかけながら針を抜いてくれたのですが、この時ほど言語が通じない恐ろしさを感じたことはありませんでした。おそらく僕のことについて話してくれているのでしょうが、自分のことのはずなのに全く意味がわかりません。何がどうなってここに運ばれてきたのか、本当に急性アルコール中毒なのか、この注射は何なのか、想像するしかないのです。これが恐怖でなくて何になるというのでしょう。

 

話が一段落すると、どこからか僕のリュックを持ってきてくれました。すっかり忘れていたのですが、そういえば僕は、パスポート、デジカメ、財布といった超貴重品ばかりを入れたリュックを背負ったままで祭りに参加していたのです。我ながらあまりの間抜けっぷりに呆れてしまいます。

この時もう既に、「スペインって首絞め強盗とかもいるらしいし、財布とデジカメは失くなってるかもなあ、せめてパスポートだけは・・・!」と祈るような気持ちになっていたのですが、リュックを開けてみると驚いたことに全て無事であったため、僕はクエンカという街への感謝を止めることが出来ませんでした。いやー、すごいよクエンカ。粗相をやらかした僕に対してでも、こんなにも優しいとは思いもよらなかった。しかもよく見ると何故かリュックの中からメガネが出てきました。酔った僕がわざわざ入れたとは思えないので、僕が倒れた時点で誰かが失くしてはいけないとリュックに入れてくれていたのでしょう。ほんとうすごいよクエンカ。もう生まれ育った街より好きかもしれない。ただリュックがめちゃくちゃ濡れており、酒の匂いしか漂ってこなかったことだけは、理解できませんでした。何をされたらこんなに酒まみれになれるんだ。

 

そうこうしていると、次は医者の先生らしき人が出てきました。この頃にはもう心も平静を取り戻していたので、相変わらず何言っているのか分からない先生にも対応出来ていたのですが(わけも分からず頷いていただけ)、ここでとんでもないマジックアイテムが先生から大事にするんだぞと言わんばかりに手渡されました。そこには僕の名前と小難しいスペイン語がつらつらと書かれた一枚の紙がありました。まさかこんな場面で僕宛に手紙を書いてきたなんてことは無いでしょうから、聡明なる僕が考えるにこれは診断書に類するものだと思われます。不安に満ちていた心に光が差し込みます。帰ってからこれを翻訳にかければ、なぜ病院にいたのか、腕に刺さっていた注射は何なのか、疑問も氷解することでしょう。リュックは未だに湿っていたため、これが滲んではいけないと大切に抱えてホテルに戻ることにします。

 

ここで大変なことに気づいてしまいます。ホテルに戻ろうにも、ここは病院で僕は何かよくわからないにせよ一泊する形で治療を受けています。退院やそれに伴う支払いをする必要があるのでしょうが、このあたりの手続きが全くわかりません。いくら掛かってしまうのでしょうか、保険は使えるのでしょうか。僕は基本的に物事を舐め腐って考えているため、クレジットカードに付随している旅行保険程度しかないのですが、どう考えても即座に使えるとは思えませんし、そもそも急性アルコール中毒は対象に含まれるのでしょうか。一度全額払う必要があるにしても、カードの限度額で足りるのだろうか、足りない分は病院でタダ働きでもしないといけないんじゃないだろうか。

不安が解消されたと思ったのもつかの間、また新たな不安が僕の心を蝕んできます。もしや先程渡された紙は請求書だったのではないかと思い、確認してみましたが、金額らしい数字は書かれておらず、結局僕はどうしていいかわからなくなり、ベッドから動けなくなってしまいました。そうしているうちに、しびれを切らしたらしい看護婦さんが、あっちへ行けとばかりに行くべき方向を指し示し、案内してくれました。分からぬままについていくと、そこはもう病院の出口で、育ちが良すぎる僕は、「支払いも済んでいないのに出てしまっていいのだろうか」と迷ってしまいました。改めて看護婦さんの方を見ると、もうすでにいなくなってしまっていたので、「出口に案内したってことは出ていいってことだよな」と驚くほど自分に都合がいい解釈をした末に、病院を出ることに決めました。

 

病院を出た僕を待ち受けていたのは、全く見知らぬ土地と、激しすぎる二日酔いでした。見知らぬ土地という問題は、地図を見ることであっさり解決したのですが、二日酔いの方はというと、一週間くらい酔い続けたらこんな体調になるのではないかというほどに最悪で、なぜこんな辛い目に合わなければならないのか、どうして世界はいつまで経っても平和にならないのか、考えずにはいられませんでした。幸いなことにホテルは歩いて30分ほどの距離にあったため、なんとか歩いて帰ることが出来たのですが、数歩進むだけで吐きそうになる、というか実際に吐いてしまったという体たらくの上、Tシャツどころかパンツまでが酒で濡れているという有様だったため、すれ違う通行人からはたいそう不審な目で見られてしまいました。あと、せっかく貰った診断書らしい紙ですが、途中で吐いた際に思いっきり吐瀉物が掛かってしまい、もうどうしようも失くなってしまったので泣く泣く捨てていきました。こういう諦めが早いところはロックだな、と自分でも思います。

それでもなんとか歩ききってホテルに戻った頃には体調も少しマシになったような気がしましたが、実際のところは全てまやかしであり、部屋に戻った瞬間に気分は最悪になり動けなくなってしまいました。予定では今日は朝から移動としており、既にチケットも取ってしまっていたため、あまり余裕はなかったのですが、そうと理解していても、もはや動ける状態ではありませんでした。

 

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それでも風呂に入らなければ、くたばったままでは折角とったチケットも無駄になってしまいます。結局、僕を奮い立たせてくれたのはケチな心だったのですから自分でも呆れてしまいます。ふと鏡を見ると、あまりの汚さに笑ってしまったため、戒めとして記録を残しておくことにしました。病院だとそんな余裕はなかったですからね。いつの間にか入れ替わっていたTシャツは記念に持って帰ろうとも思ったのですが、めちゃくちゃ臭いわ、洗濯しても色が抜けそうにないわで、即行にゴミ箱行きが決定しました。

風呂というのはどこで入っても素晴らしいもので、落ちていた気分も洗い流してしまえば、もう前を向いていました。よく考えると、異国で飲みすぎてぶっ倒れるなんてのは完全に自業自得以外のなにものでもありませんので、後悔なんてしても仕方ないのです。そんなことを考えているなら、次の場所に進み、気分を晴らすほうがいくらか建設的というものでしょう。

 

 

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そうして、僕は次の目的地へと向かいます。風呂に入り、着替えも済ませたので気分も一新され、穏やかです。天気も良く、絶好の旅日和だと言えるでしょう。ただひとつ、この気分に水を差したものがありました。旅における最重要アイテムと言っても過言ではないこれは、前日の祭りの影響を色濃く受けており、変わり果てた姿になってしまっていたのです。

