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全て妄想です。

僕がアルアインを買う101の理由

今週末、12月22日に有馬記念中山競馬場・芝・2500m)が開催されます。

毎年、年末のこの時期に開催されるこのレースは、競馬ファンからはもちろん、普段は競馬に興味がないという人からの関心も高く、競馬の祭典といわれる東京優駿日本ダービー)と並んで、日本競馬の盛り上がりに一役買っています。

 

そんな有馬記念に僕が大好きな馬の一頭である、アルアインが出走します。

僕とアルアインの関係については過去の日記に説明を任せますが、30万円をわずか二分足らずで奪われたり、応援に行かなかった時に限ってシレッと勝つようなことがありながらも、どうにも嫌いになれない、むしろどんどん好きになってしまう困った馬です。

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デビュー当時から追いかけていたこのアルアインも、競走馬の宿命には抗えず、約三年間の現役生活を終え、引退するときが来ました。その引退レースに選ばれたのが、有馬記念なのです。

残念ながら、この秋のアルアインの成績はお世辞にも良いとは言えず、競馬ファンの中でもアルアインはもう駄目だという評価が主流を占めています。

しかし、僕はそうは思いません。

アルアインはまだ終わっていない、最後の花道を飾ってくれると信じています。

その根拠を、これから示します。別にアルアインに「私の好きなところ100こ言える?」とか面倒くさいことを言われたわけではありませんが、僕の愛の大きさを示すためにも100こ挙げてやろうと思います。

 

 

1. アルアインは強い

これはもう当然の話なのですが、勝つためには強さが必要となります。もちろん、勝負事には運が絡む要素がありますが、強くないものは運が向いても勝てません。

その点、アルアインは数あるレースの中でも最高峰であるG1レースにすでに勝利したことがあり、その強さは確かなものです。

過去10年の有馬記念を振り返ってみると、9頭いる勝ち馬のうち(オルフェーヴルが2回勝っているため9頭)、7頭がG1レースでの勝利経験がありました。

 

2. G1を二度も制している

そんな強いアルアインですから、G1レースを制したのも一度だけではありません。

2017年の皐月賞、2019年の大阪杯と、二度の優勝経験があります。過去10年の有馬記念勝ち馬のうち、7頭がすでにG1での勝利経験があったことはすでに述べましたが、さらにこのうち5頭が、G1を二勝以上していた馬でした。やはり、強い馬が勝つのです。

 

3. 成績が安定している

今年の秋に出走した2レースこそ二桁着順(10着以下)が続いていますが、それ以前の成績に目を向けてみると、(5-3-2-7)(一着5回、二着3回、三着2回、四着以下7回の意味)と、抜群の安定感があります。

四着以下に破れた7回についても、四着が2回、五着が3回、あとは六着七着と、決して大きくは負けていませんでした。

馬券には、一着を予想する「単勝」以外にも、一~三着にはいる馬を予想する「複勝」、一着と二着になる馬の組み合わせを予想する「馬連」などがあり、三着までに入る可能性があるのであれば馬券として買う価値が十分にあります。アルアインの安定感は、馬券を買う上で無視できません。

 

4. 近年の有馬記念と相性が良い先行タイプである

競走馬のレーススタイルには大きく分けて4つのタイプがあります。それぞれ、「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」と呼ばれ、前者にいくほどほど先頭に近い位置で、後者にいくほど後方待機でレースを進めます。

アルアインは前目で競馬をする「先行」タイプに分類されます。

レースによってどのタイプが有利か不利かというのがあるのですが、近年の有馬記念は先行馬の活躍が目立ち、その傾向は2014年に有馬記念の舞台である中山競馬場の改修が行われてから顕著なものとなっています。2014年以降の有馬記念勝ち馬全てが、「先行」あるいは「逃げ」で有馬記念を制しています。

 

5. やはり先行タイプから狙うべき

さらに見る範囲を馬券の対象である三着までに広げてみると、2014年~2018年で馬券に絡んだ15頭の内訳は、逃げた馬が2頭、先行した馬が10頭、差してきた馬が2頭、追い込んできた馬が1頭、となっています。やはり前に行く馬が強いレースなのです。

 

6. 天候が味方になってくれる

12月22日は現在のところ雨予報となっています。

競馬では、競馬場の状態(馬場状態)を表すのに「良」「稍重」「重」「不良」の4つがあり、コースの含水率によって区分されています。晴天時は「良」で、雨天時にはコースがどれだけ水を含んでいるかによって「稍重」「重」「不良」と分類されます。含水率が一番多い状態が「不良」です。

一般的に芝で行われるレースでは、雨が降り重たい馬場になるほど前に行く馬が有利とされています。これは、アルアインにとってさらなる追い風だと言えるでしょう。

 

7. アルアイン自身は重たい馬場が苦手ではない

馬場が重たくなると極端に成績が落ちる馬がいますが、アルアインはそうではありません。「3. 成績が安定している」でも書いたように、どのような条件であっても成績が安定していることに加え、重たい馬場での実績もあります。

アルアインは過去に「重」の馬場でG2レース(G1レースの次に格が高いレース)で二着になっており、このとき負かした相手にはG1馬が二頭もいました。

重馬場のシンザン記念(G3)で六着、不良馬場の菊花賞(G1)で七着に敗れていますが、シンザン記念では前の馬にぶつかりそうになる不利が、菊花賞はそもそも3000mもあり、アルアインに向いていなかった、という明確な敗因が挙げられます。

 

8. 有馬記念は距離適性が曖昧なレースである

昔から有馬記念マイラーでも好走できるレースだと言われています。

マイラーというのは1600mの競走を得意とする競走馬のことで、一般的には短距離に近い分類です。それに対し、有馬記念は2500mを競う、どちらかと言えば長距離に分類されるレースです。

それなのになぜ、マイラーが好走出来ると言われているのか。

それは、中山競馬場の2500mというコース形態が、コーナーを6回含む小回りなコースで、道中にさほどスタミナを消費しなくても済むコースだからと考えられます。

かの有名なオグリキャップは、有馬記念を二勝していますが、他に勝ったG1はマイル(1600m)のレースだけでした。

アルアインは2000mまでのレースでしか優勝経験がありませんが、その2000mのレースにはG1が含まれています。つまり、2000mまでであれば一線級にも引けを取らない能力を持っているのです。マイラーでも好走できるコース形態であるならば、未知の2500mだって恐くはありません。調教師も「年齢的にズブさが出てきたので、これくらいの距離の方が走りやすい」とコメントしています。

 

9. 名馬は必ず復活する

先に挙げたオグリキャップも今回のアルアインのように、秋の2戦でボロ負けし人気を落としていた馬でした。

オグリキャップは終わった」

そんな声も多く、引退レースとなる有馬記念には出走せず、もうそのまま引退したほうがいいんじゃないかという意見まであったといいます。

そんなオグリキャップでしたが、下馬評を覆し見事優勝。引退の花道を自ら飾ったのでした。

名馬は必ず復活します。そして、アルアインは名馬です。

 

10. 引退レースに有馬記念はアツい

1984年にグレード制が導入され、有馬記念はG1となりました。これ以降、引退レースとした有馬記念で有終の美を飾った馬は、オグリキャップトウカイテイオーシンボリクリスエスディープインパクトダイワスカーレットオルフェーヴルジェンティルドンナキタサンブラックなどが挙げられます。

なかには、競馬に全く興味がない人でも聞いたことのあるレベルの名馬も入っています。

アルアインがこの馬たちに並ぶ存在である!とまでは言いませんが、名馬であるアルアインもまた、引退レースで有終の美を飾るに足る存在です。

 

11. 中山競馬場への馬場適性が高い

有馬記念が行われる中山競馬場はトリッキーなコースだとよく言われます。先程も触れたように、小回りで直線も短いことが原因です。そのため、昔から他の競馬場では大したことがなくても、中山競馬場ではめっぽう強い中山巧者と呼ばれる存在がいました。

いちばん有名なのはマツリダゴッホでしょうか。この馬は生涯に27戦10勝という成績を残しましたが、10勝のうち8勝が中山競馬場のものでした。そのなかには有馬記念もありました。

アルアイン中山競馬場では3戦して一着が1回、二着が2回と、連帯(一着か二着をとること)を外したことがありません。しかもその内容は、皐月賞(G1)で一着、G2レースで二着が2回とレベルの高いものです。アルアインも中山巧者の資格は十分に持っています。

 

12. アルアインは右回りが得意

日本には現在、JRAの競馬場が「札幌」「函館」「福島」「新潟」「東京」「中山」「中京」「京都」「阪神」「小倉」の10場あります。

各競馬場にはそれぞれの特色があり、特定の競馬場で強いという馬もいたりします。

競馬場の違いの中で最も大きなものが何かと言えば、それは右回り左回りでしょう。

10場ある競馬場のうち、「東京」「中京」「新潟」の3場は左回り(反時計回り)で、それ以外は全て右回り(時計回り)となっています。

アルアインは右回りを特に得意としており、左回りでは4戦して全て四着以下に敗れているのに対し、右回りでは14戦して(5-3-2-4)となっています。右回りでの成績がめっぽう良いのです。

 

13. 斤量に慣れている

競走馬がレースに出走する際には、負担重量ともいわれる重りを背負って走ることになります。これは騎手の体重も含んだものになっており、馬の年齢や性別によってレースごとに定められています。

