インターネットのけもの

全て妄想です。

前向きな気持ちにはなれた

TVにはよく見知った場所が映し出されていた。

湾岸部に建設されていくそれは、埋め立てを進めながら前回見たときよりもかなり拡張されていた。数年後に控えたイベントで使用されるらしいが詳細はよく知らない。建設は急ピッチで進められており、今では人員と物資の輸送用に鉄道まで敷かれているほどだ。

朝のニュースはどうやら工事が順調に進んでいることをアピールするものらしい。エリア一帯を収めた映像には既に完成したと思われる建物も含まれており、朧気ながらも完成したらこうなるのだろうなと図を思い浮かべることができる。

「もうこんなに出来ていたのか」

毎日見ていたにもかかわらず、俺は工事がこんなにも進んでいたなんて知りやしなかった。そう、俺はこの現場で働いている。一作業員として働きだしてからそろそろ一年になる。だが、工事がここまで進んでいたとは知らなかった。それくらい今の仕事に興味がない。与えられた仕事はもちろん十分にこないしているが、どうしても意欲的に働こうという気にはなれない。元々無理やり始めさせられた仕事だから当然ではあるが。

焼き上がったトーストを手早く押し込み、出勤の準備を始める。仕事内容は変わり映えせず、準備と言ってもいつもと同じ作業服に着替え、同じ鞄を担いで家を出るだけだ。俺も含めた作業員たちは皆同じ寮に住むようになっており、最寄りの駅から専用列車に乗って各々の工事現場へと輸送される。効率化だかなんだかのためらしい。自由がないと文句を言うやつもいるが、俺自身は楽で結構気に入っている。

 

考え事をする暇もなく駅に着く。駅前のロータリーでは自由だの人権がどうだのと演説している連中がいたがすっかり見慣れてしまった。いつもの光景となったそれを横目にホームへを歩を進める。俺たちは乗り込む車両まで決められているので、いつもの場所からいつもの車両を待つ。5分も経たないうちに列車が来た。いつものことながら車内は満員で、働き始めた頃は仕事内容よりもこの満員列車のほうが嫌だったくらいだ。

俺が乗り込む車両は一番端の車両で、いわゆる「一番下のやつ」だ。俺たちが働く工事現場の割り振りは明確な階級社会が成立しており、下のものが上に逆らうなど許されていない。必然的に「一番下のやつ」である、俺達に回ってくる仕事はいつも他の連中が投げ出したようなキツく汚いものばかりになる。いつの間にか車両も分けられるようになり、悠々と出勤できる上の連中に比べ、俺たちは椅子もないような車両で昔の奴隷のようにすし詰めにされながら出勤しなければならないようになってしまった。

階級が下のものには肉体的、精神的に問題を抱えているものが大半であり、特に俺みたいな最下層は社会的に問題ありと判断され、矯正の一環としてこの現場で働くことを義務付けられたような奴らばかりだ。俺も元々は会社員として一般企業に勤めていたものの、自らの生き方が社会に受け入れられず、こんな生活に転落してしまった。社会を恨んでいないと言えば嘘になるが、少しは仕方ないという気持ちもある。この矯正が終わった後には、社会とどう折り合いをつけて生きていくか考えてみようと思う。

 

そんなことを考えているうちに列車が今日の現場へと到着したようだ。圧迫感から開放され、周囲の流れに沿ってゆっくりと列車から降りると、ズボンの裾からゴトリと何かが落ちてきた。

アナルバイブだ。

どうやら満員電車からの開放感にケツの方も緩んでしまったらしい。人混みの中でアナルバイブを拾いながら、「俺の生き方はこれでいいんだろうか」と悩んでいると、ふと前方に立ちふさがる影が見えた。母親だった。

「あなたはそのままでいいのよ」

そう言うと、母親はそのまま消えてしまった。幻だったのだろう。

 

 

と、こんな感じの夢を見ました。

文中で俺とか母親とかが出てきていますが、ビジュアルとしては全然知らないおっさんとババアだったため、起きてからは混乱するばかりでした。

全体的に何一つ意味が分かりませんでした。