マリオ、お前が酒をぶっかけまくった靴はすっかり紫色になって、脱いだら足からとんでもないアルコール臭がする魔物に変わっちまってたよ。靴下もすぐにグチョグチョになるもんだから気持ち悪くて仕方ねえ。なにを思ってこんな事したんだよ・・・。

 

ちなみに、祭りのあいだ事あるごとに叫んでいた「ママダ!」ですが、あとで辞書を引いてみると、恐ろしいことに「フェラチオ」と出てきました。説明するまでもなく、男性器を口に含んでどうこうするという淫猥極まりない行為のことですね。男連中が喜んでくれるからと、調子に乗って言いまくっていたのですが、よくもまあ通報されなかったものです。というか僕は、初対面の女性に向かって「フェラチオ!」とか言ってたわけですか、完全にキチガイじゃないですか・・・。

この「ママダ!」も教えてくれたのはマリオでした。どこがイケてる挨拶なんだよ。

何年越しになるかはわかりませんが、いずれ本人を見つけ出して文句を言ってやろうと思います。また会ったときには飲み明かそうな。

 

 

これを読むであろう君たちに、太古の賢人によると言われる以下の言葉を贈る。

 

呑ンダラ「ノル」ナ

「ノル」ナラ呑ムナ

酒ハ呑ンデモ

呑マレルナ

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「蒼穹ニ響ケ」

半年以上に渡って書いてきたこの旅行記もこれで一区切りです。まあ半年以上とは言っても書いていない時期のほうが圧倒的に多いのですが。ダラダラと書いているうちに結構な分量になってしまいました。誰が読むんだこんなの。

 

2016年9月19日(月)

 

とうとうアラルコン最終日を迎えてしまいました。今日はタクシーでモティリャ・デル・パランカルまで行き、そこからはバスでクエンカに戻ります。アラルコンに来るときも同様のルートを通りたかったのですが、バスが運休していたというどうしようもない理由のためにタクシーのみで来るハメになりました。おかげで運賃が高くついたもんです。

 

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優雅な朝を過ごせるのも今日で終わりです。

 

普段は軽い朝食しか摂らない僕ですが、ここではついつい食べすぎてしまいます。相変わらずチュロスと生ハムが美味しく、しめにデザートまで味わえるのですからこれ以上の朝食はそうないでしょう。あと、マンゴージュースも美味しかった。この日から今日までを思い返してみると、これ以上に豪勢な朝食を摂っていないような気がします。いつもなら画像中心のパンを一枚食べてるくらいですからね。格差がひどいもんです。

 

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パラドールを下から見上げた図。こうしてみると本当にお城なんだなと実感できますね。

 

タクシーを呼んだ時間まではまだしばらくあったので、散歩に出ることにしました。それにしても、クエンカ、アラルコンと回っている間に雨がふらなかったのは幸運でした。おかげで、見て回りたかったところ全てスムーズに巡ることが出来ました。雨に濡れた街も少し見てみてみたい気がしますが、やはり初めて訪れた際には晴れている方がいいですからね。

 

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雲ひとつ無い青空のもと、アラルコンの街は変わらず在り続けます。

 

城壁という人工物も、長い時間の中で自然と調和し、まるで最初からそこにあったかのような落ち着きを見せてくれます。きっとこれからも、アラルコンの街は変わらず在り続けるのでしょう。

 

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またこの場所に来てしまいました。すっかりお気に入りです。

 

街の周囲を歩き回るつもりでしたが、足取りは自然とこの場所に向かっていました。アラルコンには、落ち着けるような場所が多いと思いますが、中でもここは素晴らしい場所だと思います。目立つので、同じ考えの観光客が来るのがネックですが、そんなに頻繁に来るわけでもないので、うまく時間を選べば簡単に一人になれます。ここで過ごす静かな時間は、何ものにも代えがたい素晴らしい時間となりました。

 

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EDではカナタがここを歩いていましたね。

 

EDを再現した写真を撮ってみようと、リオが佇み、カナタが歩いていた塀の上を覗いてみたのですが、塀に組み込まれた石がむき出しになっており、全然平坦になっていないどころか、わざと歩けないようにしてるんじゃないかと思えるほどに傾斜がついていたので止めておきました。カナタは素晴らしいバランス感覚を持っているようです。内側に落ちるだけならまだいいのですが、外側に落ちてしまうと、最悪の場合、落ちた衝撃で意識を失い、貯水池まで転がりフカル川に浮かぶ死体になってしまうというパターンが考えられたので、この判断はおそらく正解だったのでしょう。みんなが愛するこの土地を曰く付きにしたくはありません。

 

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「リオ先輩、みーつけた」このシーンは割とお気に入りです。

 

実は昨日撮りそこねていた、「リオ先輩、みーつけた」のワンシーンです。階段下で考え事をするリオと、なぜか階段を上ってくるカナタの組み合わせが妙におかしくて、好きなシーンの一つです。13話を見ているときは、「なんでわざわざ階段を上ってくるんだ・・・」と思っていましたが、実際ここに来ると上ってみたくなってしまったので、やはりソ・ラ・ノ・ヲ・トの心理描写は優れているのでは・・・?と思わざるを得ませんでした。僕はこの時23歳でしたが、精神的には未だに中学生と変わらない程度でしょうから、15歳のカナタと同じ行動をしてしまっても仕方のないことだったのでしょう。

 

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下から眺めるパラドールには威圧感がありますね。さすが古城。

 

本当はもっとゆっくり過ごしたかったのですが、タクシーの時間もあることですので、荷物をまとめにパラドールへ戻ります。この2日間、様々な角度からこのパラドールを見てきましたが、道路から見るこの角度が、「絶壁に佇む古城」を表しているようで一番好きかもしれません。ここからのびる城壁、城門も併せてみられるのもいいですね。

 

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この天蓋ともお別れです。

 

この部屋で過ごしたのは2晩だけでしたが、初めてこんないいホテルに泊まったので、とても新鮮なことばかりでした。パラドールを巡ってみるのも楽しそうですね。いつかはしてみたいものです。この旅を通じて、やりたい事が随分と増えたような気がします。僕はやりたい事をしに来たはずなのに、帰る頃には何故かやりたい事が増えてしまっている旅こそが、良い旅だったと思っているので、この旅は大変に良いものだったと言えるでしょう。

 

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モティリャ・デル・パランカルまで送ってくれたタクシー。

 

