インターネットのけもの

全て妄想です。

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「電話番・緊急事態ヲ宣言ス」

アラルコンに到着してからの続きです。

書き始めて半年も経とうかというのにまだこれだけしか書けていないとは自分の遅筆っぷりにも感心するばかりなのですが、その最大の原因であった長期出張に突如終わりが告げられたため、残りはそんなにかからずにかきあげたいところですね。生来の怠惰っぷりが地元に戻ってきたことによって発動されないことを祈るばかりです。

 

2016年9月17日(土)

 

紆余曲折を経てなんとかアラルコンにたどり着くことができました。たどり着けなかったらどうしようかとも思いましたが、なんとかなるものです。クエンカのおばちゃんに感謝。

親切にもタクシーはパラドールの前にまで送ってくれたので、早々にチェックインしてておきます。街中の散策は身軽になってからの方が良いでしょうしね。

 

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パラドールの入り口。パラドール自体が大きくないこともあって小さな入り口一つ。

 

中庭を通ってフロントへ向かいます。アラルコンのパラドールは全体の部屋数が13だか14とかなり少なく、それが塔部分と宿泊棟に分かれています。パラドール内の施設を行き来するには、この中庭を通る必要があり、フロントと宿泊部屋を持つ塔部分と、宿泊部屋のみの宿泊棟、食堂兼カフェ、これらはすべて中庭に面して建てられています。僕が行ったときは幸いにも晴天続きだったのですが、雨のときには食事に行くだけでも傘を差さないといけないので、それは少し不便かもしれませんね。

こちらのフロントでもクエンカと同じように事前に印刷してきた予約書みたいなものを見せるとあっさりと鍵をもらうことができました。ここで嬉しい誤算がありました。というのも、宿泊予約をする際に、「できれば塔の部屋に泊まりたいな~」と思っていたのですが、塔の部屋を指定して予約する方法がわからず(そもそもそんな方法があるのかも分からない)、運任せになっていたのです。塔の部屋数は宿泊棟の部屋数よりも少ないため(4か5らしいが忘れました)、「多分宿泊棟のほうだろうな」と半ばあきらめていました。ですが、もらった鍵を見るとそこに刻まれていたのは紛れもなく塔の部屋番号だったため、小躍りしたくなるほどテンションが上がってしまいました。

 

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宿泊する部屋の扉。当然ですがクエンカのものとは趣が全く異なります。

 

ちょっと記憶が曖昧なのですが、クエンカと異なり部屋までの案内はなかったと思います。まあ案内などなくても部屋数が少ないのでどこへ行けばいいか迷うことはないと思います。塔にはしっかりとエレベーターが付けられており、古城とエレベーターというギャップが少し面白かったです。

 

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扉をあけて飛び込んできた光景。思っていたよりも狭い。

 

扉を開けるとすぐそこにベッドと椅子、洗面所までが目に入ってきました。奥に見えている扉はトイレの扉でした。どうやらあまり広くない空間に全部詰め込んでいるようです。壁から天井にかけてラウンドしているので余計に手狭に感じるのかもしれません。ラウンドしている壁はレンガと土から作られており、古城の雰囲気をふんだんに感じさせてくれます。確かに狭いのですが雰囲気による高揚からか圧迫感はあまり感じませんでした。

 

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ベッドには天蓋がついていました。王様にでもなったようだよ。

 

 入ってすぐ左手にはベッドがあったのですが、驚いたことに天蓋付きでした。古城に天蓋付きベッド、まるで王様にでもなったような気分です。下賤の身である僕はもちろん天蓋付きのベッドで寝るなんてはじめてのことです。

写真にも写っていますが枕やバスローブなど、いろいろと2つずつ用意されているのが妙にもの悲しかったです。クエンカでの食堂でも皿が二人分用意されていましたし、一人旅って一般的じゃないのでしょうか。彼女なんかを連れてきたら雰囲気最高でしょうが、あいにくこちらはどう考えても一人でしかないのでした。

 

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反対側からも一枚。古城を改装したホテルってのも伊達じゃないですね。

 

