インターネットのけもの

全て妄想です。

感想いろいろ

最近複数の方から漫画やら実用書やらBlu-ray、果ては官能小説に至るまで様々な物語を頂戴する機会があったのですが、物忘れがひどい僕は、個別に感想を伝える機会を待っているうちに本の内容が忘却の彼方にいってしまう恐れがあったため、ここに記しておくことにしました。いいように言ってますが、実際には日常生活で何もなさすぎたので感想文を書いて紛らわせているだけなのでした。順番はだいたい見た順番です。

 

 

・「イッキ!!」

知名度が低すぎる、というか無いに等しい競馬漫画。この作品を読み終えたとき、僕はこれほどの名作が埋もれているという事実を嘆かずにはいられませんでした。きっと他にも内容は素晴らしいのに埋もれてしまっている作品は多くあるのでしょう。恐ろしいことです。

人間のときの記憶を引き継いだままサラブレットに生まれ変わった主人公は、閻魔大王にある勝負を持ちかけられます。それはJCで優勝すれば、来世はウハウハな人生を送れるというものでした。勝負に負ければ悲惨な来世になるということもあり、主人公はJC勝利を目指して数々のライバルと勝負を繰り広げる、とまあそういうストーリーです。

主人公がスケベな性格というのもあり、序盤はヒロインに相当する女性ジョッキーの胸に反応したときにしか本気が出せないだとか、やむを得ない事情で男性ジョッキーを乗せた時も、女性の胸を見てから本気になるなど、お色気要素が大きく関わってくるのですが、終盤が近づくにつれお色気要素は鳴りを潜めていき(それでも胸を押し当てることが本気で走るの合図とかは残るのですが)、徐々にライバルとの死闘や、厩務員やジョッキーとの関係性がフォーカスされていき、熱すぎる少年漫画のような手に汗握る展開を楽しむことが出来ました。

そもそも設定が少年漫画的に感じるところとして、この漫画の舞台が地方競馬であるということが挙げられます。20年以上前の漫画ということで、今とは制度が異なるところもありますが、これがまた良い方に作用しています。JCに出るためには枠が定められており、まずは地方競馬で最強にならなければなりません。この時点で、数々のライバルとの勝負が繰り広げられるわけですが、一般的に地方競馬中央競馬に比べて馬がレースに出走する頻度が高いため、主人公が敗北しても逆転する機会が多く、試行錯誤しながらライバルに挑む姿勢が描かれます。また、地方競馬は競馬場ごとの特徴が顕著なため、勝負の展開に幅をもたせることができるというのも面白いところです。

地方最強になっても、もちろん安心する事はできません。ここからやっと中央競馬の馬たちとの戦いが始まるからです。そして主人公が目指すJCでは世界の強豪との戦いになります。

JCの前哨戦として出走した毎日王冠でアナウンサーが叫んだ「府中に衝撃!!」の実況には実際にレースを見ているかのような迫力がありましたし、始めて挑んだJCは明らかにホーリックスが勝利したJCをなぞるような展開で、競馬ファンなら興奮せずにはいられませんでした。そして勝負後の主人公の気付き。もう制したと思っていた地方競馬にもまだ怪物は眠っていましたし、最後のJCにおける主人公の選択は、今までのレース、ライバルがあったからこその、この作品の集大成とも言えるものでした。今まで戦ってきた相手、散っていったライバル、厩舎のスタッフ、全てが繋がっています。

一頭の馬の生涯、出会いと別れ、全てを描ききる素晴らしい作品でした。

 

・「きゅうきゅうしゃのぴーとくん」

日々の業務に疲れた意思を持った救急車のぴーとくんが「もういやだ!」と逃げ出してしまう絵本。

どうやら僕が何度も飲酒でぶっ倒れて救急車に乗せられていたことから、もう呼んじゃ駄目ですよという戒めの意味から、この絵本を贈ってくれたようですが、物語の最後でぴーとくんは仕事の素晴らしさに目覚めていたため、ハッキリ言って逆効果だなと思いました。これからもバンバン呼んであげようと思います。嘘です。

 

・「007 ロシアより愛をこめて

僕は普段映画を見ることがあまりないのですが、流石にこの作品は名前くらいは知っていました。まあでも本当に名前くらいしか知らなかったので、今回はじめてジェームズ・ボンドが007であり、イギリスの諜報機関MI6の工作員であることを知りました。