少し早い時間にチェックアウトしたつもりだったのですが、その頃にはもうタクシーが来ておりました。事前に伝えていたとおりに、モティリャ・デル・パランカルまで頼むとお願いすると、気のいい感じのおじさんドライバーは車を発進させてくれました。目的地に近づくに連れ、「アキ?アキ?」と何度も聞いてくるようになりました。多分スペイン語でなにか聞いてるんだろうなとは思いつつも、全く理解が出来ていなかったので、とりあえず「アキ!」と返すと、車はそこで停まってしまいました。どうやら「ここでいいのか?」と聞かれていたようですね。本当はバス停付近まで行っておきたかったのですが、それを伝える手段が無かったのでまあ仕方ありません。ここからは歩いて探すことにします。

 

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この街にも猫がちらほらいた。やはりスペインは猫が多いのでしょうか。

 

このモティリャ・デル・パランカルでも、やはり猫の姿をよく見かけたような気がします。この辺りの街は猫が多いのでしょうか。どの猫も程々に人に慣れているようでした。

このまま猫を見ていても良かったのですが、そんなことをしているうちにバスが出てしまってはたまったものではないので、ひとまずバス停を探します。闇雲に歩いても仕方がないので、とりあえずそのへんを歩いている人に聞こうかと思ったのですが、どうやらこの街も人が少ないのか、通りを歩いている人の姿を全く見かけません。仕方なく、適当に歩き出しましたが、10分位の間誰とも会いませんでした。運良くおばちゃん二人組に出会うことが出来たので、バス停の場所を尋ねたのですが、そこで分かったのは、どうやら間抜けな僕はバス停から逆方向に歩いてきていたということでした。それにしてもスペインのおばちゃんは親切です。こっちは「バス!バス!」しか言ってないのに、意図を汲み取って道を教えてくださるのですから。

まあせっかく教えてもらった道もある程度進んだところでパッと忘れてしまうという鳥頭っぷりを遺憾なく発揮してしまい、おばちゃん達の善意を踏みにじってしまうという結果になりましたが、そのへんにいた何かの作業員っぽい人に改めて場所を尋ねると、もうバス停は目の前にありました。ありがとう、おばちゃん、作業員の人。

 

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バス停の外観。バスに乗りたかったらこの建物を探そう!

 

バスターミナルではすでに2、3人の乗客がバスを待っており、僕もそこに加わりました。バスが来るまではまだ1時間ほどあったのですが、バスターミナル内では時間を潰せるようなものはなく、辺りを散歩しようかと思ったのですが、よく考えると僕はスペインのバス事情を全く知らなかったため(時間どおりに来るのか分からない、ここは田舎だしなおさら)、仕方なくバスが来るまでお行儀よく待ち続けました。途中、隣に座っていたおばちゃんが、何事か話しかけてきましたが、当然何を話しているのかさっぱりだったため、とりあえず「クエンカ!」と返すと、何か満足したようでそれ以上は話しかけてきませんでした。こちらに来てから地名しか話していないような気がします。ごめんな、スペイン語が話せたらもっと気の利いたことも言えたと思うんだけどね・・・。

 

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このバスでクエンカに戻ります。

 

1時間ほどが経ち、予定時刻を少し過ぎた辺りで目当てのバスが到着しました。ちなみに、このバスが来るまでの間、他のバスは来ていなかったかと思います。やはり全体的に本数が少ないのでしょうね。残念ながら料金がいくらだったのか忘れてしまいましたが、支払いはバスに乗ってから直接運転手に払ったような気がします。薄れゆく記憶を基にした、曖昧な情報が本探訪記のウリです。

 

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クエンカのバスターミナルに戻ってきました。

 

来たときにタクシーで通ったであろう道を再び進みます。相変わらずなにもない道です。こんな場所を自転車で走破しようとか考えるやつは頭がイカれてしまっているのでしょうね。

1時間ほどバスに揺られ、クエンカまで戻ってくることが出来ました。一昨日は活気がまったくなかったバスターミナルも、今日は全部の窓口がしっかりとあいており、他のお客さんの姿も見受けられます。ほんと、日程をちゃんと考えるということは重要ですね。

 

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手頃な値段で豊富な品数のパンが売られていました。

 

お昼をまだ食べていなかったため、バスターミナルからすこし歩いたところで見つけたパン屋で昼食を摂りました。ここでは、様々なパンが売られていたのですが、やはりチュロスが一番美味しかったです。チュロス最高。

 

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本日の宿泊場所。安い割には一通り設備が揃っていたので満足です。

 

そのまま街中を見て回りたい気持ちもあったのですが、どうにも荷物が邪魔だったのでひとまず本日の宿へ向かいます。もう一泊パラドールをとっても良かったのですが、今日はあくまで予備日として設定していたので、クエンカにいないことも想定して新市街の安宿にしておいたのです。この選択は結果的に大正解でした。僕はこのあと巻き込まれるあるハプニングのために、結局このベッドで一夜を明かすことは出来なかったからです・・・。

 

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旧市街側からでも時計塔は大きく目立ちますね。

 

荷物を置き、一休みしてから街へ繰り出します。道はまだ覚えていませんが、旧市街の方角は分かっているので、迷うことはありません。途中、視界がひらけた場所からは時計塔がしっかりと見えました。場所によってはですが、建物の隙間からパラドールが見えるところもあります。今回の旅では、ソ・ラ・ノ・ヲ・トの舞台を見るというのが目的ということもあり、旧市街を中心に回りましたが、また来る際には新市街の方にも、目を向けてみたいと思います。

 

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サン・マテオのお祭り期間中ということで、マヨール広場は大きく賑わっていました。

 

 旧市街に近づくと、段々と人が増えてきたと感じます。皆、似たようなTシャツを着ており、中には革袋の水筒を携えた人もいます。マヨール広場には初めてここを訪れた時とは比べ物にならない人で溢れかえっていました。そうです、今日はサン・マテオのお祭りです。正直、ここまで人がいるとは思っていなかったのですが、大人から子供までクエンカ中の人が集まっているんじゃないかというくらい人がおり、ベランダから広場に身を乗り出しているような方もいました。チラホラと持っている人がいた革袋の水筒には、どうやらワインが入っているらしく、それを飲んだり水鉄砲のように人にかけたりと、昼間からやりたい放題やっているようです。その様子は、さながら色水を掛け合う水掛けまつりのようでした。折角ですので、僕はこのまま祭りを楽しんでこようと思います。楽しかった舞台探訪機はここで一旦終わりです。

 

 

日本からスペインまで約1万km、ここまで来たかいがありました。ソ・ラ・ノ・ヲ・トにハマってから約6年半、そのモデルとなった舞台がクエンカ、アラルコンにあると知ってから、いずれは行かねばならないと思っていた土地に来て思ったことは、「やっぱり来てよかったな」でした。そして今、その気持ちは、「また行こう、行かなきゃ」に変わっています。僕がここまでこれたのは、先達がインターネット上に情報を沢山残してくれていたからだと思います。残念ながら「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」は爆発的に流行ったわけではなく、その舞台も日本から遠く離れているという、舞台探訪にはあまり向いていない作品だと思います。ですが、そんな中でも、その記録をインターネットで公開してくださっていた方には感謝しかありません。おかげさまで素敵な経験をすることが出来ました。