馬によっては斤量が重くなった途端に全然走らなくなってしまったりするのですが、アルアインにはその心配がありません。

有馬記念で背負うことになる斤量は57kgですが、アルアインはもう二年以上も57kg以上の斤量で走り続けており、またその斤量を背負った状態でもG1「大阪杯」を一線級の相手を凌ぎきって制しているからです。

 

14. ずっと高いレベルで戦い続けてきた

レースには格(グレード)というものがあります。

歴戦の猛者が揃う有馬記念のようなG1レースから、デビューしたばかりの馬たちが集う新馬戦まで、おおまかに10のクラスに分けられています。

「G1」を頂点に、「G2」「G3」と格を下げていき、さらに「リステッド」「オープン特別」「3勝クラス(旧1600万下)」「2勝クラス(旧1000万下)」「1勝クラス(旧500万下)」「未勝利」「新馬」が存在しています。

全てのサラブレッドは「新馬」からスタートし(「未勝利」からスタートする馬もいますが…)、勝ち上がっていくことでクラスを上げていきます。「G3」以上は重賞と呼ばれ、だいたい週に2回ほどしか開催されない、強者のためのレースとなります。

毎年7000頭以上のサラブレッドが生産される中での競争は熾烈そのもので、「G1」レースともなると出走するだけでも大変です。「G1」では勝てない馬でも、「G2」ならあっさり勝ってしまう、というのもよくある話です。

アルアインはこれまでに19戦していますが、そのうち11戦がG1です。中には海外で開催されたレースも含まれています。ずっと一線級で戦い続けてきた、その中で掴み取った「G1」2勝の実力は本物です。

 

15. 世代レベルも高い

毎年7000頭以上のサラブレッドがデビューすると書きましたが、レベルが高い馬が揃う年もあれば、そうでない年もあります。

アルアインの世代がどうかと問われれば、僕は間違いなく世代レベルは高いと答えるでしょう。

アルアインを筆頭に、レイデオロ、キセキ、スワーヴリチャード。ウインブライト、ペルシアンナイト、サングレーザー、ミッキースワロー、クリンチャー、ダンビュライト。いずれもここ3年間日本競馬を盛り上げてきた存在です。

先月開催されたジャパンカップにおいては、アルアインの同世代であるスワーヴリチャードが優勝しました。牝馬ですが、宝塚記念を制したのもこの世代であるリスグラシューです。

優れたライバルの存在は、きっとアルアインを強くしています。

 

16. 5歳馬である

アルアインは5歳の馬です。

馬の年齢の数え方は、生まれた時を0歳とし、以後1月1日を迎えるたびに1つ歳を取る方式が取られています。

競走馬はほとんどが2歳でデビューし、その後引退のときが来るまで走り続けます。引退の時期は馬によって違いますが、5歳か6歳で引退する馬が多いです。

馬の寿命は25年~30年ほどで、競走馬の期間の年齢を人間に換算すると、だいたい10代前半から20代前半に相当すると言われています。

レースによってはこの年齢による差異を埋めるために斤量に差が設けられているものもあり、有馬記念もそうなっています。

そのため、3歳の馬が斤量的には有利とはなっているのですが、過去10年の有馬記念の勝ち馬を見ると、3歳馬が5勝、4歳馬が1勝、5歳馬が4勝と、有利なはずの3歳馬とほとんど差がありません。

有馬記念は斤量による有利さだけではない、年齢を重ねたベテランも輝けるレースなのです。

 

17. 鞍上と手があっている

馬の上に乗る人(騎手)のことを鞍上といいます。

今回アルアインに騎乗するのは「松山弘平」騎手です。この松山騎手は中山競馬場で開催されたG1「皐月賞」においてアルアインを優勝に導いた経験を持っています。

過去3度の騎乗経験がありますが、この皐月賞の勝利を含めた一着2回、負けたのもG1「日本ダービー」での五着が1回と、全く駄目だと評価されるようなものではありません。

最近は日本競馬においても、外国人騎手の活躍が目立ちますが、アルアインに関しては、外国人騎手で勝利したのが「新馬戦」と「500万下(今の「1勝クラス」)」のみで、「G1」「G2」では全て敗北しています。重賞以上を勝利したのは日本人騎手でのみです。

アルアインに乗ったことがある騎手は複数いますが、G1勝利に導いた松山騎手は特に相性が良いと言えるでしょう。

 

18. 調教師が有馬記念最多勝である

競馬に置いては、競走馬とそれを操る騎手ばかりが注目されがちですが、育成を担う調教師も忘れてはいけない存在です。

アルアインを管理する「池江泰寿」調教師は、数多くの馬を勝利に導いてきた名伯楽です。特にその力は有馬記念で発揮されており、有馬記念最多勝の四勝の記録を持っています。

有馬記念の勝ち方を熟知している池江調教師の手によれば、アルアインの勝利にも期待ができます。

 

19. 馬格がある

馬格とは馬の大きさを表す言葉です。大型馬のことを馬格があるといい、小型馬のことは馬格がないといいます。

過去7年の有馬記念において、体重が500kg以上の馬格がある馬が連対を続けており、アルアインもこの条件に当てはまっています。

今年の有馬記念出走馬16頭のうち、500kg以上で出走すると思われる馬はアルアインを含む5頭だけですので、アルアインがこの条件を今年も継続させる存在になることは想像に難くありません。

 

20. 枠番の妙を狙う

1レースあたりに出走できる競走馬の頭数は決まっており、最大でも18頭となっています。最大の頭数のことをフルゲートと呼んだりもします。

有馬記念のフルゲートは16頭で、8つに分けられた枠に2頭ずつが収まる形になります。

枠による有利不利が大きいコースも存在しているのですが、中山2500での枠番ごとの成績を比べてみると、そこまで明確な差異は見受けられませんでした。

アルアイン自身は内枠に入ったときの方が成績が良く、なんとしてでも内枠をつかみ取りたいところでしたが、残念ながら今回の有馬記念では13番枠というやや外目の枠を掴まされる形となってしまいました。

しかし、諦めることはありません。過去の有馬記念では、外枠からでも、先行した馬が上位に食い込むということは何度もありました。内枠のほうがレース運びがしやすかったことは事実ですが、外枠からでもスタートをスムーズに決め、早めに前に押し出せば、すんなりと先行して理想的な競馬を進めることは可能です。

 

21. 早い上がりは必要ない

レースには上がりという概念があります。

これは、レースは最後の3ハロン(約600m、1ハロンが200m)か、4ハロンでペースアップすることが多いため、特にその区間で掛かった時間を上がり3ハロンとか4ハロンと呼ぶものです。

競馬場ごとに上がりにはバラツキがあり、馬場状態によっては上がり3ハロンで33~35秒台、早ければ32秒台も出ます。

ここで過去5年の有馬記念で馬券に絡んだ馬15頭の上がり3ハロンを調べてみると、出走馬全体の中で最速の上がりを出していたのは1頭のみで、10頭は平凡な上がりタイムでした。

これは先行する馬が有利とも繋がるのですが、早めに前につけて粘り込みを図れるならば、最後に早い脚を使う必要はないのです。

  

22. その身に流れる名馬の血

競馬を語る上で外せない要素の一つに血統があります。

サラブレッドは人間の手によって改良され続けてきた品種であり、世代を重ねるごとにたしかに力を増してきています。過去のレコードタイムは更新され、新たな記録を生み出した名馬が、また新たな名馬を生み出す。この営みが繰り返されてきました。

アルアインは父:ディープインパクト、母:ドバイマジェスティ、という血統を持っています。

ディープインパクトは説明不要の名馬であり、ドバイマジェスティアメリカで活躍した名牝です。偉大なる両親から生み出されたアルアインが、また偉大な存在になるのは当然のことです。

 

23. 日本競馬を変えたサンデーサイレンスの血

アルアインの父であるディープインパクトの父は、サンデーサイレンスというアメリカで活躍していた馬です。

引退したサンデーサイレンスは日本で種牡馬となり、日本競馬を一変させました。ディープインパクトを始め、続々と名馬を排出し、種牡馬にまつわる記録を塗り替えていきました。

サンデーサイレンス以前と以後で時代区分が作れるほどの衝撃を日本競馬界に与えたのです。

過去5年間で馬券に絡んだ15頭のうち、11頭はサンデーサイレンスの血を引いています。もちろん、アルアインもこの血を引く1頭です。

 

24.  調教の動きが良い

競走馬はレースに向けて能力の向上と体調の調整のために、調教を行います。

調教には、走らせるコースや走らせ方(一頭だけで走るのか、他の馬と一緒に走らせるのか)に種類がありますが、基本的にはどれも調教時に走った際のタイムが測られており、それが一つの基準となります。

今週アルアインが行った調教は、800mのタイムが54.4秒、そのうちのラスト200mのタイムが12.0秒と、平凡なものではありましたが、これが「栗東 坂路 稍重」の条件で行われていたこと、また数字からは分かりませんが、映像を見ると併走馬を抜かせず、身体をのびのびと使った良い走りをしていました。

調教師も反応が良かったと太鼓判を押しており、体調面の不安はありません。

 

25. 展開が向く

有馬記念は先行した馬が、有利であることはすで述べましたが、これを狙っているのは何もアルアインだけではありません。

競馬は複数の馬で行うものですから、当然ほかにも前に行くことを狙っている馬はいます。

そんななか、果たしてアルアインはちゃんと前目のポジションをとることは出来るのか。

不可能ではないと考えています。たしかに先行するためには内枠が有利であるのに対し、アルアインの枠番は13番と外目ですが、他に有力な先行馬たちも内枠には入れなかったからです。