洗面所から入口側を見るとこんな感じですね。作中に出てくる家具なんかはパラドールのものを参考にしているのかな?とか考えていましたがあまり関係はなさそうでした。おそらく生活用品なんかは制作スタッフもロケハンしたというセルバンテスの家の方を大いに参考にしているのではと思われます。

あと写真には写っていませんが、中庭に面した壁に一応小さな窓がありました。塔の外壁がかなり厚くなっているため、壁から窓までも距離があり、明かり採りとしてもあまり機能しているようには思えませんでしたが・・・。

 

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お風呂と部屋を隔てるものはこのガラス扉だけでした。

 

 お風呂はまさかの部屋から直結、壁一枚隔てることもなくただ一枚のガラス扉があるのみでした。これだと蒸気が部屋まで流れてきてジメジメするんじゃないかとも思いましたが、実際に入ってみると壁の土がかなり吸収してくれているようで、部屋がジメジメしていると感じることはありませんでした。このへんはスペインの気候も関係しているのかもしれませんね。

 

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中庭にはテーブルが並べられており、くつろげるようになっていました。

 

一通り部屋を堪能したあとは街中の散策に移る予定だったのですが、ちょうど中庭に人がいなかったため、今のうちにさっと確認しておきました。中庭はテーブルがいくつか並んでおり、くつろげるように整備されています。食堂にも面しているため、おそらくそこでコーヒーなんかを頼めば、優雅なコーヒータイムを過ごすことが出来るのでしょう。宿泊棟1Fには誰でも入れるトイレがあるので安心です。

 

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左が入ってきた入り口。右がフロントのある塔部分への入り口。

 

逆方向に目をやると入ってきた入り口と、フロントと宿泊部屋を備えた塔への入り口が見えます。さっきの写真にも写っていた円筒上の設備は井戸でしょうか。蓋がされていてよくわかりませんでした。

ちなみに僕が行ったときはフロントには若い女性の方と、気さくな老紳士のような男性がいらっしゃいました。女性はあまり問題なかったのですが、老紳士の方は英語が通じないようで(僕の英語が下手過ぎて通じなかったか可能性もあります)、google翻訳を通じてなんとかコミュニケーションを取ることに成功しました。

あと、僕はスペインに着いてからはvodafoneのSIMを利用していたのですが、アラルコン付近ではつながらない箇所もありました。パラドールにいる間はWi-Fiがあるので問題ありませんが、近くを散策する際には注意が必要かもしれません。google翻訳も街中では使えないかもしれませんね。

 

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パラドールと街をつなぐ橋。どちらかといえば通路が正しいのかな。

 

再度入り口をくぐり、街中の散策に向かいます。橋を渡り街中へ、観光客らしい人がちらほら見えますがあまり多くはありません。橋を渡ったところは広場になっており、車が10台ほど停まっていた覚えがあります。駐車場も兼ねているのでしょうか。広場の橋の方は視界がひらけており、街の北側を流れるフカル川がよく見えました。

 

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広場からみるフカル川。街から伸びる城壁とあわせて美しい。

 

フカル川はアラルコンの街を囲むようにながれており、街の周囲にそびえ立つ城壁とあわさってアラルコンが要塞都市と呼ばれる要因となっています(「アラルコン」はアラブ語で「要塞」というらしい)。広場からはそのフカル川と城壁がよく見え、歴史を感じさせてくれます。ダムというほどではありませんが、川の一部はせき止められ、貯水池になっていました。

写真中央部からそのせき止められている様子がわかるかと思いますが、その横には一軒の屋根が朽ち果てた小屋が見えました。聡明なる方は気づかれているかと思いますが、これが一話でカナタとイリアが出会ったところです。やっとここまでたどり着けました。街中を見てから降りることにしましょう。

 

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街中でよく見かけたメッセージ。スペイン語がわかれば探索をもっと楽しめるのだろう。

 

街中の探索に戻ります。やはり人のあまりいませんが、その分静かに見て回れるというものです。道中、写真のようなメッセージを何度も見かけました。最初は全部同じかと思っていましたが、途中からどうやら全部異なるメッセージが書かれているのだと気が付きました。スペイン語がわかればもっと楽しむことができたのでしょうか、残念です。