徒然と書き綴った、愚にもつかない旅行記ではありますが、「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」の舞台を巡りたいと考えている方の僅かな助けにでもなれば、これ以上の素敵はありません。

 

 

 完

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「来訪者・燃ユル雪原」

13話でカナタがリオを見つけた場所に着いてからの続きです。

 

2016年9月18日(日)

 

この場所に着いたとき、僕の胸は初めてクエンカに着いたときと同じか、それ以上に高鳴っていました。というのも、僕も多くのソ・ラ・ノ・ヲ・トファンの例に漏れず、1話と13話が特にお気に入りだったからです。特に13話は、元々好きだった「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」という作品をより一層好きにさせてくれた特別な話でした。TV放送やネット配信が無いのは大変残念です。未放送話には、ソ・ラ・ノ・ヲ・トの魅力が詰まっているというのに。

 

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カナタと同じ場所を通って先に進みます。

 

さっきまでいたはずの家族連れの姿はいつの間にか消えており、今はこの空間を独り占めすることが出来ました。カナタがリオを探しに来たこの場所に、カナタと同じ道を通って入っていきます。

 

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見上げるとこの高さがより分かります。

 

果たしてこの塔はいつ頃建てられたのでしょうか。アラルコンのパラドールは8世紀に建てられた古城を改装して作られたものだそうですが、街を囲む城壁や、見張り台なども同時期に建てられたのでしょうか。そんな古くから立ち続けているこの塔は、きっとこれから先もここに在り続けるのでしょう。

 

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残念ながら塔に入っていけそうな場所はありませんでした。

 

どこからか塔に入っていけないものかと思いましたが、残念ながらどこも塔の内部に通じている様子はありませんでした。上まで上がれるようになっているとは思いませんでしたが、まさか内部に入ることすら出来ないとは残念です。塔の周囲には一部、階段になっている場所がありましたが、それも途中で途絶えており、そこから内部に通じているといったこともありません。窓のようなものがあるからには、どこからか入れるとは思ったのですが・・・。

 

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途中までは登っていけるようになっています。

 

塔の周囲にある階段を上っていくと、少し視点が高くなるため、より遠くまで見渡せるようになります。塔を囲む城壁よりも高い場所に来るため、先程通ってきた道もよく見渡せました。この階段は、まさしくカナタがリオ先輩を見つけた場所であり、この階段の下でリオは考え事をしていたのです。残念ながら僕がここに来たときには、考え事をしている優しい先輩的存在はいませんでした。まあ居たら居たでびっくりして階段から転げ落ちていたでしょうが。

 

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カナタとリオが炎の乙女と夢について話していた場所。EDにも出てきますね。

 

街に面した城壁は大きく凹んだ形状になっており、さながら展望台のように景色が見渡せます。近くには車道もありますが、車の通りは少なく、とても静かな時間を独り占めすることが出来ました。ここで考え事をしていたリオの気持ちがよくわかりました。一人になるのにこれ以上に適した場所はそうないでしょう。ただ、あまりの景色の美しさと穏やかな時間の前に、ちっぽけな悩みはどうでもよくなってしまいそうなのだけがネックですね。

 

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13話に一瞬だけ出てくる何か。こんなものまで実際にあるとは思いませんでした。

 

地面のあたりを見ていると、13話でちょろっとだけ出てくるものを同じものを見つけました。カナタが「大昔、何があったか本当のことはわからないけど・・・」と言っているシーンの背景に使われており、微妙に台詞とリンクしているなと思っていたのですが、まさか実際にあるとは思いませんでした。ちなみに、実際に見てもこれが何なのか全くわかりませんでした。

 

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街を一望できるどころか、フカル川も見張り台も全部眺められます。

 

展望台のようになっている場所からの眺めは本当に素晴らしく、暫くの間何も考えずにぼーっとすごしてしまいました。そうしていると、いつの間にか他の観光客が近づいて来ていたので、充分に満足した僕はこの場所を明け渡し、もう少し街の周囲を回ってみることにしました。

 

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街から離れるほどに何もない光景が広がっていきました。

 

道路沿いに進んでいってみましたが、特にめぼしいものも見つからなかったため、道路から外れて進んでみることにしました。ですが、途中に犬や馬を飼っている場所があった以外には特筆するべきものも見つけられず、ひたすら歩いた結論として、「ここには何もないがあるんだな」と訳のわからないことを導き出し、帰路につきました。犬はめちゃくちゃ吠えてきて怖かったです。こんな場所だしリードに繋がれてない可能性もあるな、と考えると尚更でした。

 

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貯水池は見かけよりも大きく感じられました。泳ぐと気持ちよさそう。

 

道路沿いにずいぶん進んでいたためか、いつの間にか貯水池を一望できる場所に出てきていました。アラルコンの人たちは、夏場にここで泳いだりするのでしょうか。古城をみながら泳ぐなんてめちゃくちゃ気持ちよさそうですね。

 

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まるで煙突のようになっていたので思わず撮ってしまいました。

 

帰りは舗装された道路を通っていたのですが、ふと見上げてみると絶好の角度で雲が見えており、先ほどまで見ていた塔が、まるで煙突のようになっていました。こういうふとした時に見える景色が嬉しいですね。帰りは寄り道がてらに、パラドールをぐるりと回って帰りました。見えにくいところに城壁があったりして面白いですよ。

 

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カフェでソ・ラ・ノ・ヲ・トをみながらの一杯。

 

ここで一度パラドールに戻り、コーヒーを一杯いただきました。舞台となったその土地で、作品をみながらくつろぐなんて、これ以上の贅沢があるでしょうか。そうやってニヤけながらコーヒーを飲んでいると、従業員の方から呼びかけられました。実はカフェに寄る前に、明日アラルコンを発つために、タクシーの手配をお願いしていたのですが、どうやら問題なく手配できたとの報告のようでした。

折り悪く、フロントに居たのが英語が通じない老紳士の方だったため、google翻訳に筆談、ジェスチャーと取れる手段全てを用いて意図を伝えようとしたのですが、無事に伝わっていたようです。いい笑顔でサムズアップしながら、タクシーが確保できたことを教えてくれました。ちょうど、ニヤニヤしていたところだったので少し恥ずかしかったです。

 

部屋に戻ると、洗濯物が届きました。僕は旅行ではコインランドリーを使うことを前提に、最小限の着替えしか持っていかないのですが、クエンカでもアラルコンでもコインランドリーが見つからず、仕方なく洗濯を依頼していたのです。ある程度高くつくでしょうが、背に腹は変えられません。これだけ毎日歩き回って汗をかいているというのに着替えないわけにもいかないですからね。