シリーズ物ということで、前提知識がないと楽しめないのではないかという懸念もありましたが、見始めてみるとそんな懸念はどこへやら、どっぷりと作品世界にハマることが出来ました。少し都合がいいなあという展開もあったりしたのですが、テンポが良く、画面がバンバン切り替わるのであまり気になりませんでした。

スパイ映画ということで、スマートな展開を想像していたのですが、敵の策略にはガンガンハマるわ、解決策は暴力だわで思わず笑ってしまいました。というか、作戦だけみていると敵の罠のほうが圧倒的に優れているようにしか思えなかったので、ジェームズ・ボンドにはもう少し勉強していてもらいたいです。でもこれがパッケージに書いてあった「罠にあえて挑戦するのが英国人気質だ」ってことなんですかね。最終的には暴力でしたけど。それでも格好良さがあるのが不思議でした。

あとはヒロイン役の女優さんがめちゃくちゃ美人でした。調べてみるとダニエラ・ビアンキというイタリアの女優さんらしいです。ロシア人じゃないのかよ。

 

・「巨乳秘書 鬼畜の洗脳研修」

はじめて官能小説というものを読んだのですが、ちゃんと「秘裂」や「媚肉」といった、如何にもという表現がいっぱい見受けられて大満足でした。ただ少し誤字が多いのが気になりましたが。章タイトルも当然ながら独特で、「悪夢の性感開発研修」に始まり、「果てなきエクスタシー」で終わるという、まず一般小説では見ないであろう章タイトルがずらずらと並んでいました。

あらすじとしては、働きはじめた妹が会社の寮に入ったまま帰ってこないことを不審に思った姉が会社に潜入したところ、妹が洗脳を受けているのを目の当たりにする。これは自ら望んだことだと主張する会社側に対し、研修なるものを受けることで妹を救い出そうとする姉。ここから物語が始まる!

壮大なストーリーを感じさせてしまいましたが、実際には淡々と堕ちていく姿が描かれていくだけです。妹の姿を見て「まあ!なんてはしたない!」と思っていた姉も、気がつけば見られて興奮する雌豚に成り下がっているのですからどうしようもありません。

そんな内容なのですが、研修という体で物語が進んでいくため、要所要所で文章が急に丁寧になるのがなんだかおかしく、興奮するよりも笑ってしまう場面のほうが多かったです。「セックスする権利を得る」だの「排泄の管理も会社に権限が委譲するものとする。」だのといった、どんな面して書いているのだろうかとしか思えない文章がふんだんに散りばめられており、全然集中して読めませんでした。特に僕が好きな表現は「うちの社でも歴代最強の淫乱」です。

読んでいて思ったのは官能小説というものは他の小説と違い、読者が想像しているように進めた方が好まれるのではないかということです。あまりに突拍子のないことをされると、興奮よりも驚きや戸惑いが勝ってしまい、官能小説の主目的である「興奮させる(≒自慰行為に導く)」を果たせなくなってしまうからです。このあたりは他の官能小説も読んでみないと分からないことですが。多分官能小説なりのお約束と言うか、「媚肉」みたいな表現を自然に受け入れられるようにならないと、官能小説というコンテンツを真に楽しむことは難しいのではないかと思います。

 

・「ペンギン・ハイウェイ

大学生の時に授業をサボって図書館で読んだ記憶があるのですが、おねショタものだったということ以外の記憶がきれいに吹き飛んでいたため、再読するにはいい機会でした。読み返してみるとやはり良いおねショタもので、僕も小学生時にこんなお姉さんに出会えていたら…、と思ったのですが、そもそもアオヤマ君は元からの性格に加え明晰な頭脳があったためにお姉さんと楽しい関係が築けたのだと気がついてどうでもよくなりました。あの頃の自分に思いを馳せてみても、思い浮かぶのは友人宅でアニメを鑑賞し、家に帰ればネットゲームに興じる悲しい姿だけですからね。アオヤマ君の性格はほんと凄い。大人とされる年齢になって二千二百日以上経ってるけど見習うべきところが多いです。

最終章を読んでいる時に、僕は「セカイ系」という言葉がふと浮かんだのですが、他の方はどうなんでしょうか。そもそも「セカイ系」という言葉の定義が人によって曖昧なので断言することは出来ないのですが、少なくとも僕はそう思いました。主人公とヒロインが世界の謎と向き合いながら重大な(少なくとも当人たちにとっては)選択をするってだけで「セカイ系」だ!と感じてしまう単純な頭なもので。

