インターネットのけもの

全て妄想です。

コミティア127

今更ながらではありますが、2019/02/17に東京ビックサイトにて開催されたコミティア127で買ってきたもののレビューと言うか備忘録。一回こういうのやってみたかった。ちなみに全て全年齢向けです。同人誌だからといってR-18とかそういうのを期待してた人は速攻でブラウザを閉じて今までの人生を悔い改めてください。コピー本から無配ペーパー、果てはグッズまで手に入れてきたものは全て載せています。

「本のタイトル」(サークル名)で記載。

 

 

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 「消せるペン」(Happa)

 

今回一番ぐっと来た一冊。文字として書いたものを消せるペンを手に入れた女の子二人のラブコメチックな話なんですが描き方が非常にうまいなと。このサークルは毎回仕掛けの作り方がうまいと思っていたのですが、今回は特にうまいこと作られているなと感じました。この演出は商業誌じゃ厳しいだろうなってのもあったりして同人誌ならではの強みも遺憾なく発揮しています。マンガ的なメタネタも気にならない程度に散りばめられており、最後のあとがきには思わずニヤリとさせられました。演出面だけでなくキャラクターも素直に可愛いらしく、恋の相手である、はちくんまでアホっぽくてつい笑ってしまいました。

作家が商業で出している「つるぎのない」も一巻完結で読みやすいので、そちらを先に読んでみて、合いそうなら同人誌の方もきっと楽しめると思う。

 

 

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「ファイアーメイジvsクリスタルウィザード」(模造クリスタル)

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 クリアファイル(模造クリスタル)

 

「ゲーム部」シリーズが完結し、次に始まった「スペクトラルウィザード」シリーズの最新作。作家である「模造クリスタル」は「金魚王国の崩壊」で有名なので知っている人もいるかも知れない。「スペクトラルウィザード」は同人誌版に描き下ろしを加えて単行本化されているので、ぜひ読んでみて欲しい。魔術師ギルドが崩壊し、騎士団に追われる存在となった生き残った魔術師たちの話なのですが、キャラクターがどいつもこいつも個性的な上に、吐き出されるセリフのひとつひとつが魅力的で、きっとこの世界観に魅了されることでしょう。最新作はタイトルこそ「ファイアーメイジvsクリスタルウィザード」となっていますが、実際に戦っているのはファイアーメイジとカオスウィザードばかり。肝心のクリスタルウィザードは何か企んでいる様子で、これから大きな動きを起こすための繋ぎのエピソードといった印象でした。相変わらずスペクトラは可愛い。

12時過ぎに行ったのでもうクリアファイルはないかと思っていましたが、普通に入手できたので良かった。後日、秋葉原COMIC ZINでも委託販売されていたので、多く用意していたのかもしれない。「模造クリスタル」は他にも、「ビーンク&ロサ」、「黒き淀みのヘドロさん」とかも単行本で出ているので興味があればぜひ。

 

 

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無料配布本(すこやかペンギン)

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「鬼桐さんの洗濯(サイン本)」(すこやかペンギン)

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 アクリルキーホルダー(すこやかペンギン)

 

この作家を知ったのはもう10年以上前。当時週刊少年ジャンプの公式サイト内にジャンプデジタルマンガなるコンテンツがあり、小学生だった僕はそのうちのひとつ「マルラボライフ」という作品にドハマリしました。残念ながら「マルラボライフ」はサイトのリニューアルに伴い終了してしまったのですが、終了後も僕が好きな作品の一つとしてずっと心には残っていました。

そして時が経ち大学生になった頃、はじめてコミティアに一般参加してみようと、カタログをパラパラとめくっていた僕の目に飛び込んできたのが「すこやかペンギン」のサークルカットでした。変わらない絵柄から、「これは絶対にマルラボの作者だ!」と見抜いた僕は即座に検索、やはり「マルラボライフ」の作者でした。それ以降、コミティアでは毎回絶対に巡るサークルの一つとなっています。参加頻度が高いのに、ほぼ毎回新刊を用意してくるものすごいサークルです。しかも、その新刊というのが非常に高いレベルでまとまっています。

今回は新刊こそありませんでしたが、それでも無料配布本を用意してくれているなど、頭が下がる思いです。また、作家が去年出した「鬼桐さんの洗濯」単行本にサインをつけて販売していたため、既に持っていた単行本ではありましたが、迷わず購入。ついでに、このサークルでははじめて見た気がするグッズ、アクリルキーホルダーも購入しました。このサークルは多分死ぬまで書い続けると思う。

 

 

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「飛びこめ!!新しい沼!01」(むてけいロマンス)

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 布ポスター(むてけいロマンス)