2泊分の着替えを洗濯したのですが、料金はたしか15ユーロくらいでした。日本円にすると1泊分あたり1000円といったところでしょうか。思っていたよりも更に高かったのですが仕方ありません。どうやら服の種類によって値段が変化するようなので、ものによってはもっとするのかもしれません。

 

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こういうタイプの遊具ってどこにでもあるんでしょうね。

 

少し休んでから街歩きを再開すると、公園を見つけました。過疎の町と呼ばれているくらいですから、遊んでいる子なんていないだろうと思いましたが、意外なことに普通に遊んでいる子がいました。ただ、遊具で遊んでいる子はおらず、球技に興じているようでした。

 

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街の西側にももちろん城壁が広がっています。

 

 公園を過ぎ、街の西側へと抜けていきます。当然ですがこちら側にも城壁が広がっています。こちらはあまり人の手が入っていないのか他の場所に比べて崩れている場所が多かったように思います。普通に道を通っている分には問題ないでしょうが、城壁や川を見ようと道路から離れていくと、突如として川まで一直線に落ちられるようになっている場所があらわれるので、あんまり淵のほうまでいくと危険です。

 

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西側は断崖絶壁になっている場所が多いです。

 

どれだけ高低差があるのか伝えようとギリギリまで寄って写真を撮ってみたのですが、まさしく断崖絶壁といったところでしょうか。今にして思えば、このときに突風でも吹いてきたら崖下まで真っ逆さまだったでしょう。なかなかに危ない真似をしていたものです。誰にも気づかれずに朽ちていくハメにならなくてよかったです。

 

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EDのワンシーンをEDと同じ角度から。

 

 街の西沿いから伸びる道路を下ってくると、初日に来た貯水池そばまで出てこれます。橋の付近には相変わらずなにか動物の糞が一杯でした。写真を撮っている間に周りでハエが飛び交っていて大変でした。

 

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 朽ちた屋根もなかなか乙なものです。

 

せっかくここまで来たので、もう一度小屋の中に入ってみました。ただの廃墟と言えば廃墟なのですが、屋根が吹き飛んでいるためにやけに明るく、鬱蒼とした雰囲気は欠片も感じません。それでいて、川のせせらぎ以外になにも聞こえてくるものはなく、落ち着かせてくれる何かがここにはありました。

 

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 このタイルを見ているだけでも楽しい。

 

いるだけで落ち着けるというのに、ここがソ・ラ・ノ・ヲ・トの舞台になっているというのですから、これ以上に素晴らしい場所はそうないでしょう。ここまでくると、タイルのハゲ具合ですら楽しめますね。といいますか、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト抜きで考えても、そもそものタイルのデザイン自体がかなり優れていると思うのですがどうでしょうか。いつか家に敷き詰めたいですね。

 

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 幼い頃のカナタが泣いていた場所ですね。

 

幼い頃のカナタはずいぶんと危ないところで泣いていたものです。床には瓦礫が散らばり、場所によっては大穴が開いている。迷子になったからといって何もこんな場所で泣いていなくても良かったのに。 僕も同じところにうずくまって写真を撮ってみようと思ったのですが、ホラー写真にしかならなさそうだったので止めておきました。この場所を穢さない、良い判断だったと思います。

 

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 この景色はもう、見るだけでこみ上げてくる何かがありますね。

 

 ソ・ラ・ノ・ヲ・トという物語はまさしくここから始まったのです。この場所について、多くを語る必要はないでしょう。これから何度ここに来ようとも、決して飽きるということはないと思います。願わくば、この場所が今後も残ってくれますように。

 

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 改めて1話でシュコが初登場した場所を。

 

小屋から出てからは辺りを少し見回りました。シュコが初登場したこの場所ですが、よく見ると川周りの設備なんかも作中ではしっかりと描かれていることに気が付きます。この場所に限ったことではないですが、ソ・ラ・ノ・ヲ・トはこういった細かい描写を何気なく入れてくるので、そういったところが、作品に何か生活感というか説得力をもたせているのかもしれませんね。

 

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 夜のアラルコンというのも悪くないものです。

 

ぶらぶらしているうちに、街へ戻った頃にはすっかり暗くなってしまっていました。ただでさえ少なかった人通りもほとんどありません。こういう雰囲気は嫌いじゃありません。一瞬、治安がどうこうという考えも頭をよぎりましたが、こんな場所で治安もクソもないだろうと、結局しばらく散歩を継続してからパラドールに戻りました。案の定、危険な目にあうといったことはありませんでした。むしろ、これだけ建物があるのに人がいないというお化け屋敷的恐怖のほうが大きかったくらいです。

 

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 鶏肉だと思いますが、例によって美味しかったということしか覚えていません。

 

 戻るとちょうど夕食の時間帯だったため、そのまま食堂へ。相変わらず何を食べていたのか思い出せないという体たらくでしたが、写真を見るに鶏肉らしい何かを食べていたようです。あと今日はビールを飲んでいました。デザートにはパイとアイスらしいものを食したようですね。こんな情報聞いたところで、だから何だと思われるでしょうが。

少しでも役立てそうな情報といえば、スペインに来てからの食事で、合わないなと思ったものが無かったことくらいでしょうか。まあ僕はかなりのバカ舌なのであまりあてにならないかもしれませんが、独特の味付けといったものは無かったように感じます。おすすめできるのは生ハムとチュロスです。これはパラドール関係なく、どこで食ってもうまいものにしか出会いませんでした。

 

明日はとうとうアラルコン最終日です。交通網を考えるとアクセスが厳しい場所にあるアラルコンですが、多少の無茶をしてでも行く価値があるところだと思います。クエンカとはまた違った空気が流れていますよ。

 

 

続く

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「旅立チ・初雪ノ頃」

この旅行記は当時撮っていた写真とソ・ラ・ノ・ヲ・ト各話を見直しながら書いているのですが、写真をみているとまた行きたくなるものですね。そして改めて、自分はソ・ラ・ノ・ヲ・トという作品が好きなのだなあと実感できました。年に1回以上は通しで見ているので順調に行けば死ぬまでに100周くらいはできそうです。2020年のソラヲフも参加したいものですね。

 

2016年9月18日(日)

 

家だとアラームを掛けていても昼まで寝てしまうこともあるのに、旅行中はアラームなんてなくてもスッキリ朝早くに目が覚めますよね。旅行のすきなところの一つです。気持ちのいい朝なので昨夜登ったばかりですが、今日という日を屋上から始めるのも悪くないでしょう。

 

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昨日は暗かったのでわかりにくかったですが、屋上の様子はこの様になっています。

 