外枠から先行しにいこうとする有力馬たちの後ろを狙えば、労せずすんなりと先行することが出来るでしょう。

 

26. 最近の有馬記念はスロー寄り

レースには「ペース」という概念があります。これはレースの流れを表したもので、極端に言えばレースがゆったりと流れ、前に行った馬が有利な「スローペース」と、レースの流れがシビアで、後ろから差してくる馬が有利な「ハイペース」に分けられます。

近年の有馬記念はどちらかと言えばスローよりのペースになることが多く、これはアルアインにとって嬉しい傾向です。

仮にハイペースになったとしても、アルアインはタフな流れでも勝利経験がありますので、悲観することはありません。

 

27. 栗東所属馬である。

日本競馬は大きく「栗東(りっとう)」と「美浦(みほ)」の二つに分類することができます。それぞれ、「栗東」は関西、「美浦」は関東とも言われます。

有馬記念栗東所属馬が強く、過去10年間で栗東所属馬が8勝をマークしています。

栗東所属であるアルアインにも期待していいでしょう。

 

28. 大きく出遅れたことがない

競馬につきものなのが出遅れです。

ゲートが開いたときにスムーズにスタートが切れず、最初から不利な状態でレースがスタートしてしまっては、持てる能力を存分に発揮できるか怪しいものです。

また、出遅れは癖になってしまいやすく、馬によっては出遅れることを前提に予想をしなければならない場合も発生します。

その点、アルアインはデビュー当時はあまりスタートが良くなかったものの、これまでに大きく出遅れたことはなく、安心して観戦することができます。

 

29. 馬券的妙味がある

これまでに1. ~28. で挙げた項目は、レースの予想をする際に、主な基準となるものです。人によって、どの要素に重きを置くかで予想のスタイルは変わってきますが、「出馬表の上でペンデュラムによるダウジングを行い、一番反応が良かった馬を買っています」みたいな人じゃない限り、基本的なところはそう変わらないはずです。

あとはここにオッズ(倍率)という要素が絡んできます。

現時点でアルアインのオッズは単勝111.8倍となっており、レース直前までに大きく変わることもないと思われます。

これほど買い要素に溢れた馬が111.8倍も付くとは信じられないことです。

アルアインは今回の有馬記念で引退、ここを逃すともう二度と馬券は買えないため、今回は積極的に狙っていくべきでしょう。ちなみに馬券は100円から買えます。

 

30. 単勝

単勝はもっともシンプルな馬券で、選んだ馬が一着になれば当たりです。

競馬におけるオッズは、パリミュチュエル方式という、早口言葉で出てきそうなもので決められており、これは馬券の総売上をプールしておき、胴元(ここでは日本中央競馬会JRAのこと)が一定割合を差し引き、残りを予想を的中させた購入者で山分けするというものです。

胴元が差し引く割合(控除率)は馬券の種類ごとに異なり、単勝は20%が差し引かれます。これは、全馬券において複勝とならんで最も低いものとなっており、購入者側からすればオトクな馬券となります。

現在(2019/12/21 22:52)アルアイン単勝オッズは111.8倍、ちょっと計算してみましたが、このオッズだと単勝馬券を買っている購入者は約0.7%という人気のなさっぷりです。オッズは変動するもので、最終的なオッズは馬券の発売が締め切られてから確定するのですが、この調子だとおそらく100倍を下回ることは無いと思われます。

ですが、これはハッキリ言ってチャンスでもあります。これまで挙げてきた理由にもあるようにアルアインに勝ち目が全く無いわけではありません。多くの人はアルアインが勝つことはまずないと思っているのでしょうが、大衆はいつだって愚かなもの。 いつだって最後に笑うのは優れた観察眼を持つものなのです。

 

31. 複勝

複勝もまたシンプルな馬券で、こちらは選んだ馬が一着から三着に入れば当たりというものです。一着になろうが三着になろうがオッズに変わりはなく、同じ額が払い戻されます。

控除率単勝と同じ20%、控除率の低さと当てやすさから根強い人気がある馬券です。初心者の方が馬券の買い方を経験者に聞いたとき、最初におすすめされるのが複勝ではないでしょうか。

アルアインはこれまでに19戦して三着以内が10回、複勝率は約52.6%となります。

そんな馬が現在(2019/12/21 22:52)12.4-23.5倍(複勝のオッズは一着から三着になった馬の組み合わせで幅が出る、人気馬で決まると安く、人気薄で決まると高くなる)で買えるというのですから、これはもうかなりオトクと言わざるを得ません。

 

32. 応援馬券

実際には応援馬券という種類の馬券はなく、実態は単勝複勝を同額で組み合わせた馬券のことをいいます。馬券には「がんばれ!」と印刷されることから頑張れ馬券と呼ばれることもあります。

主流になりつつあるネット投票では購入することができず、競馬場やWINS(場外馬券発売所)でマークシートによる投票を行う場合にのみ購入することができます。「単+複」の式別をマークすると応援馬券になります。

好きな馬を応援するという意味を込めて買うこの馬券は、デビュー当時からアルアインを応援し続けている僕にはピッタリの馬券です。

 

33. 枠連

枠連は馬を選ぶのではなく、馬が入っている枠を選び、選んだ枠の馬が一着と二着になれば当たりです。一着と二着の着順は関係ありません。

古くからある馬券なのですが、枠を選ぶというのが他の馬券と異なるところで、初心者にはとっつきにくかもしれません。買いたい馬と同じ枠番に狙えそうな馬がいるときに枠連を買ったりします。控除率は22.5%です。

 アルアインと同じ枠に入っている馬は「ヴェロックス」。今年のクラシック戦線に盛り上げてきた3歳馬で、有馬記念と相性が良いとされる菊花賞で三着と好走しています。

枠連のイメージはチーム戦です。仮にアルアインがしっかりと走れなかったとしても、ヴェロックスが走ってくれれば馬券的には当たりとなるのです。

 

34. 馬連

 馬連は選んだ馬が一着と二着になれば当たりで、その着順は関係ありません。

例えば10番の馬と13番の馬を選んでいた場合、一着が13、二着が10でも、一着が10、二着が13でも、どちらでも当たりとなります。当てやすさの割には、大きな配当も狙える馬連は人気があり、馬券売上の約15%を占めています。控除率は22.5%です。

僕は2016年の天皇賞(春)で、カレンミロティックという馬を推していました。13番人気の単勝オッズ99.2倍という人気の無さでしたが、このカレンミロティックは最後の直線でキタサンブラックと見事な叩き合いを演じ、二着に入り込みました。このとき馬連オッズは201.6倍。もちろん馬連を買っていた僕にとっては嬉しい臨時収入となったのでした。

今回のアルアインも、あのときのカレンミロティックと同じように人気がありません。しかし、その分好走したときには大きな払い戻しが約束されているのです。

 

35. 馬単

 馬単は選んだ馬が選んだ通りに一着と二着になれば当たりで、着順が逆だと外れとなってしまいます。

買う時点で着順を指定して買うことになり、一着10番、二着10番の馬単を買っていた場合、結果が一着13番、二着10番だと外れです。控除率は25%です。

アルアインの人気の無さから、アルアインが一着に来た場合は二着にどの馬が来ても相当な払い戻しが期待できます。少し確認してみると、現在(2019/12/21 22:52)アルアインが一着の馬単は最低でも686.1倍と、100円が安くなったps4が3台買えてしまう金額に化けるほどのものとなっていました。

 

36. ワイド

ワイドは選んだ二頭が両方とも三着以内にはいれば当たりです。

馬連を三着までに拡大したようなイメージで、例えばレース結果が一着13、二着10、三着11だった場合、10-11、10-13、11-13の組み合わせが当たりとなります。控除率は22.5%です。

三着以内に入ることが多いアルアインには向いている馬券です。

 

37. 3連複

3連複は選んだ馬が一着、二着、三着になれば当たりで、その着順は関係ありません。

組み合わせとして当たっていればいいので、例えば10-11-13の組み合わせで買っていた場合、どれが何着になろうと、一着から三着がこの三頭であれば当たりです。控除率は25%です。

馬連よりも更に一頭多く予想しなければならない3連複ですが、「こいつはまあ三着には入るだろう」という馬が一頭いると、その馬を軸に相手を選ぶことで予想がしやすくなることに加え、相手に人気の無い馬が絡んでくると大きな配当も狙えるため、僕は割とよく買う馬券です。

すでに何度も述べているとおり、アルアインは三着以内によく入る馬ですので、軸には最適です。

 

38. 3連単

三連単は選んだ馬が選んだ通りに一着二着三着になれば当たりで、着順が異なると外れとなってしまいます。

競馬場で買える馬券の中では最も的中させるのが難しく、その分払い戻し金額にも期待ができます。100倍以上のオッズとなることはざらにあり、過去には2000万円以上の配当となったこともあります。控除率は27.5%です。

そこまでの配当になるためには、上位三頭が人気薄ばかりという条件が必要となりますが、都合の良いことにアルアインは今回全然人気がありません。

アルアインの他に人気のない馬が上位に来ることがあれば、100円が何千万円にも化ける可能性はあります。

 

