インターネットのけもの

全て妄想です。

「おっさんは二度死ぬ」刊行記念 トークライブ&サイン会 感想

週一で更新するぞ!と心に決めていたはずなのに、気がつくと月一ペースの更新になっていたものですから我ながら自分の怠け者っぷりには唖然とするばかりです。

更新内容も自分の生活を綴るというよりは、ただただ読んだ本の感想を綴るだけになっており、改めて見返してみても自分がどのように過ごしていたのか全く分かりません。

引きこもって無為に過ごすだけの毎日を変えるべく、自分の足跡を残すことで意識的に生活を変えるためにサイトを始めたはずだったような気がするのですが、サイトの中でまで本を読むことしかしていないのではどうしようもありません。

そろそろ何とかしなければと考えていたところ、タイトルであげたイベントが開かれるとあり、これ幸いと参加してきました。嘘です。本当は10年以上応援しているテキストサイトの管理人が先日書籍を出版することになり、それに合わせてイベントが開かれることを知った僕は、あらゆる予定を放棄してイベントに参加することを決めていたのでした。今日はその感想文です。結局感想しか書けないあたり、僕は自発的に何かをするということに向いていないのかもしれません。

 

 

なぜかド平日、それも7月4日の木曜日という日程でこのイベントは行われました。会場は渋谷にある東京カルチャーカルチャー。18:30開場の19:30開演という、明らかに仕事帰りに参加することを想定された時間設定でしたが、僕は大阪に住んでいますので、仕事帰りにどれだけ急いでも間に合うわけがありません。ということで、この日は有給を取得して東京へと向かいました。

イベントの内容を書いていなかったことに気がついたのでここで書いておきますと、最近では様々な媒体で記事やらコラムやらを執筆している、Numeriというテキストサイトの管理人であるpatoさんが、この度ネット掲載されていた「おっさんは二度死ぬ」というコラムをまとめた書籍を刊行されました。その記念として開かれた6人のゲストを招いてのトークライブというイベントで、Numeriからはじまり10年以上にわたってpatoさんの文章を読んできた僕からすれば参加しない道理はありません。

開場時刻前に会場に到着すると、すでに20~30人の待機列が出来ていました。間もなく開場を迎え、パラパラと入場が始まります。僕も適当な席に腰を掛け、開演時刻を待ちます。

 

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開演時刻になり、会場内もそろそろ始まるぞといった雰囲気に。そして最初に登場したのが我らがpatoさんでした。今日の主役であるから当然真ん中の席に座るだろうと思っていたのですが、まさかの端の席に座るpatoさん。どうやら自分で司会もやる関係で端に座ったようですが、自分がメインだということを忘れてやいないでしょうか。

続いてヨッピーさん、DJ急行さん、仙頭さん、ゴトウさんが紹介スライドを交えながら登場し(マミヤ狂四郎さんは遅刻)、最後に特別ゲストの成瀬心美さんが登場しました。よくもまあこんな濃いおっさんばかりのイベントに来たもんだ…と思っていたのですが、イベントが進むにつれていい意味で遠慮がなくなっていったので流石だなあと思わされました。

イベントは二部構成となっており、一部では成瀬さんを交えながら「おっさんとはなにか?」をおっさんたちがグダグダと語らい、二部では成瀬さんが抜け、おっさんたちだけで「おっさん 7つの大罪」と称して何でもありのトークを繰り広げるという、だいたい想像がついていましたが、本の話はほとんどないものになっていました。

 

一部では、使うのに2千円かかったというおっさん素材に触れつつ、肉が食えない、人の名前が出てこない、といったおっさんあるあるの話へ。どれもこれもそのうち自分がなりそうな、こうなったらおっさんの始まりなんだなあというエピソードのオンパレードでした。そこから話は「女性が嫌がるおっさんの行動」へ。なぜかランキング一位から発表を始めたpatoさんに対しツッコミが入りつつも、予想の流れへ。

行動だから加齢臭とかそういうのではないと話している直後に「僕は臭いかなあ」と予想を始め、「臭いじゃないって!」と言われているにも関わらず、自分が臭かったエピソオードを語りだした仙頭さんは相当なものだなと思いました。このイベントでは全体的に仙頭さんの狂いっぷりが引き立っていました。実は参加しているおっさんたちの中で割と若い方というのもなんだか卑怯な気がしました。

イベント序盤はおっさんたちだけでも盛り上がっている感があり、成瀬さん置いてけぼりだなあと思っていたのですが、その後、ランキング二位、三位が発表されつつ、おっさんエピソードが語られていく中で成瀬さんも隠されていた刃を見せてくるようになります。

成瀬さんを囲むおっさんたちがトップオタを集めた最後の晩餐みたいな絵面になっていると言われたことに対し「私のトップオタはもうちょっとちゃんとしてます!」と返し、成瀬さんが引退したら2年は引きずるといったファンに対し「2年か~、短えよ!」とやさぐれる、と大活躍でした。