 

lain」とか「灰羽連盟」のキャラクターデザインなんかを手がけた「安倍吉俊」のサークル。「飛びこめ!!沼」シリーズは主にSIGMA製のカメラを扱った同人誌であり、この「飛びこめ!!新しい沼!」も新シリーズとして引き続きカメラの同人誌となっています。ぶっちゃけ僕はカメラには全く興味が無いのですが、作者が好きというだけで買いはじめたところ、カメラの世界が思ってた以上に深いことを知れたので、なんでも触れてみるもんだなと思いました。あとは飾るところもないのに布ポスターを購入。過去にも布じゃない普通のポスターを買った記憶があるので、いずれまとめて飾りたいと思います。

 

 

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 「labradorite」(空遊魚)

 

少し前に完結した「ヨツコト」作画担当のサークル。YOTSUKOTO ART BOOKと銘打たれているように、「ヨツコト」キャラクターのデザイン集といった感じ。キャラクター制作の小話なんかもあったので、原作読んでると楽しめるかと。

 

 

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 「好きな人の事は無限に考えられると思うんですよ」(下り坂道)

 

上で紹介した「ヨツコト」原作担当のサークル。こっちは「ヨツコト」関係なく高校生男女の恋愛模様を描いた甘い一冊。男の子も女の子も互いに相手のことが好きなのに、お互い自分の片思いだと思っていてドギマギするって感じのお話です。裏で友人が糸引いてたりと青春っぽさ満点。作家の双見酔は短編でこういった正統派な青春ものというか恋愛ものをよく描いているんですが、それがどれも僕の心に妙に刺さるんですよね。多分こういった話から縁遠い青春を送っていたから嫉妬と羨望からそうなってしまうのだと思いますが、それはそれとして双見酔が描くゆったりとした世界観が好きだというのもある気がします。

ニートを描いた「空の下屋根の中」、全く自覚のない勇者と人間と共存の道を探ろうとする魔王を描いた「セカイ魔王」、今回みたいな同人誌のお話をまとめた短編集「好きもよい」「恋ときどき」、あとはアニメ化もされた「魔法少女なんてもういいですから。」と、どれもゆったりとした世界を感じさせてくれます。特に「好きもよい」「恋ときどき」に収録されている作品はどれもドキドキさせてくれるよ。こんな青春無かったから…。個人的には「セカイ魔王」が一番のおすすめです。

 

 

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 「顔」(キセガワ上流)

 

ラップを扱った漫画「キャッチャー・イン・ザ・ライム」の作家のサークル。なんかさっきから商業作家のサークルばかり紹介しているような気がしますが、元からチェックしていたサークルが商業でも描きはじめたパターンと、商業で知って同人誌もチェックしはじめたサークルの両方があるので、決して商業作家しかチェックしてないわけではないとは言っておきたいです。ちなみにここは後者です。あと全体をざっと見たら今回は商業作家のサークルが大半だったのであまり説得力が無かったですね。

それはさておき、好きな男の子を他の女に取られたと思った女の子が、VR空間上でその女を作り出し、痛めつけることでスッキリしようとするストーリーです。暗さを孕みつつも、読後感はさっぱりしたもので、漫画として仕上がった状態でも読んでみたいと思いました。復讐対象の女が実にうまく描かれていて、主人公の心情を追うように、可愛くも憎たらしく感じられたのが、最後には可愛くて憎めない、に変わっているのが良かったです。

 

 

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 「偶像は愛する人のために」(おでんランチ。)

 

アイドルの恋愛が解禁された世界で、最近のアイドル観を受け入れることが出来ず、引退した昔のアイドルのファンになった青年の話。ティアマガで紹介されていて気になったので思わず購入しました。なんか見たことある絵だなーと思ってたら、過去にも買ったことあるサークルでした。

なんというか、好きなものを追い続けるってやっぱいいよなと感じさせてくれる一冊でした。この世界におけるアイドルとファンの一般的な関係は、好きな彼氏のために歌うアイドルとその恋愛している様が可愛いのだと応援するファンであり、主人公やヒロインみたいに、今の僕たちのようなアイドルの捉え方をする人(恋愛禁止だの清楚だの)は少数派なのですが、そのどちらもが好きなアイドルについて語るときはキラキラしています。特に主人公は普段は仏頂面なのに、アイドルについて語るときはいい笑顔で、まあオタクっぽいだけだと言われたらその通りなのですが、それでもやはり、好きなものがあって、それを追いかけるってことは綺麗だなと感じさせてもらえました。

 

 

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 「遅刻者ふたり」(テクノストレス)

 

もう地球が駄目になってしまうという世界で、遅刻常連者のふたりが、地球脱出の最終便にも遅刻するところから始まる物語。少し前に流行ったポストアポカリプスとは少し違うとは思いますが、衰退した世界が大好物の僕にとってはこういう設定(取り残された世界で男女二人とかそういうの)を見ただけで思わず飛びついてしまいました。まあ前からちょくちょく買ってたサークルでもあるんですが。