 周囲の散歩をするのもいいでしょうが、やはりここは宿泊者の特権をフル活用させていただきましょう。他にも宿泊者はいるはずですが、幸いというかなんというか屋上にいる間も他の方が来ることはありませんでした。少しくらい他の宿泊者と交流してみたかったのですが。まあ交流と言っても言葉がわからないので会釈程度しかできないんですけどね。

 

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朝焼けの空が眩しい。

 

街の入口側に目を向けると、朝焼けの空がいい具合に輝いておりました。もう日は昇っているのでしょうが、未だ雲に覆われているおかげで夜明け感がありますね。暗かった世界が日に照らされてくると、4話を思い出してしまったのですが、残念ながら僕は相変わらず、ただぶらぶらしているだけで、カナタのように突然トランペットがうまくなるといった素敵なことは起こりませんでした。まあ美しい景色が見られただけで充分です。

 

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あまりの美しさに思わずパノラマ撮影をしてしまいました。

 

 周囲に高い建物がない、というかそもそも建物がほとんど無いため、城壁や見張り台が映えて見えます。歴史的に価値があるのかどうかは無学な僕にはわかりませんが、新しく手を入れることをせず、そのままにしておくことの美しさを知ることができたような気がしました。周囲に柵なんかが立てられていたら魅力半減どころではないでしょうからね。

 

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朝食のメニュー。かろうじて読めるものばかり注文しました。

 

一通り景色を満喫してからは、いい時間になっていたので食堂へ向かいます。アラルコンのパラドールはクエンカのものと異なり、メニューから好きなものを満足するまで注文出来るスタイルのようです。宿泊客も限られていますし、このほうが効率的なんでしょうね。

 

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パンはどこで食っても美味いですね。こんな場所で食べると尚更です。

 

せっかくのスペインなのでチュロスと、いくつかパンを食したのですが、丁寧に盛り付けられて給仕されるものですから、場所も相まってまるで自分が貴族にでもなったのではないかと錯覚してしまいました。窓から見える景色は穏やかで(貯水池側が見えないのが残念ですが)、普段は急いで朝食を詰め込み出かける僕も、本当の余裕とは何なのか、理解することができました。

 

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カフェスペース。この奥が食堂になっています。

 

食事を済ませてから部屋に戻ろうかと思ったのですが、カフェスペースに誰もおらず、とても静かな時間が流れていたため、ここで休んでいくことにしました。嘘です。本当は、ちょうど僕が食事を終える頃、一組の家族が食堂に来たのですが、二人いた娘さんが超絶に可愛らしかったため、僕は部屋で休んでいるよりは、ここに留まっておくことで、ふとしたきっかけから仲良くなれるのではと大変邪な思いを胸に休んでいました。静かな時間とかどうでもよかった。

 

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カフェスペースの隅にあった暖炉。本当に使うときもあるのでしょうか。

 

カフェスペースでキョロキョロしながら待っていたのですが、5分ほど経った頃、「知らない人に話しかける度胸など無い、というかそもそも言葉が通じない」という根本的な問題に気づいたため、とっとと部屋に帰りました。というか、父親もいたのに僕はどうするつもりだったのでしょうか。いいとこ、ボコボコにされてフカル川に流されてしまうがオチでしょう。旅の魔力とは恐ろしいものです。

 

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駐車場の車は昨日より増えていたような気がします。あと路駐も多かった。

 

一休みしてからは散歩にでかけました。散歩と言っても目的地は決めてあるのですが。パラドールを出てからすぐの駐車場には多くの車が止まっておりました。全部が観光客のものなら大したものだと思うのですが、地元民も駐車場として使っていたりするのでしょうか。そういえば、クエンカでは何人か日本人を見かけましたが、アラルコンでは一人たりとも見かけませんでした。クエンカの空気が好きならこっちも合うと思いますが、やはり交通路がネックなのでしょうか。

 

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街の広場のような場所。最初左手の建物が駅にみえて驚いた。

 

しばらく歩いていると広場のような場所に出ました。これだけ広い場所でしたが、車が止まっているだけでほとんど人はおらず、隅の方で話している二人組や、観光客らしい家族連れがいる程度でした。右手の建物が教会らしいのでそこを見に来たのでしょうか。僕も寄っていこうとしましたが、扉は固く閉ざされており、そもそも入っていいのかも分からなかったため、断念しました。

 

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教会の横にはEDにも出ていたあの場所が。

 

そのまま教会の横を通り抜けていこうとしたとき、ここがEDに登場していた場所だと気が付きました。いつの間にかスロープが出来ているために少し雰囲気が変わっていますが、カナタが跳ねていたあの場所で間違いないでしょう。そのうちセーズの街にもバリアフリーの波が押し寄せるのかもしれません。

 

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絶好の散歩日和です。車通りもほとんどありません。

 

目的地は街の外にあります。初日にタクシーで通ってきた道を逆に辿るように進んでいきます。駐車場や路上に多くの車が止まっていましたが、その割にはほとんど車通りはありませんでした。やはり、止まっている車の多くは地域住民のものなのでしょうか。鉄道どころかバスも来ないのでは、完全なる車社会でしょうしね。

 

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街に入ったり出たりするためには城壁の門を何度かくぐる必要がある。

 

アラルコンという街の中と外を行き来するためには、必然的に城壁の存在を意識させられます。古くからある城壁と新しく出来たアスファルトの道路が混ざりあってアラルコンへと通じる道を作り上げています。街へ入るためには城壁の門をくぐる必要があり、その逆も同じです。古くからのものを自然に受け入れる、良い街づくりだと思います。

 

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アラルコン南側の風景。フカル川で隔てられた色の対比が良い。

 

 アラルコンは要塞都市と言われているだけあって、ついつい城壁に目がいってしまいますが、周囲の地形もまた着目するべきところが多くあります。街を囲むように流れているフカル川は美しさを保ちながらも、敵を寄せ付けないためには絶好の形状をしており、街を攻め込むのはさぞ困難だっただろうと簡単に想像できます。

 

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こちらの門は塔?が備え付けられておりました。

 

しばらく進んでいくとまた新たな門が見えてきました。街に入るためには2番めに通る必要がある門ですね。こちらの門にはちいさな塔?のようなものが合わせて建てられており、中に入れるようになっていたのですが、昨日見た見張り台と同じく上にあがる手段がなく、外壁のみに囲まれた吹き抜けになっておりました。役割を考えると、ここも見張りか何かに使っていたと思うのですが、危険だから上に上がれなくしたのでしょうか、自然に崩落したにしてはやけに綺麗なのが気になりました。

 

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街の外からパラドールに向かっての一枚。RPGで街に入る前みたい。

 

このあたりで後ろから何人かがやってきました。よく見ると朝食のときにみた家族連れでした。これは運命的な出会いか!と一瞬身構えましたが、現実には何も起きず、家族仲良く談笑しながら僕の横を通り抜けていきました。まあこれだけ天気がいいと散歩したくなりますよね。普段は一人旅であっても寂しさなぞ感じない僕ですが、このときばかりは何かもの悲しさを感じました。まあそれだけ幸せそうだとこっちなんて見向きもしませんよね。

