インターネットのけもの

全て妄想です。

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「来訪者・燃ユル雪原」

13話でカナタがリオを見つけた場所に着いてからの続きです。

 

2016年9月18日(日)

 

この場所に着いたとき、僕の胸は初めてクエンカに着いたときと同じか、それ以上に高鳴っていました。というのも、僕も多くのソ・ラ・ノ・ヲ・トファンの例に漏れず、1話と13話が特にお気に入りだったからです。特に13話は、元々好きだった「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」という作品をより一層好きにさせてくれた特別な話でした。TV放送やネット配信が無いのは大変残念です。未放送話には、ソ・ラ・ノ・ヲ・トの魅力が詰まっているというのに。

 

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カナタと同じ場所を通って先に進みます。

 

さっきまでいたはずの家族連れの姿はいつの間にか消えており、今はこの空間を独り占めすることが出来ました。カナタがリオを探しに来たこの場所に、カナタと同じ道を通って入っていきます。

 

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見上げるとこの高さがより分かります。

 

果たしてこの塔はいつ頃建てられたのでしょうか。アラルコンのパラドールは8世紀に建てられた古城を改装して作られたものだそうですが、街を囲む城壁や、見張り台なども同時期に建てられたのでしょうか。そんな古くから立ち続けているこの塔は、きっとこれから先もここに在り続けるのでしょう。

 

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残念ながら塔に入っていけそうな場所はありませんでした。

 

どこからか塔に入っていけないものかと思いましたが、残念ながらどこも塔の内部に通じている様子はありませんでした。上まで上がれるようになっているとは思いませんでしたが、まさか内部に入ることすら出来ないとは残念です。塔の周囲には一部、階段になっている場所がありましたが、それも途中で途絶えており、そこから内部に通じているといったこともありません。窓のようなものがあるからには、どこからか入れるとは思ったのですが・・・。

 

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途中までは登っていけるようになっています。

 

塔の周囲にある階段を上っていくと、少し視点が高くなるため、より遠くまで見渡せるようになります。塔を囲む城壁よりも高い場所に来るため、先程通ってきた道もよく見渡せました。この階段は、まさしくカナタがリオ先輩を見つけた場所であり、この階段の下でリオは考え事をしていたのです。残念ながら僕がここに来たときには、考え事をしている優しい先輩的存在はいませんでした。まあ居たら居たでびっくりして階段から転げ落ちていたでしょうが。

 

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カナタとリオが炎の乙女と夢について話していた場所。EDにも出てきますね。

 

街に面した城壁は大きく凹んだ形状になっており、さながら展望台のように景色が見渡せます。近くには車道もありますが、車の通りは少なく、とても静かな時間を独り占めすることが出来ました。ここで考え事をしていたリオの気持ちがよくわかりました。一人になるのにこれ以上に適した場所はそうないでしょう。ただ、あまりの景色の美しさと穏やかな時間の前に、ちっぽけな悩みはどうでもよくなってしまいそうなのだけがネックですね。

 

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13話に一瞬だけ出てくる何か。こんなものまで実際にあるとは思いませんでした。

 

地面のあたりを見ていると、13話でちょろっとだけ出てくるものを同じものを見つけました。カナタが「大昔、何があったか本当のことはわからないけど・・・」と言っているシーンの背景に使われており、微妙に台詞とリンクしているなと思っていたのですが、まさか実際にあるとは思いませんでした。ちなみに、実際に見てもこれが何なのか全くわかりませんでした。

 

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街を一望できるどころか、フカル川も見張り台も全部眺められます。

 

展望台のようになっている場所からの眺めは本当に素晴らしく、暫くの間何も考えずにぼーっとすごしてしまいました。そうしていると、いつの間にか他の観光客が近づいて来ていたので、充分に満足した僕はこの場所を明け渡し、もう少し街の周囲を回ってみることにしました。

 

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街から離れるほどに何もない光景が広がっていきました。

 