帰ってから調べてわかったのですが、これはカスティーリャ王国摂政であったドン・ファン・マヌエルのものみたいですね。彼は詩人、寓話作家でもあったようなので、これは彼の詩でしょうか。何が書かれているのかさっぱりわかりませんでした。7話のフィリシアの気持ちが少しわかったような気がしました。昔の人の言葉でも、伝わらないっていうのは悲しいもんですね。

 

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突然現れた鉄道カー。めちゃくちゃ乗りたかった。

 

街並みを撮影しながら巡っていると、突然鉄道カーが現れました。こんな過疎の町に一体なぜ?と思ってましたが、観光客向けに走らせているんでしょうね。めちゃくちゃ乗ってみたかったのですがどこで手続きが出来るのかも分からず泣く泣く断念しました。スペイン語がわかれば聞けたのに・・・。

 

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静かな街ではありましたが、集まってパーティをしている集団などもいました。

 

ぶらりと歩いていると、店先で集まって騒いでいる集団を見かけました。過疎が進んだ街とはいえ、まだまだ活気もあるようです。まあ、ただ単に観光客が騒いでいただけの可能性の方が高いような気もします。

 

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もちろん猫もいます。

 

こちらでも猫を見かけました。このあとの散策でもちらほら見かけました。クエンカでも結構な頻度で見かけましたし、スペインは猫が多いんでしょうか。1話にちょろっと出ていただけのはずなのに、なぜかソ・ラ・ノ・ヲ・トには猫のイメージが少しあります。もちろん一番はアフリカオオコノハズクですが。

 

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街を囲む城壁はそんなに高くないところもあります。

 

適当に歩いているうちに、街の北側に突き当たってしまいました。アラルコンは城壁に囲まれた街ではありますが、どこも超えられない高さというわけではなく、そのまま外に出てしまえるところもあります。まだ街中を見終わっていませんが、カナタとイリアが出会った場所が気になって仕方なかったため、城壁を越えて大幅ショートカットです。街の外は斜面に草木が生い茂っており、長ズボンじゃないと痒くなったり切れたりするかもしれないので注意が必要です。このまま降りていき、川沿いを目指します。

 

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こんな景色を眺めながらゆったりと下っていきます。

 

開けた場所もありましたが、基本的には草木が生い茂っており、また城壁の名残か大きめの石がごろごろしていたりもするので足元には注意が必要です。まあそもそもこんな斜面を降りてくるなよって話ではあるのですが。川沿いに降りるまでの正式なルートもあるのですが、ショートカットしたほうが早いじゃんという、まさしく短絡的な理由でこんな訳のわからないルートを選んでしまったのでした。

 

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場所によっては城壁の上に登れたりします。

 

さすがは要塞都市というべきか、あらゆるところに城壁、あるいはその名残が存在しており、場所によっては城壁の上にそのまま登っていけたりします。ただし、写真ではなにげなくに登っていますが、確かこの右側は足を踏み外せば4~5m下まで真っ逆さまという素敵エリアになっており、そのくせ城壁の上はゴツゴツして歩きにくかったので、楽しく遊びたい人にはあまりおすすめはできませんね。

 

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こうやってみると城壁らしさが増しますね。

 

ようやく道路があるところまで降りてくることができました。この道路こそが川まで下ってくるための正式なルートもになっており、一応車も通れるようになっているようです。

 

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アラルコン付近の案内板。読めたらもっと楽しくなるんでしょうね。

 

城壁を越えて少し行ったところには、アラルコン付近の案内板が置かれていました。一部がめちゃくちゃに汚れているうえ、そもそもスペイン語が分からないというダブルパンチを見舞われた僕は、もはや地図と写真くらいしか分かるものはありませんでした。こういうところに書かれているウンチクが結構好きな僕にとっては、びっしりと書かれているこの文章が気になって仕方ありませんでした。

 

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小屋の近くまで降りてくることができました。

 

10分ちょっとで降りてくることができました。待ち望んだカナタとイリアが出会った場所がもうこんな近くに。こちらから見える範囲には小屋の中に入れそうな場所が無かったため、どうやら回り込む必要がありそうです。

タイトル書いてて思ったけど前回のほうがよっぽど緊急事態でしたね。今回何も起きてないし。

 

 

続く