あと個人的には、森見登美彦はめちゃくちゃ良質なラノベ作家だと思っています。これもラノベの定義が曖昧なので人によるんでしょうけど。「四畳半神話大系」とかはアニメ版もめちゃくちゃ面白かったですし。

 

・「酒好き医師が教える 最高の飲み方 太らない、翌日に残らない、病気にならない」

何度も酒でやらかしている僕にはピッタリの本だな…、と思っていたのですが、よく考えてみると救急車に乗せられるくらいやらかしていたにもかかわらず、その後もやらかし続けている僕が本を読んだ程度で改善されるとは到底思えなかったので、軽く絶望に襲われました。

あとがきでも触れられていたことですが、中身としてはわりとふつうのことが並べられており、酒を飲むときは食べ物もしっかり食べましょう、酒だけじゃなく水も飲みましょうだとか、一気飲みは絶対に駄目だとか、薬と一緒に飲むなよといった内容を、様々な専門家がデータと共に示すものになっています。酒というリスクとどう向き合い楽しむか、というのが主題ですね。

ただデータの中には首をひねってしまうようなものもあったので、まるごと信用するのも良くないかもしれません。実際、専門家の意見も「と推察される」や「と考えられています」のように断言していない形がよく見られました。ただ、どの専門家もだいたい同じようなことを言っているので、全く信用出来ないようなものではないと思います。

面白いなと思ったのは、健康食品であっても副作用は存在するというのと、酔っ払いが何度も同じ話をするのは、前夜の出来事を覚えていないのと一緒で、さっき話したということを覚えてないからというものです。健康食品の話は考えてみれば当然なのですが、極端にいいものばかり取っていては逆に悪くなってしまうという点は普段あまり意識していないなと。あとは酒飲みのことを左党というのはこの本ではじめて知りました。

帯の煽りに「酒は毒か薬か?」と書かれているのですが、僕は知っています。

酒は毒です。

 

・「こいつ、俺のだから。」

元が携帯小説か何かなのか横書き左綴じ形式の小説をはじめて読みました。官能小説と同じくこういう機会でもなければ読むことはなかったでしょう。

主人公である仁菜が1ヶ月限定で学年一モテる佐野くんの彼女のふりをすることになるところから物語が始まるのですが、この佐野くんがまたとんでもない俺様でありながらかなりのポンコツ、嫉妬深く独占欲に満ち溢れたストーカー気質全開の男であるのに、仁菜がどんどん好きになっていく意味がハッキリ言ってよくわかりませんでした。女性はこういう男に引かれるということなんでしょうか。僕も酒に酔うと尊大な態度になりながらも程よくポンコツ、ネット上では人の個人情報を漁るようなストーカーチックなところを見せているはずですが、なぜだか未だにモテた経験が思いつきません。現実とフィクションの落差を僕は嘆くことしか出来ませんでした。

てか世の女性は「お前の笑顔を見たくらいで落ちる男になびくんじゃない、俺のほうがお前のことをずっと見てきたんだ」とかいうセリフにときめいているんですか?僕はこれをどう好意的に解釈してもストーカーが己を正当化しているようにしか思えませんでした。世の中がわからない…。あとちょくちょく入れてくるギャグがイマイチだったので作者はギャグ路線を諦めたほうがいいと思う。

 

・「なぜか一目おかれる人の大人の品格大全」

世の中を生き抜くために何よりも必要なのは「品格」が必要であると説いてくる一冊。大全というだけあってかなりの厚さです。

僕はマナーとかクソ喰らえと思ってるタイプの人間なのですが、なぜそういうマナーやしきたり(魚の尾頭を左に置く理由とか)の由来、なりたちを知るのは中々面白いものでした。

ただ、特に由来や理由もなく「それはマナー違反だから駄目です」「こうするのがマナー」とだけ書かれているものもあってそこは残念でした。

豆知識本として楽しめる側面もあったので、昨今非難されがちなマナー講師みたいな内容に終始している箇所があるのが少し残念でした。

あと、「こんなことも言われなきゃ分からんか…?」ってレベルの内容も記載されていたため、僕は世の中の常識というものの脆さを痛感せずにはいられませんでした。まあ大全ってそういうことなのかもしれないですけど。

 

おわり。