道路沿いに進んでいってみましたが、特にめぼしいものも見つからなかったため、道路から外れて進んでみることにしました。ですが、途中に犬や馬を飼っている場所があった以外には特筆するべきものも見つけられず、ひたすら歩いた結論として、「ここには何もないがあるんだな」と訳のわからないことを導き出し、帰路につきました。犬はめちゃくちゃ吠えてきて怖かったです。こんな場所だしリードに繋がれてない可能性もあるな、と考えると尚更でした。

 

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貯水池は見かけよりも大きく感じられました。泳ぐと気持ちよさそう。

 

道路沿いにずいぶん進んでいたためか、いつの間にか貯水池を一望できる場所に出てきていました。アラルコンの人たちは、夏場にここで泳いだりするのでしょうか。古城をみながら泳ぐなんてめちゃくちゃ気持ちよさそうですね。

 

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まるで煙突のようになっていたので思わず撮ってしまいました。

 

帰りは舗装された道路を通っていたのですが、ふと見上げてみると絶好の角度で雲が見えており、先ほどまで見ていた塔が、まるで煙突のようになっていました。こういうふとした時に見える景色が嬉しいですね。帰りは寄り道がてらに、パラドールをぐるりと回って帰りました。見えにくいところに城壁があったりして面白いですよ。

 

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カフェでソ・ラ・ノ・ヲ・トをみながらの一杯。

 

ここで一度パラドールに戻り、コーヒーを一杯いただきました。舞台となったその土地で、作品をみながらくつろぐなんて、これ以上の贅沢があるでしょうか。そうやってニヤけながらコーヒーを飲んでいると、従業員の方から呼びかけられました。実はカフェに寄る前に、明日アラルコンを発つために、タクシーの手配をお願いしていたのですが、どうやら問題なく手配できたとの報告のようでした。

折り悪く、フロントに居たのが英語が通じない老紳士の方だったため、google翻訳に筆談、ジェスチャーと取れる手段全てを用いて意図を伝えようとしたのですが、無事に伝わっていたようです。いい笑顔でサムズアップしながら、タクシーが確保できたことを教えてくれました。ちょうど、ニヤニヤしていたところだったので少し恥ずかしかったです。

 

部屋に戻ると、洗濯物が届きました。僕は旅行ではコインランドリーを使うことを前提に、最小限の着替えしか持っていかないのですが、クエンカでもアラルコンでもコインランドリーが見つからず、仕方なく洗濯を依頼していたのです。ある程度高くつくでしょうが、背に腹は変えられません。これだけ毎日歩き回って汗をかいているというのに着替えないわけにもいかないですからね。

2泊分の着替えを洗濯したのですが、料金はたしか15ユーロくらいでした。日本円にすると1泊分あたり1000円といったところでしょうか。思っていたよりも更に高かったのですが仕方ありません。どうやら服の種類によって値段が変化するようなので、ものによってはもっとするのかもしれません。

 

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こういうタイプの遊具ってどこにでもあるんでしょうね。

 

少し休んでから街歩きを再開すると、公園を見つけました。過疎の町と呼ばれているくらいですから、遊んでいる子なんていないだろうと思いましたが、意外なことに普通に遊んでいる子がいました。ただ、遊具で遊んでいる子はおらず、球技に興じているようでした。

 

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街の西側にももちろん城壁が広がっています。

 

 公園を過ぎ、街の西側へと抜けていきます。当然ですがこちら側にも城壁が広がっています。こちらはあまり人の手が入っていないのか他の場所に比べて崩れている場所が多かったように思います。普通に道を通っている分には問題ないでしょうが、城壁や川を見ようと道路から離れていくと、突如として川まで一直線に落ちられるようになっている場所があらわれるので、あんまり淵のほうまでいくと危険です。

 

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西側は断崖絶壁になっている場所が多いです。

 

どれだけ高低差があるのか伝えようとギリギリまで寄って写真を撮ってみたのですが、まさしく断崖絶壁といったところでしょうか。今にして思えば、このときに突風でも吹いてきたら崖下まで真っ逆さまだったでしょう。なかなかに危ない真似をしていたものです。誰にも気づかれずに朽ちていくハメにならなくてよかったです。

 

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EDのワンシーンをEDと同じ角度から。

 