39. WIN5

JRAが指定する5レース全ての一着馬を当てるという、的中難易度が他の券種と比較できないほど高い馬券です。

競馬場などでは買うことができず(厳密には買えなくないが少し手間)、ネット投票で買う馬券となります。理論上の払い戻し金額上限は6億円で、実際には4億7180万円の払い戻し記録があります。控除率も他の馬券とは一線を画す30%です。

5レース全部の単勝を当てるだけと考えると簡単に思えるかもしれませんが、実際に買うことを考えると、1レース当たり一着になりそうな馬を何頭か買いたいものです。

例えば各レース3頭選ぶとすると、その組み合わせは、3×3×3×3×3で243通りになります。WIN5は一口100円ですので、ちょっと買ってみるかと思っただけで24300円も必要となってしまうのです。これが各レース4頭選んでいたりすると、必要な金額は一気に膨らみ102400円となります。

そんなわけで、実際に購入する際にはレースごとにある程度、選ぶ頭数を絞る作業が必要となります。このときに人気薄の馬は切られてしまいやすいため、どこかのレースで人気薄の馬が勝つとWIN5の配当はすぐに跳ね上がります。100万円以上の配当となることもザラです。

今回のアルアインは圧倒的に人気がなく、本当にG1を2勝、それもそのうち1つは今年勝ったばかりなんだろうかと自分の頭を疑ってしまうほどです。それだけに、もしアルアインが勝つことがあれば配当は余裕で100万円を超え、もうひとつ上の桁にまで届くかもしれません。

夢を掴むのはここです。

 

40. 安平町生まれの馬は強い

アルアインの出生地は北海道安平町(あびらちょう)です。

過去5年間で安平町生まれの馬は3勝を挙げており、その強さを際立たせています。

アルアインの父で誰もが名馬と認めるディープインパクトも安平町出身です。(正確には早来町の出身ですが、早来町と追分町が合併し、安平町が新設されたため、安平町出身としています。)

 

41. 中山の最後の直線は短い

ゴール前に最後に走る直線のことを、そのまま「最後の直線」と呼びます。

最後の直線では多くのドラマが生まれており、レースの中でも一番盛り上がる場所だと言えます。時々テレビなどでレース映像が流れる際には、大抵がこの最後の直線シーンを写しています。

そんな最後の直線ですが、競馬場によって大きく距離が変わっています。

長いものだと新潟競馬場の658.7m、東京競馬場の525.9mなどがあり、短いものだと札幌競馬場の266.1m、そして中山競馬場の310mがあります。

すでに触れたことですが、有馬記念は先行馬が強いレースです。それにはこの直線の短さも関係しています。直線が長ければ前にいる馬を追い抜くチャンスもそれだけありますが、短いと追い抜く間もないままゴールに駆け込まれてしまいます。

直線の短さは、先行するアルアインにとって嬉しい要素です。

  

42. 2019年の松山騎手は一味違う
今年でデビュー11年目を迎える松山騎手ですが、今年は絶好調と言って間違いないでしょう。
現時点ですでにキャリア最多となる年間88勝を達成し、2019年の騎手リーディングでは8位。
アルアイン皐月賞(G1)を制した2017年は年間61勝のリーディング15位だったことを考えると、
これは眼を見張る成長です。
勝率0.103、連対率0.195、複勝率0.287と、どれもこれまでを大きく上回る数値を叩き出し、馬券的にも信頼できます。
今年のG1成績こそパッとしませんが、これは明らかに乗っている馬が強くないからでしょう。二桁人気の馬にばかり騎乗しており、人気になるような強い馬には一度も乗っていません。
確かな強さを持つアルアインに乗る今回は期待できるでしょう。

 

43. 松山騎手の有馬記念にかける思い

松山騎手は今回の有馬記念でのアルアイン騎乗について、
「騎乗依頼を頂けて素直に凄くうれしい。有馬記念は、ずっと乗りたいと思っていたレース。初めてG1を勝たせてもらった馬ですし感謝しています」
と語っています。
実は有馬記念に騎乗するのは初めてな松山騎手ですが、ずっと乗りたいと思っていたレースに、デビュー11年目にして乗るわけですから気合もはいることでしょう。それも、自身に初めてのG1勝利を届けてくれた馬とのコンビで、とあっては不安よりも期待のほうが上回るというものです。

 

44. ブリンカーを外し真価を発揮する

競走馬がレースに出走する際、様々な馬具をつけて出走することがあります。
馬具とは、馬を効率よく制御する目的で付けられるもので、意識を前方に集中させるための「ブリンカー」や、下方の視界を遮り、それを補うために馬が頭を下げることを利用した「シャドーロール」など、様々なものがあります。
もともとアルアインは馬具を付けてはいませんでしたが、不調であった頃に一変を期待して「ブリンカー」を装着するようになりました。
これの効果かどうかは分かりませんが、「ブリンカー」装着後アルアイン大阪杯(G1)を勝つことができました。しかし、それ以外の成績について言えば特に変わったように感じられるところはなく、引退レースとなる「ブリンカー」を外して望むこととなりました。
憶測にはなりますが、アルアインにとって「ブリンカー」はあってもなくても変わらなかったのだと思います。「ブリンカー」を付けていない時代にも皐月賞(G1)を制するなど、良い成績を残していたわけですし、むしろ、顔につけるなんだか邪魔なものという認識ですらあったかもしれません。
今回は、そんな邪魔なものから開放されたアルアインの自由な走りが見られるかもしれません。

 

45. 46494人のファンがいる

有馬記念は他のレースと違い、ファン投票によって選ばれた上位の馬に優先出走権が与えられます。

この形式となっているのは、宝塚記念有馬記念のみで、この二つのレースはグランプリと呼ばれることもあります。

ファン投票の結果は最終的に発表され、どの馬が何票獲得したかが分かるようになっており、どの馬にどれだけのファンが付いているか知る目安にもなっています。

今年の有馬記念で、アルアインはじつに46494票もの支持を受けており、これは昨年の45529票を、わずかながらも上回るものとなっています。

直近の成績が奮わないにも関わらず得票数を増やしているのは、見ている人はちゃんと見ているということでしょうか。玄人好みの強さを隠し持っている馬です。

 

46. 12月22日の有馬記念は5歳馬が強い

今年で第64回を迎える有馬記念ですが、12月22日に開催されたことが、過去に8回ありました。そのうちの5回において、5歳馬が勝利を挙げています。

奇しくも今年の有馬記念は12月22日。今年もそうなってもおかしくはありません。

 

47. 有馬記念の始まり

そもそも有馬記念の起源はどこにあるのでしょうか。

有馬記念は設立当初、「中山グランプリ」という名前で開催されていました。

当時の第二代日本中央競馬会理事長であった有馬頼寧(ありまよりやす)が、「中山競馬場でも日本ダービーに匹敵する大レースを」と提案し、世界でも類を見ないファンによる投票によって出走馬を選ぶ「中山グランプリ」を創設しました。

その翌年、有馬は急逝、それまでの功績が称えられ、「中山グランプリ」は第二回から「有馬記念」へと名前を変えたのでした。

優れた功績を残したものは後世に名を残す。これは馬にも言えることで、レースの中には、「シンザン記念」や「セントライト記念」のように、過去の名馬の名を冠したものが多くあります。

そのうち「アルアイン記念」なんてものが出来るといいなあ。

 

48. 有馬頼寧の功績

有馬はファンサービスの拡充に努めた人物でした。

球団オーナーの経験からか、競馬にもプロ野球オールスターゲームのようなオールスター戦を、ということで「中山グランプリ」を創設し、競馬の運営に資金が必要とあれば、売上の国庫納付を免除するための特例法の制定に尽力し、得た資金で競馬場の整備・拡充を行うなど、柔軟な発想で人々に楽しんでもらえる競馬づくりを目指しました。

日本短波放送によるレース実況の開始など、今にも通じるものの基礎は有馬が築いてきたものです。

競馬はギャンブルではありますが、決してお金のやり取りだけの非情な世界ではなく、あいつとあいつが戦ったらどうなるんだろう、その勝負を見てみたい!という純粋な興味を満たしてくれる娯楽でもあるのです。

僕もアルアインのことは純粋に応援しています。

 

49. 必要なのは柔軟な発想

なぜ有馬はこれほど柔軟な発想で競馬の改革を行うことができたのでしょうか。

その理由の一つに、有馬が競馬の全くの門外漢であったことが挙げられます。有馬の経歴をみてみると、そこには「政治家」「農政研究者」「球団オーナー」「日本卓球界総裁」と、競馬と関係ない様々な項目が並びます。

競馬に関わり始めたのは初代日本中央競馬会理事長、安田伊左衛門の後任として招請されてからです。しかし、そこから柔軟な発想を活かし、競馬の発展とファンのために尽力した結果、今では大レースとして年末の一大行事となった「有馬記念」を生み出したのです。

アルアインもこれまでに海外を含む様々な競馬場での競走経験があり、それは初めて走るコースである、中山2500でもきっと活かせるはずです。

 

50. クラシックレースの価値

安田伊左衛門にも触れておかねばなりません。

安田は「日本競馬の父」とも呼ばれ、近代日本競馬の礎を築いた人物です。有馬と同じく競馬の発展と大衆化に尽力し、今ではその功績が称えられ、「安田記念」としてレース名に残っています。

安田の功績の中で最も大きなものは、イギリスのレース体系を参考に、クラシック五大競走(桜花賞皐月賞オークス日本ダービー菊花賞)を創設したことで、これらはいずれも現代でも大レースとして毎年盛り上がりを見せています。

