僕は常々「自分は常人の5万倍くらいメンタルが強いのではないか」という、尊大すぎる自己陶酔の中で生活しているのですが、この考えの源が自分のどこにあるのか、長年の間はっきりさせることができないままになっていました。
答えのでないまま、いつも通りの日常を過ごしていた僕でしたが、昨日起きたある出来事から、僕は気がついてしまったのです。
僕は自分が思っていた以上に逃避の達人でした。
先に言ってしまうと、僕は別段優れた人間というわけではないですし、あらゆることを先送りにしてしまう悪癖のせいでいつも締め切り前にあたふたしてしまうという自業自得の権化みたいな男です。
もちろん仕事もサボりまくっているので会社での評価は下る一方という、どうしようもないクズです(最近は在宅勤務が続いているので、暇なときはトランペットを吹いて時間を潰しています!この日記も勤務時間中に書いています!)。
そんな僕が唯一精力的に活動できるのが趣味の世界でした。
行きたいと思った場所にはすぐ出掛け、読みたいと思った本はすぐに読む。このときだけ、僕は充実した生を感じることができました。
しかし、いくら精力的に活動していてもどうしようもないものもあります。そのうちの一つが、僕が長年探し求めているある同人誌です。
僕が大好きな作家が学生時代に書いたその同人誌は、作家デビュー後の作品のプロトタイプが載っているということもあり、僕の心をガッチリと掴み続けていました。
ですが、僕が生まれた頃に発刊された同人誌、しかも文芸分野のものとあっては手に入れる術はまずありません。恐らく国内に30冊も残っていないでしょう。死ぬまでには何とかして読んでみたい一冊ではありましたが、どうすればそれが手に入るのかもわからないまま、半ば諦めた気持ちで、いつかどこかでめぐり逢えたら…、と思いを抱き続けていました。
しかし昨日、ひょんなことからこの同人誌を所有している方の連絡先を知ることが出来たのです。
急いで連絡をとった僕でしたが、帰ってきた答えは残念なことに「No」でした。
普通なら落ち込んだりするところなのでしょう。ですが、不思議なことに僕の心は落ち着いていました。自分では落ち込んだりするんだろうと思っていましたが、全くそんな事はありませんでした。
そのときに気がついたのです。ああ、僕はこうなんだと。
中学生くらいの頃から、僕は漠然と「めちゃくちゃ長生きしたい」と思うようになっていました。そんじょそこらの長生きではありません。それこそギネス記録をダブルスコアで更新、欲を言えば自分が最後の人類になるレベルで長生きがしたいのです。
僕はこれをずっと、自分が「ポストアポカリプスもの」が好きなことに起因していると思っていたのですが、どうやらそれだけではなかったようです。
僕は長生きをすることで、出来る限り多くの「死ぬまでにやりたいこと」がしたかったのです。そして、その希望はいつしか「自分は長生きして色々な出来事を体験するのだろう」という思い込みに変化していました。
だからこそ、現在の時点でなにか出来ないことがあったとしても、いずれ出来るようになればいいや、出来るようになるだろうと、特にストレスを感じることもなかったのです。ある意味で究極の先送りです。
僕が持つ数多くの「死ぬまでにやりたいこと」の中には、現代の科学技術では到底達成できないものもあります。それに対する大いなる時間稼ぎとして、いつしか常軌を逸したレベルの長生きを希求するようになっていたのです。
これは中二病的な言い方をもってすれば、短命である人間の身でありがなら、長命であるエルフの死生観を持ち合わせているようなものです。
ここに僕のメンタルの強さの秘密がありました。
いや、強さというのは間違っているでしょう。なぜなら僕は、単に全ての出来事を未来に先送りしているだけなのですから。今から目を背け、来るとも知れない未来に期待することで、勝手に希望を感じているだけです。
今回のことにしても、「今、目当ての同人誌が読めなかったとしても、いずれは読む機会が回ってくるだろう」という根拠のない楽観により、心理的な負担を感じることがなかったのです。
まあですが、「出来ないものはいつになっても出来ない」という欠点に目を瞑ってしまえれば、これほど楽な生き方もないのかも知れません。死ぬ間際くらいにこのツケを払わされる気もしますが。
わけのわからんことをつらつらと書き綴ってしまいましたが、自分の根幹をなす部分に考えを巡らせるのもなかなか悪くないもんです。
まあ、自分の考えが分かったからといってどうこうしようとは全く思いませんが。
大事なのは「自分はこういう考えだからこうしなきゃ」だとか、「それは自分の考えと相容れないからだめだ」とかそういう思い込みをなくすことです。少なくとも僕は、新しい価値観にはどんどん触れ、吸収していく方が楽しいと思っています。
そうやって最近は麻雀が強くなりました。
うおおおおお、もっと麻雀強くなるぞー!(仕事をサボって麻雀の解説動画を見ながら)