人が消えた街が強調されたりとかはなく、「遅刻者ふたり」にフォーカスしてストーリーが進んでいくのですが、このふたりの生活が淡々としていて実に好み。多分こんな世界じゃなくてもこのふたりは同じような生活をしてる気がする。どうにも衰退と日常って取り合わせが好きなんですよね。「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」とか。取り残されたふたりが冷静な理由はちゃんとあって、ただのメンタル激強になってないのも良かったです。

 

 

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 「あのねせんぱいおねがいです。」(おおきめログハウス)

 

新刊が出ると買っているサークルなのであらすじも知らないままに読み始めたのですが、いきなり自分の身体に乳首ピアスを空けて欲しいと先輩に頼む後輩が出てきて笑った。こうやってグダグダやらずにいきなりぶち込んでくるのは嫌いじゃない。驚きながらも冷静に諭す先輩と、どうしてもピアスを空けて欲しい後輩の掛け合いが楽しかった。

 

 

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 「三夜怪談」(クリステルボーイ滝川)

 

キルミーベイベー」のカヅホが参加しているということで手にとったのですが、思ってたより真っ当にホラー漫画になっていて良い意味で裏切られました。ギャグ漫画家のイメージが強いカヅホでしたがこういうのも描くんだなと。でもよく考えてみると、コミティアで出している本はそこまでギャグが多いわけではなかったので、単に引き出しが多いのかもしれない。過去に出してた「宇宙人対ストリッパー」なんて、タイトルからして絶対ギャグだと思ってたら、普通にいい話でめちゃくちゃ驚かされたし。

個人的に合同誌って形態は大好きで、なぜなら知らなかった作家を知る良いきっかけになるからです。カヅホ目当てで買ったわけですが、他の二人の作品も面白かったのでまたチェックしようと思います。こうして好きなものが増えていくってなんだかいいと思うんですよね。

 

 

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 「出張タオまるマンガ3」(アッパーカット)

 

良質なギャグ漫画。ナンバリングが3になっているけど、勿論1も2も持っています。よくある女子高生ものの日常ギャグだろと言われたら、まあそうなんですが、ギャグのキレもテンポも良いのでサクサクとしっかり笑いながら読める。ギャグ漫画のギャグを書いたり解説したりすることほど面白くないことはないと思うので、書くことがあまりないのですが、読めば分かる面白さだと思います。

 

 

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 「事故さん」(つゆくさ)

 

いつぞやの再録とか言ってた気がする。コミティアに参加しているような人は独特の雰囲気を作るのが上手い人が多いような気がしているのですが、この「つゆくさ」もそうですね。作家の三島芳治が今連載している「児玉まりあ文学集成」を読むと、その作り出された雰囲気をうまく感じ取ることが出来るような気がする。悪い意味じゃなくてふわふわする。そして少しの寂しさと言うか恐怖のような。三島芳治がtwitterでちょくちょく上げる画像もそういう雰囲気をうまく作り出せていると思う。なんだか感想まで浮ついてしまった。

 

 

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サイン色紙(ハトポポコ)

 

ここはサークル参加しているとは言え、新刊も既刊も置いておらず、ただ作家がスケブや色紙を可能な限り受け付けるという、どちらかと言えば展示に近いスペースになっていました。ハトポポコは以前にもこの形態で参加していて、たしかその時は朝イチでスペースに向かったところ、「今からコピー本でも作ろうと思うんで後で来てください」という滅多に聞くことがないセリフを頂戴し、1時間後くらいに再び訪れたところ、「スケブ頼まれちゃってコピー本作れそうにないです、よかったら何か描きましょうか?」と言って頂いたので、色紙にイラストを描いてもらった記憶があります。なんだかこういうのもコミティアの懐の広さを感じられて良いなと思いました。今回も色紙を受け付けてもらえたので、ハトポポコの作品から「平成生まれ」の四村さんをリクエスト。平成最後のコミティアで「平成生まれ」のキャラクターを描いてもらえるというのは中々洒落がきいてるなと思ったので、本人に感謝の気持ちと共に伝えたところ、本人は気がついてなかったらしく心なしか喜んでもらえたような気がしました。

特にリクエストしたわけではなかったのですが、「楽しい」と吹き出しを付けてもらえていたのが結構嬉しかった。これこそまさに僕が毎回のコミティアに感じていたことであり、また次回も来ようと思う源だったから。

 

 

次回、コミティア128は2019/05/12。例年開かれている05/05の一週間後、会場もビックサイトから少し離れた青海展示場での開催、更には元号も変わっていると、普段とはまた違った環境でのコミティアにはなりますが、そこに流れる雰囲気は変わらないものだと思います。これからも参加し続けたいし、いずれはサークル参加だってしてみたいと思う。いつまでも創作文化の最前線を突っ走っていって欲しい。