クラシックレースはいずれもG1なので、出るだけでも強さが求められます。アルアインはこのうち、牡馬が出ることの出来る、皐月賞日本ダービー菊花賞、全てに参戦しており、さらに皐月賞では勝利を収めています。頑丈さと強さは保証されているのです。

 

51. 一念岩をも通す

安田の功績の中でもう一つ大きなものがあります。

それが「旧競馬法」の制定です。1908年、当時の政府は馬券の射幸性が高まると、刑法を根拠として馬券の発売を禁止しました。

安田は、「私には馬しか無い。馬券を復活して競馬が隆盛を極めるまで諦めない」と決意し、自ら議員となって問題解決のために尽力しました。そして、馬券の発売が禁止されてから15年間という長い期間を経て、ついに「旧競馬法」を成立させました。

一念岩をも通す。僕にはアルアインしかありません。

 

52. 日本競馬のはじまり

安田伊左衛門、有馬頼寧は競馬の大衆化に尽力しました。

では、そもそも日本競馬のはじまりはどこにあるのでしょうか。

1800年代後半から日本にサラブレッドが輸入されたり、外国人による居留地競馬が開催されていたり、それを模倣した日本人による競馬が開催されていたり、と競馬の萌芽はあったのですが、ここでは、馬政局が設置された1906年をひとつの基準として考えてみます。

馬政局は、日進・日露戦争で日本の軍馬が弱いことを痛感したことにより、勅令によって設立されたもので、軍馬の改良育種を目的とした行政機関です。馬政局は、国内における官民の馬産事業を振興するためには競馬で優劣の判定を行い、馬券を発売することで資金を調達する必要があると訴えました。これが現代の日本競馬につながっていきます。

日本競馬のはじまりには軍馬の育成という目的がありました。アルアインも生まれた時代が違えば、軍馬として活躍していたかもしれませんね。

 

53. 小岩井農場

今でこそチーズや牛乳、スイーツなどで有名な小岩井農場ですが、政府方針に従い方針を転換した1905年から、GHQ占領政策の影響を受けた1949年まで、競走馬の生産を行っていました。

イギリスから輸入された種牡馬から生まれた小岩井農場生産馬はめっぽう強く、昭和初期に創設された日本ダービーをはじめ、戦前の日本競馬史に燦然と輝く成績を残しています。日本初の三冠馬となったセントライト小岩井農場産です。

特に、農場の名を背負った「コイワヰ」は異例の強さを誇っていました。3歳から9歳まで走り、戦績は82戦45勝、天皇賞の前身である帝室御賞典をレコードガチ、現代ではありえない160ポンド(=約72kg)の斤量を背負っても勝ってしまうという化け物ぶりを見せていました。

アルアインもコイワヰくらい長い活躍をしてもらいたかった。

 

54. 日本競馬の歴史

ちょっとそろそろ自分でも何を書いているのかよくわからなくなってきたので、アルアイン中心の話に戻ります。

日本競馬の歴史は調べてみるとものすごく面白いし、ここでは挙げていない化け物みたいな名馬もゴロゴロいるので(ヒサトモとかトキノミノルとか)、調べがいがあります。

そのうちアルアインも未来の人が調べるような存在になってたりしないかな。この

有馬記念を制すれば可能性はあると思うのですが。

 

55. アルアインの来歴

アルアインは3年前の2016年10月29日にデビュー戦を迎えました。

クラブ馬であるアルアインは、募集価格が一億円と高額であったものの、デビュー前は調教で併せた馬に遅れてばかりでその活躍が心配されていました。一時は530kgあったという大型馬で、すぐに活躍するのは難しいという評価もありましたが、新馬戦ではあっさり勝利。続く千両賞も勝利し、競走馬として活躍の道を歩み始めたのでした。

ちなみにデビュー前に調教師から出されたコメントには、「距離はよくいってマイルあたり、何とか1600mまで走れるようにしていく」というものがあり、これは今から思えば的外れもいいところです。調教師の予想を超える成長を見せたアルアイン

最後の活躍にも期待したいところです。

 

56. 2歳新馬(2016/10/29・新馬・京都・芝1600・良)

スタートはあまり良くなく、直後からムーア騎手が促していったものの、あまり反応は良くなく、後方からの競馬となりました。

しかし、さすが名手というべきか、道中ではアルアインを自然と馬込みに誘導し、気合を付けさせます。

これでエンジンが掛かったアルアインは4コーナーで一気に加速、外に持ち出し先頭集団を捉えにかかります。

先に抜け出した一頭と叩き合いを演じ、最後に半馬身抜け出したところでゴール。三着馬には六馬身もの差をつけた見事な追い比べでした。

今の先行スタイルとは異なり、差しのスタイルで勝利を収めた新馬戦だったのです。

 

57. 千両賞(2016/12/23・500万下・阪神・芝1600・重)

 新馬戦で悪かったスタートは改善され、今回はスタート直後からすっと先団に取り付け、内ラチ沿いでじっくりと競馬を進めます。

そして4コーナーに入るところで内からスルスルとポジションをあげていき、4コーナーに入ったところで先頭に並び掛けます。

最後の直線であっさり内から抜け出すと、迫る後続を抑え込んで危なげのない勝利を収めました。

 

58. シンザン記念(2017/01/08・G3・京都・芝1600・重)

 雨降る中で行われた重賞初挑戦。

スタートはあまり良くありませんでしたが、直後から押して行ったことでなんとか先団後方あたりにポジションを取ることができました。

そのまま内で競馬を進めていたアルアインでしたが、それが仇となってしまいます。

これまでのように4コーナーで先頭を捉えにかかろうとしたところで、前の馬がよろめき、 スピードが乗り始める一番いいところで進路を塞がれたのです。この不利は大きく、アルアインも大きくよろめき進路を変えざるを得ないものでした。

更にそこから伸びようとしたアルアインでしたが、またもや前方に他馬がおり、実力を発揮できないまま六着に敗れてしまいました。

このときの勝ち馬は千両賞で二着だった「キョウヘイ」であり、スムーズならアルアインが勝っていた可能性は十分にあったと思われます。

 

59. 毎日杯(2017/03/25・G3・阪神・芝1800・良)

 シンザン記念からの立て直しを図る毎日杯でしたが、ここには強いライバルが一頭いました。サトノアーサーです。

一番人気1.2倍と、二番人気アルアインの7.7倍に大きく差を付けた評価を受けていました。

しかし、競馬は数字が走るわけではありません。

スタート直後、単独二番手につけたアルアインに対し、サトノアーサーは最後方から競馬を進めます。

直線に入ったところでアルアインは早々と先頭に立ち、千両賞のときのように楽勝するかに思われました。しかし、そこに最後方からサトノアーサーが迫ってきます。

一瞬ヒヤッとさせられるシーンも有りましたが、無事に迫りくるサトノアーサーを抑え込み、重賞初制覇を成し遂げたのでした。

 

60. 皐月賞(2017/04/16・G1・中山・芝2000・良)

 毎日杯を勝利し、皐月賞に臨んだアルアインでしたが、決して評価は高くありませんでした。他に良い馬が揃っていたこともあり、9番人気という評価に甘んじてしまいます。しかし、ここでアルアインはその強さを示すことになります。

スタートをあっさり決め、その勢いで先団に取り付くと、4、5番手でレースを進めます。

 3コーナーをすぎた辺りから他馬が迫ってくる中、アルアインは鞍上の松山騎手が追っても反応を示しません。このまま飲み込まれてしまうのか、と思ったその時、アルアインは抜群の反応を見せ、直線に入ったところで一気に先頭を捉えにかかります。進路が狭くなるアクシデントもありましたが、そんなことはお構いなしに馬群を割って一気に前へと躍り出ます。

しかし、前にはまだ一頭残っていました。これから何度も対戦することになるライバル「ペルシアンナイト」です。

必死に追う松山騎手の気概に応えるように、アルアインは抜群の反応を見せます。ペルシアンナイトをクビ差制したところがゴールでした。レースタイムは1:57.8、前年のディーマジェスティの記録を更新した、レースレコードでした。

レース後、松山騎手は「少し信じられない気持ちです。今日は3~4コーナーの馬場の悪いところで手応えが少し悪くなりましたが、直線に向いてしっかり伸びてくれました。自分が必死に追ったせいで馬が外によれましたが、後半はよく頑張ってくれました。馬と一緒に頑張って行きたいです」とコメントを残しています。

松山騎手はこれがG1初勝利。さらに皐月賞は初騎乗での勝利となりました。今回の有馬記念も初騎乗ですが、これを見ると心配はいらないでしょう。

 

61. 日本ダービー(2017/05/28・G1・東京・芝2400・良)

 クラシック1冠目の皐月賞を制したアルアインでしたが、その実力はまだ疑問視されていました。その証拠に、クラシック2冠目となる日本ダービーでも4番人気という微妙な評価です。

レース自体はすっとスタートを決め、いつものように先頭集団の一頭としてレースを進めます。最初の1000mが1:03.2と、かなりスローペースとなり先団のアルアインにとって有利な展開となります。

しかし、初の左回りと2400mという距離が良くなかったのでしょうか、いつもならば直線で先頭に並びかけるところ、今回はそれができず、最後まで先頭に立つことがないまま、五着という結果に終わってしまいました。

勝った馬は「レイデオロ」で、こいつとも長いライバル関係を演じていくことになります。

 

62. セントライト記念(2017/09/18・G2・中山・芝2200・良)