 

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この門が一番THE・城壁という感じがしますね。横に長く広がってますし。

 

気にしても仕方ないので先へと進みます。どうやら目的地が同じようなので一緒に行く感じになってしまいましたが、特に何も起こるはずもありませんでした。現実なんてそんなもんですよね。そうこうしているうちに最後の門が見えてきました。街に入るためには最初に通る門ですね。目的地もすぐ近くです。

 

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この城壁を沿っていった場所に目的とする場所があります。

 

門をくぐるときにはもう、目的地が大きく見えていました。この城壁に沿って歩いていくともう目的地です。ふと思ったのですが、昔はこの門にも扉がついていたり、門番がいたりしたのでしょうか。こういう場所を歩いていて何が楽しいかっていうのは、こうやって古い時代に思いを馳せるときですね。人が少なく、静かに過ごせるのも妄想を加速させてくれます。

 

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この門を通ってアラルコンの街に入っていくことになります。

 

目的地に向かうためには、このまま道路を進んでいっても良かったのですが、この城壁沿いに坂を上がっていったほうが早いため、そちらを選択しました。城壁を間近で眺めながら歩いているとテンションも上がります。

 

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 ある意味で13話を象徴する場所ですね。この塔にも登ってみたいものです。

 

まあ皆さん分かっていたかと思いますが、目的地と言っていたのは、 13話でカナタがリオを見つけたこの場所でした。近くまで来ると塔が思っていたよりも大きく、圧倒されます。これも見張りや監視のために建てられたのでしょうか。いつかは登ってみたいものです。時計塔といい、ソ・ラ・ノ・ヲ・トの舞台になっている場所は高いところが目立ちますね。

塔の周りには作中でみた景色がたくさん広がっていました。

 

 

続く

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「台風一過・虚像ト実像」

カナタとイリアが出会った場所ちかくからの続きです。

 

2016年9月17日(土)

 

小屋の近くまで来たものの、入れそうな場所がなかったため貯水池側に回り込みます。草木がめちゃくちゃに生い茂っていて通りにくい場所もありましたが、なんとか回り込みますと、作中でもちらっとでてきた場所が出てきました。

 

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シュコがこんな場所にいるシーンがありましたよね。なんか写真が暗い。

 

 作中でもちらっと出ていたこの場所は貯水池から川に水が流れ込むところだったんですね。思いの外流れが早く、離れていても水しぶきが飛んできました。

 

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 小屋の下は普通に水が流れていました。

 

小屋に近づいて驚いたのですが、どうやらこの小屋、川辺と中洲を渡すように建てられており、小屋の下には普通に水が流れ込んでいました。 幅が狭まっていることもあり、流れが早くなっているところもあったので落ちてしまうと結構危険でしょうね。過疎の街というだけあって周囲には全然人がいませんでしたし。それにしてもこんな場所にも落書きを書いているガッツには驚きを通り越して、もはや恐怖を感じます。昔は水が流れていなかったりしたのでしょうか。

 

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 入り口らしきところはガッチリと固められていました。

 

早速小屋に入ってみようと思ったのですが、入り口らしきところは全て塞がれていました。唯一あった金属製の扉は鍵が掛かっているというよりは溶接されているんじゃないのかというほど固く閉ざされており、びくともしません。他に入れそうなところ(多分もともとは窓か何かがあったところ)もコンクリで固められていて入れそうにありません。外観からして屋根が朽ち果てている様子がよく分かるので、倒壊の危険性などから立ち入り禁止にしているのでしょうか。その割には注意書きなどはまったくありませんでしたが。

 実際に行ってみると直ぐに気付くかと思いますが、貯水池側の壁面には人一人がギリギリ通れるくらいの穴が空いていましたので、そこから入ってみることにしました。

 

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 小屋の外と中をつなぐ唯一の穴。体が硬い人は通るのが難しいかもしれない。

 

 荷物をおいてきてからにして正解でした。僕はかなり細身なのですが、そんな僕が体を折り曲げてなんとか通れるくらいの穴しか空いていなかったので、太っている人だと厳しいかもしれません。穴をくぐって早々段差があるので少し転びそうになりました。

 

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 内部もやはり朽ち果てて(荒らされて?)いました。

 

 屋根からもある程度想像できていましたが、やはりというか内部もかなり荒れ果てておりました。壁は大きく削れ、むき出しになっており、扉があったであろう場所にも何もなく、風通しが良い小屋になってしまっていました。まあ屋根にあんな大穴が空いている時点で風通しもクソもないのですが。ゴミも散乱していましたが、思ったよりは少なかったです。そもそも人が来ていないのでしょうね。瓦礫は床に敷き詰められているんじゃないかと疑うくらいには多かったので、サンダルで来ると危険です。

 

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 このタイルには見覚えがありますね。

 

 中に入ってわかったのですが、コンクリで固められていた箇所は内側にレンガを積み、外からコンクリで固めるという念の入れようでした。そして壁面に崩れ落ちながらも配置されているタイル、これこそ幼きころのカナタがイリアに出会ったあの場所にあったタイルと同じものではないですか。この場所がモデルだとはわかっていましたが、こういう物で実際に確認できると、テンションは上がってしまいますね。

 

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 カナタがイリヤと出会ったシーン。

 

小屋の中で一番広い部屋に出ました。ちょうど貯水池と反対側に当たる部屋になります。そしてその突き当りにその場所はありました。この小屋にあって唯一外に開かれている場所。この場所こそが幼いカナタがイリヤが奏でた空の音を聞いた場所です。外の景色も、タイルのハゲ具合も全く同じです。思いを馳せていると、ここに留まったまましばらく動けなくなりました。

作中ではそのようには書かれていなかったと思うのですが、実際のこの場所は、ここから外に出ようとするとすぐ下が川になっており、足場の一つもありません。だからここからはどこにも行くことができず、景色を眺めることしかできませんでした。

 

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 小屋の中で見つけた落書き。こういうのを見ると悲しくなりますね。

 

 部屋の中にはなぜか下までぶち抜かれた大穴が空いており、水の流れが確認できるようになっていました。その穴のフチには、悲しいことに「Aijou yuujou」と記されており、おそらくはソ・ラ・ノ・ヲ・トファンなのでしょう、その方が書いたと思われるひとつの落書きがありました。勿論、関係ない方が書いたということも考えられますが、場所柄を考えるとそうは思えません。こういうことをする人はとっととくたばって欲しいものです。落書き、ダメ、ゼッタイ。

 

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 EDにも登場する橋。アラルコンにモデルが有る場所も多くあります。

 