 街の西沿いから伸びる道路を下ってくると、初日に来た貯水池そばまで出てこれます。橋の付近には相変わらずなにか動物の糞が一杯でした。写真を撮っている間に周りでハエが飛び交っていて大変でした。

 

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 朽ちた屋根もなかなか乙なものです。

 

せっかくここまで来たので、もう一度小屋の中に入ってみました。ただの廃墟と言えば廃墟なのですが、屋根が吹き飛んでいるためにやけに明るく、鬱蒼とした雰囲気は欠片も感じません。それでいて、川のせせらぎ以外になにも聞こえてくるものはなく、落ち着かせてくれる何かがここにはありました。

 

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 このタイルを見ているだけでも楽しい。

 

いるだけで落ち着けるというのに、ここがソ・ラ・ノ・ヲ・トの舞台になっているというのですから、これ以上に素晴らしい場所はそうないでしょう。ここまでくると、タイルのハゲ具合ですら楽しめますね。といいますか、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト抜きで考えても、そもそものタイルのデザイン自体がかなり優れていると思うのですがどうでしょうか。いつか家に敷き詰めたいですね。

 

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 幼い頃のカナタが泣いていた場所ですね。

 

幼い頃のカナタはずいぶんと危ないところで泣いていたものです。床には瓦礫が散らばり、場所によっては大穴が開いている。迷子になったからといって何もこんな場所で泣いていなくても良かったのに。 僕も同じところにうずくまって写真を撮ってみようと思ったのですが、ホラー写真にしかならなさそうだったので止めておきました。この場所を穢さない、良い判断だったと思います。

 

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 この景色はもう、見るだけでこみ上げてくる何かがありますね。

 

 ソ・ラ・ノ・ヲ・トという物語はまさしくここから始まったのです。この場所について、多くを語る必要はないでしょう。これから何度ここに来ようとも、決して飽きるということはないと思います。願わくば、この場所が今後も残ってくれますように。

 

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 改めて1話でシュコが初登場した場所を。

 

小屋から出てからは辺りを少し見回りました。シュコが初登場したこの場所ですが、よく見ると川周りの設備なんかも作中ではしっかりと描かれていることに気が付きます。この場所に限ったことではないですが、ソ・ラ・ノ・ヲ・トはこういった細かい描写を何気なく入れてくるので、そういったところが、作品に何か生活感というか説得力をもたせているのかもしれませんね。

 

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 夜のアラルコンというのも悪くないものです。

 

ぶらぶらしているうちに、街へ戻った頃にはすっかり暗くなってしまっていました。ただでさえ少なかった人通りもほとんどありません。こういう雰囲気は嫌いじゃありません。一瞬、治安がどうこうという考えも頭をよぎりましたが、こんな場所で治安もクソもないだろうと、結局しばらく散歩を継続してからパラドールに戻りました。案の定、危険な目にあうといったことはありませんでした。むしろ、これだけ建物があるのに人がいないというお化け屋敷的恐怖のほうが大きかったくらいです。

 

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 鶏肉だと思いますが、例によって美味しかったということしか覚えていません。

 

 戻るとちょうど夕食の時間帯だったため、そのまま食堂へ。相変わらず何を食べていたのか思い出せないという体たらくでしたが、写真を見るに鶏肉らしい何かを食べていたようです。あと今日はビールを飲んでいました。デザートにはパイとアイスらしいものを食したようですね。こんな情報聞いたところで、だから何だと思われるでしょうが。

少しでも役立てそうな情報といえば、スペインに来てからの食事で、合わないなと思ったものが無かったことくらいでしょうか。まあ僕はかなりのバカ舌なのであまりあてにならないかもしれませんが、独特の味付けといったものは無かったように感じます。おすすめできるのは生ハムとチュロスです。これはパラドール関係なく、どこで食ってもうまいものにしか出会いませんでした。

 

明日はとうとうアラルコン最終日です。交通網を考えるとアクセスが厳しい場所にあるアラルコンですが、多少の無茶をしてでも行く価値があるところだと思います。クエンカとはまた違った空気が流れていますよ。

 

 

続く