 30万円負けた。

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63. 菊花賞(2017/10/22・G1・京都・芝3000・不)

 台風が接近する中でも競馬は止まりません。泥だらけになりながらも競走馬たちは懸命にゴールを目指して突き進みます。

正直、このレースは評価をするに値しません。僕個人としては長距離レース、それも馬場が悪くて消耗戦になるレースは大好きなのですが、評価という面になると条件が特殊すぎて他のレースの参考になりにくいからです。

特に今回は、アルアインの枠が16番というかなり外目の枠だったこと、台風の中での開催であり、走っている馬が泥だらけになったり、脚元からは水飛沫が飛んだりするほど馬場がぐちゃぐちゃであったこと、その影響からかアルアインはいつのもの様にうまく先行できなかった、などの点を考慮すると、この菊花賞は完全に参考外だとすることができます。

全てのレースを見ることも重要ですが、予想のためにはどのレースを重視し、どのレースを軽視するか、ということもまた重要なのです。

ちなみに勝った馬は「キセキ」で、これまた何度も対戦することになります。この世代は頑丈な馬が多く、何度も何度も対戦します。

 

64. 京都記念(2018/02/11・G2・京都・芝2200・重)

 年明け初戦の京都記念アルアインの一年はここから始まります。

同じ京都競馬場でのレースとは言え、菊花賞とは打って変わってここでアルアインはすんなりと先行します。前に行く馬が多かったので先行とはいえ、差しに近い少し後ろ気味の位置ではありましたが、十分に前を捉えられる位置取りです。

最後の直線では、先に抜け出した馬たちを捉えにかかろうとしましたが、全馬を捉えきることはできず、伏兵に足をすくわれる形で二着という結果に終わってしまいました。

やはり、先行して粘り込むという戦法が合っているようです。

 

65. 大阪杯(2018/04/01・G1・大阪・芝2000・良)

 阪神競馬場中山競馬場は特性が似通っていると言われています。

ということは、中山競馬場で結果を残しているアルアインにとっては阪神競馬場も向いているはずです。実際アルアイン阪神成績は(3-0-1-1)とかなりのものです。

今回は距離が2000mと更に期待が持てます。

抜群のスタートを決めたアルアインでしたが、前に出していくことはせず、流れに任せて馬群の中に入っていきます。それでもスタートが良かった分、4、5番手につけることができました。

レースは各馬の動きが激しいものとなりましたが、アルアインは動じず、いつもの自分のスタイルを崩しません。直線に向いたところで先頭を捉えにかかります。

しかし、道中先に先頭を捉えに掛かった馬を捉えきれず、更には後方から迫ってきた馬にも出し抜かれ、三着で終わってしまいました。

一着は「スワーブリチャード」で、昨年の皐月賞で下していた相手でした。二着は「ペルシアンナイト」です。

 

66. クイーンエリザベス2世カップ(2018/04/29・G1・シャティン(香港)・芝2000・良)

 アルアインはもちろん名馬ですから、海外挑戦もしています。

慣れない海外に戸惑ったのか、レース前には前代未聞の調教拒否というアクシデントもあり、結果も奮わない物となってしまいました。

レースは先行して進めることができたのですが、直線ではいつもの伸びがなく、先頭を捉えられないどころか他馬に抜きさられるという有様で、初の海外遠征は五着の苦い思い出となりました。

 

67. オールカマー(2018/09/23・G2・中山・芝2200・良)

このレースは現地で見ていたのですが、前にいた人がアルアインを買ってなかったのか、ずっと「アルアインくるなよ~、くるなよ~」とずっとブツブツ言ってたので、これには温厚な僕もブチ切れ。対抗して「アルアインいいぞ!そのままいける!」とずっと叫んでいてやりました。

結果としては、直線でアルアインが抜け出し、勝利を確信した瞬間、昨年のダービー馬「レイデオロ」が内からすっと抜き去っていき、アルアインは二着に敗れました。

痛み分けというところでしょうか。

 

68. 天皇賞(秋)(2018/10/28・G1・東京・芝2000・良)

 過去の僕が書いていた日記があったので引用しておきます。

天皇賞にはアルアインも出走するため、予想にも力が入ります。まあ予想というよりはアルアインが好きすぎて願望みたいになってしまっている感は否めませんが、そんな僕が下した最終予想は次のようなものでした。

 

基本的には4歳牡馬が中心のレース展開になる。

アルアインは当然として、スワーブリチャード、レイデオロ、キセキ、ダンビュライト、サングレーザーの5頭を加えた6頭のレースになるはず。おそらくはダンビュライトが逃げる形になり、その後ろにアルアイン、キセキ、もしかしたらスワーブリチャードも控えるかもしれない。レイデオロとサングレーザーはこの3頭よりは後ろになるだろう、スワーブリチャードが出遅れた場合はこの2頭よりも更に後ろになるかもしれない。

ダンビュライトがアルアイン向きのペースを作り出してくれるだろうから、最後の直線でアルアインが抜け出し先頭、レイデオロ、スワーブリチャード、サングレーザー当たりが追い込むも2着3着まで。第158回天皇賞を制するのはアルアイン。これで完璧だ!

 

そんな事を考えながらしこたま馬券を買い込んでいたのですが、なんとレース出走直前になってダンビュライトが放馬、そのまま出走除外となってしまいました。そんな馬鹿な!

これでは予想どおりに展開になる可能性は1ミリたりともありませんが、もはや時すでに遅し。馬券は既に買ってしまっているのです。

祈るような気持ちでレースを見守ります。予想と反してレースはキセキが逃げる展開になり、その後ろにアルアインが控えます。これはこれで良い展開だと言えるでしょう。このまま最後の直線でキセキを捉えて先頭、後続を引き離せば完璧です。

そして迎えた直線、アルアインがキセキを捉えにかかります。レイデオロ、サングレーザーも追い込んできており良い展開です。いける!あとはアルアインが先頭に躍り出るだけだ!

まあなんというか、直線抜け出たのはレイデオロでそれに続いたのはサングレーザーでした。しかもキセキがしれっと3着に残ってしまい、アルアインは4着でした。うん、アルアイン普通に実力足りてなかった。

 

あとに残されたのは枯れるほど叫んだせいでガラガラになった僕の喉。

今と似たようなことしかやってませんね。 

 

69. マイルチャンピオンシップ(2018/11/18・G1・京都・芝1600・良)

 久々のマイル戦に戻り、善戦マンのイメージを払拭したいアルアイン。二着三着は何度もあったものの、もう一年以上勝利からは遠ざかっています。

デビュー当時はマイラーだと評価され、マイル路線を中心にローテを組まれていたアルアインがマイルの舞台に戻ってきました。

抜群のスタートを決め、先行というよりは逃げに近いポジションでレースを進めます。直線入り口では早々と先頭に立ち、後続を突き放しにかかります。

「よしきた!いい頃のアルアインのレースや!」と喜び勇んだのもつかの間、後ろからやってきた二頭にあっさりと追い抜かれ、結果は三着でした。

このときの僕は心からアルアインの勝利を信じており、単勝馬券を10万円分ほど握っていたのですが、全て紙屑となり消え去りました。

 

70. 金鯱賞(2019/03/10・G2・中京・芝2000・稍)

またもや一着には手が届かず、三着に終わってしまった前走。

陣営はこれを「集中力が続いていない」と分析し、ブリンカー装着に踏み切りました。

先を見据えた叩き台的なムードではなく、たとえG2レースでも本気で勝ちに行く姿勢です。調教はハードなものとなり、早い段階から好タイムで駆け上がる盤石さです。まあその割には騎手の選択が完全に意味不明なわけですが、なにか考えがあったのでしょう。

レース自体は「これが…本気になったアルアインの力…!?」と驚かされるほどパッとしないものであり、一着からはかなりはなれた五着と、目も当てられない結果でした。

そもそもアルアインは馬群の中で闘志を煽りながら、最後の直線ですっと抜け出す戦法が得意なわけですが、なぜか今回は前に行ったは良いものの、馬群から離れた外をまわすわ、直線入り口の時点で前に並びかけられていないわ、と良いところが全くありませんでした。

 

71. 大阪杯(2019/03/31・G1・阪神・芝2000・良)

アルアインが勝った瞬間、雄叫びを上げたのですが、そこは雀荘であったため、割と普通に店員さんに注意されました。 

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72. 宝塚記念(2019/06/23・G1・阪神・芝2200・良)

 大阪杯を勝ち、復活の狼煙をあげたアルアインでしたが、皐月賞勝利ごと同じく、その実力が認められることはありませんでした。あくまでもフロック(運で勝った)と思われていたのです。

そのため、G1勝利後であったというにもかかわらず、この宝塚記念では5番人気の評価に甘んじます。

当時の僕は、競馬ファンのレベルの低さを嘆いたものでしたが、結果を見るとどうやら彼らが正しかったのかもしれません。

アルアインの勝ちパターンである内枠からすっと先行するまでは良かったのですが、最後の直線では前にいる馬たちを全く捉えきれず、四着に敗れてしまいました。

 

73. 天皇賞(秋)(2019/10/27・G1・東京・芝2000・良)

 アルアインの弱いところがもろに出た形のレースです。

大外枠である16番であったことに加え、苦手としている左回り、出走前から嫌な予感しかしていませんでしたが、その予感は正しいものでした。

スタート直後に内に切り込んで先行できればまだ話は変わっていたのでしょうが、実際にはまったく先行できず、馬群の外の中途半端な位置に納まることに。何度も述べているように、アルアインは馬群の中で闘争心を煽った方が良いタイプの馬ですので、これは全く良くありません。