一部の最後では成瀬さんがどのおっさんが一番マシかを選ぶというどう考えても誰かが血を吐くことになる悪夢のような儀式があったのですが、一位に選ばれたのはまさかのゴトウさんでした。全身で喜びを表現するゴトウさんは本当に嬉しそうで格好良かった。そして二位ヨッピーさん、三位マミヤ狂四郎さん、四位patoさん、五位DJ急行さん、六位仙頭さん、と続きました。

上位3名から漏れたと知った時のpatoさんは本当に悔しそうで、なりふり構わず「俺は本を出している!」と謎のアピールをしたにも関わらず四位止まりだった時はなんだかこちらにまで悲しさが伝わってきたような気がしました。あと、イベントを通じて感じていたことなのですが、patoさんは成瀬さんを好きすぎると思う。

最下位の仙頭さんは、楽屋で会うなり開口一発「今日動画みてきました~」とカマしたから、という本当にどうしようもない理由での最下位でした。これを暴露されても悪びれず、むしろ当然のことでは?という態度だった仙頭さんは素敵だと思います。

 

 二部では、成瀬さんが抜けたためか、一部よりも真に迫った、より密度の高いおっさんエピソードが語られました。一部では動画配信がありましたが、二部では動画配信がなく、インターネットに書けない話なんかも飛び出していたのでより濃密な気がしているのかもしれません。

ラウンドワンでダブルデートをする若者を見て「もう俺たちにああいうのは無いんだ」と語るpatoさんに同調する周囲のおっさんたち。これに関しては僕自身、テキストサイトにハマり、そこからインターネットの海に浸かりきった暗黒の青春時代を過ごしたものとして、身につまされるものがありました。

ここからイベントのタイトルにもなっている「7つの大罪」になぞらえて、傲慢・嫉妬・憤怒・怠惰・貪欲・邪淫・大食に沿ったおっさんのエピソードが繰り広げられました。ここで表示された同じおっさんが別パターンで7枚写っているスライドを撮影している人が多く、「ああ、イベントが進んできて皆いい感じに頭がやられてきてんな」と感じさせてくれました。

大罪ごとに現れる、醜態を晒しつつもどこか憎みきれないおっさんたち。それをみて笑う壇上のおっさんたちでしたが、DJ急行さんの「我々は笑う側じゃなくてこれを認めなくちゃならないんですよ」の一言を受け、おっさんたちは「いいじゃん、これ」と手のひらを返し始めます。一見するとギャグシーンのようでしたが、僕はこの場面に「おっさんは二度死ぬ」のイベントの核となるものが凝縮されているように感じられました。

傲慢のおじさんLINEから始まり、嫉妬のクソリプ、憤怒の怒っているおっさん、怠惰な録音した音声で対応するYahoo!チャットのオナニー指導員、貪欲な大スカトロ大会に参加するおっさんたち、邪淫なテレフォンセックスで鼻息が荒すぎる惣菜屋のシゲ、大食の手コキ風俗と謎解きに終わる、とまあほとんどシモネタばかりでしたが大変楽しませてくれるエピソードばかりになっていました。

今になって「Yahoo!チャットって場所があったんだよ」の裏側を聞けるとは思っておらず、大興奮で話を聞くことが出来ました。他のエピソードも、大スカトロ大会は見物に行ってみたかったし、惣菜屋のシゲのテレフォンセックスも一度は聞いてみたいものだなあと思いました。というか、やっぱりここでも仙頭さんの狂気が頭一個抜け出てたように思います。スカトロ大会の話とかウケないわけがない。

最後はゴトウさんが参加したという手コキ風俗を5店舗に渡って巡り、謎解きを行うという話で大罪エピソードは締められたのですが、内容としてはゴトウさんが手コキ風俗でどんな感じ方をしていたか、とかそういう話題ばっかりだったので、こういうどうしようもないイベントには相応しいトリで良かったなと思いました。

 

と思いきや、最後の最後でpatoさんから本には書かなかったあとがきを語るというサプライズがありました。あれだけシモネタまみれの話をした後でしたが、内容としては至極まっとうな、めちゃくちゃ真面目な内容だったのでついつい真面目に聞き入ってしまいました。おっさんたちの下らない話を聞くイベントに参加しに来たはずなのに、なんだか真っ当な書籍の刊行イベントに迷い込んでしまったようです。

会場の皆も「おぉおー」と感心していましたが、ちょっと考えてみるとその人さっきまでオナニー指導員がどうとかそんな話ばかりしてましたからね。人の持つ二面性とは恐ろしいものです。

 

 

過去にpatoさんが開いていたヌメリナイトとは異なり、多数のゲストを招いてのイベントということで、どういう流れになるのか、果たして楽しめるのだろうか、と不安はありましたが、参加してみると、大阪から休みを取って向かうだけの価値があった素晴らしいイベントでした。またこの面子でトークショーをやってもらいたい。

8月27日には大阪でも開催されるそうなので、そちらにも是非参加しようと思います。

 

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