小屋を出て、川を隔てる橋を渡ります。この橋はEDにもちらっと出ていますね。EDに出ている場所のモデルも半分くらいはアラルコンにあるような気がします。これは渡る前に撮った写真ですが、EDの向きに合わせるなら渡ったあとに撮るのが正しいのでしょうね。あまり関係のないことですが、橋の付近にはやけに動物の糞が落ちており、めちゃくちゃ臭かったです。写真にもちょろっと写ってしまっていますね。これにハエがたかっていたりして、さながら地獄のようでした。 

 

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 橋を渡ってからの一枚。しっかりした橋ですね。

 

この橋はどうやらEDでカナタが手をついている橋でもあるようですね。7話で行われた精霊流シの舞台でもあるのかな、と考えましたが、どう比べてみても一致する点に乏しく、完全なモデルであるとは言い切れないような気がします。橋の雰囲気は結構似ているんですが、川面と陸地の高低差や岩がむき出しになっている箇所の相違が大きく、あるとしても参考にした程度なのかなと感じました。見つけられませんでしたが、アラルコンやクエンカに他に参考にできそうな川辺があるのでしょうか。他にめぼしいスポットがあるとも思えませんが・・・。

 

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 岩場の先に気になるものが見えました。監視塔でしょうか。

 

 ずっと視界に入っていて気になっていたのですが、岩場を登りきった先になにかが建っています。要塞都市にふさわしい見張り台の役割を果たしているのでしょうか。ノクターン型監視装置がふと頭をよぎったのでいけるところまで近づいてみることにしました。

 

 

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 ほどよく崩れ落ちていて良い雰囲気。ゲームに出てきそうだ。

 

 意外にも10分ちょっとでたどり着くことができました。観光コースにでもなっているのか、思っていたより歩きやすく整備されており、サクサクと登ってくることができました。こう時代の流れを感じさせる構造物をみるとワクワクしてきますね。周りに誰もおらず、騒音一つ無い空の下で一人ここに留まっていると、時間の流れを忘れてしまいそうになりました。

後で気がついたのですが、この建造物は13話の冒頭にしれっと出てきていました。作中では付近にお花畑がありましたが、実際には無かったと思います。

 

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 内部の様子。残念ながら上がれるようにはなっていなかった。

 

 特に封鎖されていることもなく内部に入ることができました。「塔の上に出られるかも!?」と少し期待していましたが、実際に入ってみると上がれるようにはなっていませんでした。元々はどこからか上がれるようになっていたのでしょうが、時間の流れによるものか、誰かが管理をしているのか、上がれるような場所は失くなってしまっていました。写真に写っているような突起をうまく使えば上がれたかもしれませんが、降りるときが怖すぎるのでやめておきました。こんな場所で怪我しても誰も助けてくれませんしね。

 

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 このあたりでは水場に顔をつけるといった風習でもあるのでしょうか。

 

一通り堪能したので街へ戻り、探索を再開します。再開して直ぐに顔のついた水場を発見したのですが、こちらの方では水場に顔をつけるのが流行っているのでしょうか。作中では、クエンカにいたやつはアキラ・アルカディア二世がモデルになっているとのことでしたが、こいつは一体何なんでしょうか。そもそも両方人だとは思えないのですが・・・・。

 

 

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 こちらにも大きな教会がありました。

 

 こういうものを見るとやはり文化圏が異なるのだなあと実感するのですが、アラルコンにも大きな教会がありました。残念ながら扉がしまっていたので中の様子を伺うことはできなかったのですが、外観からでも荘厳な雰囲気を感じ取ることができました。

帰ってから知ったのですが、アラルコンには教会が4つあって一応見学はできるようになっているらしいです。しかし、僕はそのことを知らなかったため、空いてたらラッキーだな程度にしか考えておらず、結局一つも見学することなくアラルコンを去ったのでした。次回はリベンジしたいところです。

 

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 アラルコンのパラドールの食堂。クエンカに劣らず良い雰囲気を醸し出している。

 

 探索をしているうちに、いい時間になっていたので食事のためにパラドールへと戻ります。食堂棟はカフェと食堂に分かれており、食堂の方へ行くと適当な席に案内されました。食堂についてまず思ったことはどう考えても座席が多いということでした。全部屋の宿泊客が一斉に食事に来ても問題ないんじゃないかと思えるほど座席数には余裕がありました。でも座席数に対してスタッフの数が明らかに少なかったので、座席は用意しているだけで、少し人数が増えるとすぐにパンクしそうでした。

 

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 メニュー表を撮影したのですが、相変わらずブレブレでした。こんな事もできないのか。

 

 メニューを見てもさっぱり意味がわからなかったので、得意の"recomendar"(レコメンダール)で乗りきったとは思うのですが、今となっては何をどう頼んで何が出てきたのか、もはや全く覚えていません。写真を見るに肉料理を頼んでいたようです。

 

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 メインのお肉。何の肉だったかは忘れてしまった。

 

 何品頼んだのかはわかりませんが、撮影した写真を見るに、パン、前菜のオリーブ、ペースト状の何かとクラッカーらしきもの(うまかった記憶がある)、メインの肉料理(何の肉だったんでしょう、美味いのにめちゃくちゃ食いにくかった)、デザートのアイスと結構な量を食べていました。コース料理として頼んだのか、一品ずつ頼んだのかそれすらももはや定かではありません。あと小生意気にも白ワインを飲んでいたようです。

 

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 パラドールの屋上。魔力を感じた。

 

 ご存知のかたもいらっしゃるかもしれませんが、実はアラルコンのパラドールは屋上に上がることが出来るのです。フロントで上がりたい意思を伝えると屋上への鍵を貸してくれます。あとは宿泊棟のほうから階段を登っていくと古い木製扉があるので、それを開けると屋上へ出られます。屋上といっても殆どが通路部分だけなのですが、アラルコンではパラドール以上に高い建物がそう無いため、絶好の展望スポットとしても活躍します。今は夜なので遠くの景色は見えませんが、月明かりが差し込む屋上にいるとなんだか力が漲るような気がしてきます。

 

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 何か召喚できそうですね。

 

 通路部分だけでなく、少しひらけた場所もあります。夜はパラドールがライトアップされているため、遠くの景色を見ようとしても下からの光に目を潰されてしまい、遠くを見渡すのが難しいです。まあそもそもアラルコン周辺は建物すら無いだだっ広い自然があるだけですので、夜景なんかが見えるわけでもないのですが。

 

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 吸血鬼とか出てきてもおかしくない夜だと思いました。

 

 ライトアップの光があまり届いていないところで撮影するとほとんど真っ暗ですね。そのなかで雲に覆われながらも圧倒的な存在感を誇る月がこちらを眺めています。こんな夜は何かに出会えそうな気がしましたが、残念ながらそんなこともなく夜は更けていったのでした。

 

 

続く