案の定、4コーナーを迎える頃にはすでに見せ場がなく、キャリア初となる二桁着順、14着に敗れたのでした。

 

74. マイルチャンピオンシップ(2019/11/17・G1・京都・芝1600・良)

 再起を誓い、去年三着と適正を見せた舞台に帰ってきました。

鞍上にはデビュー戦で手綱をとった名手ライアン・ムーア騎手を迎え、態勢は万全です。またもや外目の枠である10番という枠番が鍵ではありましたが、ムーア騎手はその辺りも分かっており、「前走は外を回らされたのが厳しかった。デビュー戦に乗せてもらって以降、全部のレースを見ている。もっとやれる馬」と頼もしいコメントを残していました。

ですが迎えた本番では、少し出遅れた影響からか先行できず、結局は後方で馬群の外につけるという前走と大して変わらない競馬をしていたのですから、僕は開いた口がふさがりませんでした。16着。

 

75. 無事之名馬

「ぶじこれめいば」と読みます。主に競走馬を指して、「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」という考え方を表した格言です。

これはまさにアルアインのことでしょう。

3年間で19戦してきて、大きな怪我をしたことがない。体調を崩す馬もでてくる海外帰りであっても、体調は万全。心の弱い馬なら以降走る気をなくしてしまいそうなアクシデントがあっても、次走からまた一生懸命に走る。

近年はG1を勝ったあとに疲労が多くて引退してしまう馬や、早い上がりを使った馬が脚を故障して戦線から長期離脱を強いられたりと、長い間しっかりと活躍するすることが難しい時代になってきました。

そんな時代であっても、3年間怪我一つせず、無事走り抜けてきたアルアインはすでに名馬と呼ばれる資格をもっているのかもしれません。

 

76. 僕が現地観戦に行かない

ここまで書いてきて気がついてしまったのですが、僕はアルアインの勝利シーンを現地で見たことがありません。

僕は割と現地観戦に行く方で、地元関西のレースはもちろん、時には関東にも遠征して現地観戦をしており、2018年には「すべてのG1を生観戦しよう!」と、完全に思いつきだけで始めた苦行をやりきった経験もあります。

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ですが、アルアインの勝利を生で見たことがありません。

確認してみたのですが、アルアインが出走したG1は11戦で、僕はこのうち8つを現地で観戦しています。見ていない3戦は、2017年の皐月賞アルアインが勝利)、2019年の大阪杯アルアインが勝利)、2018年のクイーンエリザベス2世カップだけです。

クイーンエリザベス2世カップは香港での開催でしたから度外視するとして、国内レースに限って言えば、僕が見に行かないほうがアルアインは勝てるのです。なぜ僕は目の前で勝ってくれたことがない馬が好きなのでしょう。

 

77. アルアインは「泉」である

もう何度書いたか分かりませんが、「アルアイン」とはどういう意味なのでしょう。

この馬名の由来はUAEアブダビ首長国東部にある遺跡群で、アラビア語で「泉」という意味を持ちます。

「泉」は水が自然と地表に湧き出る場所のことを言いますが、また違う意味も持っています。それは「知恵の泉」や「希望の泉」など、物事がでてくるもと、源流です。

 

78. サラブレッドの血統

サラブレッドの源流はどこにあるのでしょうか。

サラブレッドはもともと野生にいた馬たちを競走用に品種改良して作られた馬です。そこから、「Thorough」(完璧な)+「bred」(品種)でサラブレッドと呼ばれるようになりました。恵まれた血筋の人間を「サラブレッド」と呼ぶのもここから来ています。

サラブレッドは必ず血統書で管理されており、サラブレッドとして認められる条件は、「連続8代に渡りがサラブレッドが交配された馬」であることです。

当然ですがアルアインサラブレッドです。

 

79. 三大始祖

現代の世界中のサラブレッドの父系の血統を辿っていくと、ある三頭の馬に行き着きます。

ゴドルフィンアラビアン」「バイアリーターク」「ダーレーアラビアン」の三頭です。サラブレッドは品種改良によって生み出された馬であるため、改良途上の彼らはサラブレッドとして認められてはいません。

ですが、約300年前に生まれたこの三頭から競争馬の血脈は連綿と受け継がれてきたのです。

アルアインも引退後は種牡馬となることが決まっており、その血を後世に残す存在となります。

 

80. アルアインは5月1日生まれ

アルアインは2014年5月1日に生を受けました。

5月1日といえば、そう「メーデー」です。

労働者の祭典に生まれたアルアインが、大部分が労働者である競馬ファンたちが楽しみにしている有馬記念で活躍するというのも、ある意味当然のことです。

 

81. ぬいぐるみが発売されている

競馬場で売っているのはなにも馬券だけではありません。

「ターフィーショップ」と呼ばれるグッズショップも存在しています。ここでは、競馬にまつわるグッズを購入することができ、中でも「アイドルホースぬいぐるみ」と銘打たれた、競争馬をデフォルメしたぬいぐるみが人気です。

ぬいぐるみになるためのハードルは中々高く、G1を勝ってもぬいぐるみになれない馬もいます。そんな状態の中でなんとアルアインはぬいぐるみが発売されているのです。

ある意味で名馬の証でもある「アイドルホースぬいぐるみ」化を成し遂げているアルアイン

アイドルホースぬいぐるみ

ターフィーショップのネットショップを確認したところ、アルアインのぬいぐるみはすでに扱われていませんでした。発売されたのは今年の秋でしたので、おそらく人気すぎて一瞬で売り切れたのでしょう。

 

82. 鹿毛である

競争馬には様々な毛色のものが存在しています。

アルアイン鹿毛(かげ)と言われる、赤褐色をベースに、四肢の下部などは黒い毛色です。

鹿毛には名馬も多く存在しており、父であるディープインパクトをはじめ、キタサンブラックロードカナロアジェンティルドンナなど、G1を複数勝利しているような馬はもちろん、有馬記念を制している馬もたくさんいます。

 

83. 兄弟も強い

競争馬にだって兄弟がいます。

ただ競争馬の場合は父親が同じものは兄弟として扱わず、母親が同じ馬を兄弟として扱っています。母親が同じであれば、父親が異なっていても兄弟です。

アルアインには弟がいます。「ダノンマジェスティ」です。

このダノンマジェスティ、新馬戦を3馬身差で快勝したところまでは良かったのですが、気性の悪さが災いし、以降はボロ負けしたり勝ったりの繰り返しです。

しかしその強さは本物。兄より優れた弟など存在しないらしいので、弟が強いということはアルアインにとっても嬉しい材料です。

 

84. ディープインパクトの血が流れている
アルアインの父、ディープインパクト
おそらく現代の日本でもっとも有名な競争馬であり、今現在も日本競馬界に影響を与え続けています。
日本競馬史上6頭目三冠馬であり、生涯成績は14戦12勝、敗れたのはフランスで開催される凱旋門賞と、3歳時に挑んだ有馬記念のみというとんでもない馬です。
残念ながら今年の夏に骨折により安楽死の措置が執られ、亡くなってしまいましたが、彼の血を引く競争馬の活躍はとどまるところを知らず、今年もG1を6勝しています。

 

85. ドバイマジェスティの血が流れている
アルアインの母、ドバイマジェスティ
2010年に、アルアインの生産者であるノーザンファームの吉田勝巳氏が、ファシグティプトン(アメリカ)のセールで110万ドルで落札し、日本にやってきました。
ブリーダーズカップフィリー&メアスプリント(G1)に勝利しており、エクリプス賞最優秀短距離牝馬を受賞した名牝です。

 

 

86. サンデーサイレンスの血が流れている
サンデーサイレンスディープインパクトの父で、アルアインからすれば祖父にあたります。
幼少期のサンデーサイレンスは脚が曲がっており、見栄えも悪かったためにセリに出されてものの売れ残りました。
しかし現役時代は強豪イージーゴアと何度も熱戦を繰り広げ、その強さを見せつけました。
周りの見る目がなかっただけで、本当は途轍もない能力を秘めていたのです。
日本で種牡馬となってからの活躍は眼を見張るほどで、1995年から2007年にかけて13年連続でリーディングサイアー(その一年で産駒の獲得賞金の合計が最も多い馬のこと)に輝きました。
サンデーサイレンス種牡馬の記録を多く更新し、今の日本競馬にしっかりと根づいています。
周りの見る目がないだけで、本当は秘めたる能力があるのはアルアインも同じかもしれませんね。

 

87. ダーレーアラビアンの血が流れている
三大始祖なんだから当たり前っちゃ当たり前ですが、ダーレーアラビアンの血が流れています。
サラブレッドではなく、アラブ種だと言われていますが、説によってはトルコ馬だとかシリア馬だとか言われています。
ダーレーアラビアンの偉大なところは、近代競馬における最初の名馬「フライングチルダーズ」を生み出したことです。
当時は今のように複数の馬が一つのレースで勝敗を競う形態(広義のステークスレース)ではなく、一対一形式のマッチレースが主流でした。そうやって競い合っていく過程で、あまりの強さに恐れをなし、フライングチルダーズに挑むものはいなくなったとまで言われています。
他にもフライングチルダーズは逸話を残しており、6120mを6分40秒で走ったとか(現在の菊花賞3000mと天皇賞春3200mのレコードタイムを合算すると6:13.5)、1600mを1分で走ったとか(現在のJRA1600mレコードが1:30.3)、と「いや、それ嘘だろ」としか言いようのない伝説を持っています。当時の人は信じていた辺り、嘘というよりはそれほど衝撃的だったということなのでしょう。
こういうUMAみたいな真偽の不確かな伝説が残っているのも競馬の面白いところです。

 

88. ポテイトーズの血が流れている
ポテイトーズは18世紀のイギリスの競争馬で、偉大なる父エクリプスの代表産駒として、ふざけた名前ながらも活躍した馬です。
「ポテイトーズ」とだけ聞くとちょっとポテトみたいな名前だな、と思う程度かもしれませんが、こいつのふざけているところは英字にしなければ分かりません。なんと「Potatoes」ではなく、「Potoooooooo」。Potにoが8つでポット・エイト・オーズ、ポテイトーズになっています。
こんなふざけた名前ながらも実績は十分、というか非常に優秀な成績を残し、種牡馬としても大活躍しました。
競馬にはわりとこういった珍名が多く、日本でも「オレハマッテルゼ」「エガオヲミセテ」「ネルトスグアサ」など何を思って付けたのかわからない名前の馬が実際に走っています。

 

89. セントサイモンの血が流れている
セントサイモンは19世紀末に活躍したイギリスの競争馬で、史上もっとも偉大な種牡馬だと言われています。
この馬もデビュー前はサンデーサイレンスと同じ見栄えが悪く、血統もパッとしないものだったため、期待されていませんでした。
しかし、競走に出ると当時の強豪たちをあっさりと蹴散らし、ときには20馬身以上の差をつけて勝つこともあったといいます。
種牡馬になってからは空前の成功を収め、牡馬と牝馬で一頭ずつ三冠馬を輩出し、クラシック全てをセントサイモン産駒の馬が占めたこともありました。
異常とも言える能力をもったセントサイモンでしたが、性格も異常そのものでした。極めて気性が荒く扱いにくい馬で、気性を落ち着けさせようと、馬房に猫を入れてみたところ、即座に猫をくわえて天井に叩きつけて殺してしまったといいます。
天才と狂気は紙一重ですね。

 

90. ネアルコの血が流れている
ネアルコは1930年代に活躍したイタリアの競争馬で、「ドルメロの魔術師」とまで呼ばれた名伯楽「フェデリコ・テシオ」の最高傑作と言われています。
14戦14勝の無敗記録を持ち、イタリア最大のレース「ミラノ大賞典」や当時世界有数の国際レースであった「パリ大賞典」に勝利しています。

 

91. ドルメロの魔術師
フェデリコ・テシオはイタリアの馬産家兼馬主兼調教師で、世界中に影響を与えた史上最高のホースマンです。
年間に10数頭程度しか生産していなかったにもかかわらず、「ネアルコ」「リボー」といった世界的名馬を生産しました。
彼の配合理論は独特で、それは著書「サラブレッドの生産」にまとめられています。日本語訳版が1965年発売の優駿という雑誌に載っているので、機会があればぜひ読んでみてください。僕は読みましたが、現代競馬と通じるところが多く、興味深い内容でした。

 「サラブレッドが存在するのは、その選択淘汰が、専門家、技術者または動物学者の手で行われたものでなくて、一片の木片、すなわちエプソム・ダービーのゴール板によって行われたことによる。」(フェデリコ・テシオ)

 

92. ノーザンダンサーの血が流れている
ノーザンダンサーは1964年にアメリカクラシック二冠を達成したカナダの競争馬です。
ノーザンダンサーもまた、見栄えが悪かったために当初は期待されていなかった馬の一頭でした。
カナダでデビュー後、アメリカへ遠征。アメリカ三冠レースの全てに出走に2度の勝利を収めました。
その後種牡馬となったノーザンダンサーは、イギリス最後の三冠馬ニジンスキーをはじめとする名馬を産出します。
しかし、本当にすごいのはここからです。ノーザンダンサーの産駒がまた優れた名馬を続々と産出し始めたのです。
ニジンスキーは「神の馬」とまで呼ばれた「ラムタラ」を生み出し、サドラーズウェルズはあのセントサイモンの記録をしのぎ、フランスで3度、イギリス・アイルランドで14度のリーディングに輝きました。
こうなってくるとノーザンダンサーの価値はどんどん高まり、1985年には種付け料95万ドルを記録しました。当時のレート換算でおよそ2億円です。競馬市場には続々と大金が流入し、ある種バブルのような状況となりました。ノーザンダンサー一頭の存在が、競馬をマネーゲームに変えてしまったのです。
ノーザンダンサーの血の一滴は1カラットのダイヤモンドより価値がある」とはよく言ったものです。

 

93. 種牡馬になることが決定している

またいつの間にか話が脱線していたので主題に戻ります。
アルアインは引退後、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入りすることが決定しています。
種牡馬になるということは思われている以上に難しく、G1を勝てばとりあえず種牡馬になれるというものでもありません。
特にアルアインディープインパクトの産駒ということで、ライバルも多い状態です。
そんな中で、種牡馬になることが決定しているというのですから、生産者側の期待が伺えます。

 

94. ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
北海道の日高町にあるブリーダーズ・スタリオン・ステーションは主に夏の間見学することが可能です。
見学時間は9:00~10:30までとかなり短いですが、それでも引退した馬たちに会えるのは嬉しいもの。
とりあえず来年の夏は北海道に行くことになりそうです。

 

95. ムチを入れても大丈夫
有馬記念を明日に控え、陣営からのコメントも出揃ってきました。
アルアイン陣営からのコメントを精査してみると、先週の追い切り時点でかなり調子の良いことが伺えます。
「動きは良かった。ムチを入れると耳を絞るところがああるので、今日はムチを入れてもらったが大丈夫だった」
アルアインはこれまで、ムチを入れられると反抗して走る気をなくすなどと言われていたのですが、このコメントを見るにその心配はなさそうです。

 

96. ブリンカーを外しても問題ない
そして今週の追い切りでは、すでにレース本番と同じ条件となるブリンカーを外した状態での調教を行っています。
その状態で、「そんなに先週と変わらず、動きは良かったです」とのコメントが出ていることから、レース本番になってブリンカーがない状況に戸惑うということもないでしょう。

 

97. 調教師も最後ということは意識している
当然のことですが、アルアインがこのレースで最後だと一番強く実感しているのは、調教師を含む陣営側でしょう。
池江調教師はインタビューの最後に一言求められると、「アルアインにとってはこれが最後のレースとなりますが、これまでアルアインを応援してくれたファンのためにも良い結果を出したいと思います」と答えています。
これはもう僕のためのコメントと言っても過言ではありません。
どのような結果で終わっても僕はこれからもアルアインを好きでい続けるでしょう。もちろん、笑顔で終わることを望んでいます。

 

98. 助手も状態が良いと褒めている
調教師とは別に、実際の育成を担当する「助手」という存在がいます。
アルアインを担当する音瀬助手は、「状態は本当にいい。ここ2走は走りきっていないのかも。中山も良い。ブリンカーを外して松山騎手で原点に戻る」とコメントしています。
ここ2走は走りきっていないというのは僕も同感です。アルアインはこんなもんじゃない。原点に戻り、有終の美を飾ってくれるはずです。

 

99. 騎手も状態が良いと褒めている

さらにはレース本番で騎乗する松山騎手もアルアインの状態に太鼓判を押しています。

「しまいの動きも良かったです。比較はできませんが、状態はいいと思います。距離はやってみないと分かりませんが、コースは合うと思うのでロスなく運びたいですね」

状態面では本当に問題がないのでしょう。

あとはもう本番でうまく先行し、道中は内ラチ沿いをロスなく進出、4コーナーから直線に入る辺りで先頭に並びかけ、短い直線を活かして迫る後続を抑え込んでゴール板に駆け込む。そういう競馬を期待するだけです。

 

100. 理外の競馬

ここまで書いておいてなんですが、僕にももちろん分かっています。

アルアインは正直厳しい。

買い要素があるかを最初に検討したところ、あらゆるデータがアルアインを否定していました。まともな頭をしていたら買おうとは到底思えないほどです。

これまでに示したデータと呼べるかも怪しいなにかは、かなり恣意的な情報を抜き出しており、内容としては「犯罪者は皆水を飲んだことがある、だから水は危険だ」レベルのものも多いです。

それでも僕はアルアインが活躍してくれんじゃないかと考えています。

そこには、ただただ「好きな馬に活躍して欲しい」という思いしかありません。

もちろんこんなものは予想でもなんでも無い、ただの願望です。

競馬はギャンブルであると同時に娯楽でもあるのです。

かつてアナウンサーの杉本清は言いました。「あなたの、そして私の夢が走っています」

競馬ファンは馬券買うとき、同時に夢も買っているのです。

データがアルアインを否定している。面白い、俺は来ると思っているぞ。理屈じゃないんだ、これだけ長い間活躍してきた馬が、俺が応援し続けてきた馬が、最後に何の見せ場もないままに終わるなんてあるはずない。皆が走らないと思っていた馬が走ったとき、皆はどういう顔をするんだろうか。

夢を見せてくれ、アルアイン

 

101. やっぱりアルアイン

そう僕は好きだからアルアインを選ぶ。それでいい。

 

 

馬券は明日買ってこよう。