インターネットのけもの

全て妄想です。

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト舞台探訪記 「蝉時雨・精霊流シ」

先日ソ・ラ・ノ・ヲ・トファンの集い、「ソラヲフ」が開催されたそうですね。めちゃくちゃ行きたかったのですが、都合がつかず断念いたしました。次こそは・・・!

 

2016年9月17日(土)

今日はアラルコンに向かいます。

 

少し早起きして朝の散歩タイムです。早起きとは言ってももう8時近くなんですが。

サン・パブロ橋はどの時間に渡っても気持ちがいいものです。

 

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 早朝も人通りが少ないので無人の写真が撮りやすいです。

 

橋を渡り街中へ入っていきます。

そのままブラブラと気の向くままに歩いても良かったのですが、ある目的があったからこそ早起きしてきたのです。街歩きは後回しにして黙々と目的地を目指します。

 

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 クエンカで見る朝日。スペインの日の出は遅い。

 

もったいぶった割にすぐにネタバレしてしまうのですが、日の出を見たいがために早起きしてきたのでした。

1話はどのシーンを切り取っても好きなシーンしか無いこともあり、クエンカに行くことがあれば絶対に朝日を見てやろうと決めていたのです。

 

どこで朝日を見ようか迷ったのですが、結局一番見やすいだろうと思われる門の上の展望台で見ることにしました。作中に合わせるのであれば、パラドール側から見るべきだったのかもしれませんが、太陽がのぼってくる方向を考えると高さが欲しかったのでこの場所となりました。

というのも、実際の太陽は作中とは真逆の方向からのぼってくるため、パラドール側からでは崖や建物に阻まれて、中々日の出が見えないと思われたためです。

結果的にこの選択は大正解で、角度は異なるものの、徐々に朝日に照らされていく街の姿をじっくりと眺めることが出来ました。

 

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 暗がりの街が、

 

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 朝日に照らされていく。

 

日の出前から割と明るく見えていたのですが、こうやって見比べてみると明確に違っていることがわかります。

太陽が登ってくる方向が逆なので、街が照らされていく方向も逆になってしまいますね。特に傾斜がついている分、そこが顕著でした。

サントラを聞きながら照らされる範囲が広がっていく光景を眺めていたのですが、人通りも少なく、静かで穏やかな時間を過ごすことが出来ました。

 

一通り満喫した後は、少しぶらりとしてからパラドールへと戻ります。

もう8時を過ぎているというのにあまり人とすれ違うことはなかったです。スペインの朝が遅いというのは本当なんですね。

 

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ブラブラしているうちに日は完全にのぼりました。

 

EDの最後に全員集合しているシーンのモデルを探すため、街中だけでなく崖下の方にも足を伸ばしてみましたが、それらしいところを見つけることは出来ませんでしたが、代わりに打ち捨てられ、荒れ果てた廃墟と化した何かを見つけることは出来ました。

めちゃくちゃ落書きされていたので少し笑ってしまいました。どこも似たようなもんですね。

 

橋を渡りパラドール側へと戻ります。

こちら側にはパラドールくらいしか見るものはないのですが、実はパラドールの先にも道は続いています。せっかくなので進んでみます。やはりと言いますか、坂道をのぼっていくような道となっていました。

 

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あまり見る機会もないであろう上から見たパラドール。 

 

上までくるとパラドールがよく見えます。写真では分かりづらいかもしれませんが、パラドールの中庭は実は二つあるんですね。大きい方はフロントや食堂に面していて出られるようになっていますが、小さい方は出られないようになっていたように思います。建物内部からは見れたような気がしますが、何があったかビタイチ思い出せないのでまあ大したものはなかったのだと思います。

 

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 おじさんがプールの掃除をしていました。

 

パラドールの上にはプールやコートなど、スポーツが出来る環境が整えられていました。おそらくホテルに備わっているものだとは思うのですが、イマイチよくわかりませんでした。しっかり手入れされているらしく、おじさんが一人でプール掃除をせこせこと頑張っていました。さすがはパラドールといったところでしょうか、オフシーズンでもしっかり掃除しているようです。

 

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 生ハムが並ぶ豪華な朝食。何を食べてもうまい。

 

昨日は朝食の事をすっかり忘れてしまい、失意のどん底に叩き落された僕ですが、2日連続で同じ過ちを犯すほどのバカではございません。今日はしっかりと朝食の時間に戻ってきました。

そのラインナップの素晴らしさに、昨日朝食を逃したことを改めて後悔したりもしましたが、済んだことは仕方ありません。昨日の分を取り返すように貪るように取っていきます。スペインらしく、生ハムやチュロスはもちろん各種パンやフルーツが取り揃えられておりました。各種パンと表現したのは、パンの名前を全然知らなかったという情けない事情があったからなのですが、名前は知らなくともパンの美味しさは確かなものでした。あと何故かケロッグとか置かれててちょっと笑ってしまった。よく考えたらおかしくないんだけど、スペインでチョコワくんを見ると何か面白かった。多分チョコワくんを助けて!のせいだと思う。

 

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 パラドールに別れを告げます。リオ先輩の気持ちがほんの少し味わえたような気がしました。

 

朝食後、少しの休憩を挟んでからチェックアウトします。チェックアウト時は円かユーロか支払いを選べるようになっていたのですがどちらで支払ったか全く覚えていません。散々悩んだことだけはなんとなく頭にあるのですが・・・。

無事チェックアウトを済ませ、パラドールを出ます。街に出るためにサン・パブロ橋を渡っていると、ほんの少しだけですがリオ先輩の気持ちを味わうことが出来たような気がしました。まあ僕はパラドールに残してきた仲間なんてものはいないのですが、ここで過ごした時間はあまりにも心地よく、後ろ髪を惹かれる思いでした。

 

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 マヨール広場はすっかりお祭り仕様になっていました。

 

何をするにしても一度マヨール広場に出る必要があるので広場に赴くと、そこはすっかりお祭りの雰囲気に包まれていました。「FIESTAS SAN MATEO」と書かれた看板が掲げられ、準備に追われる人々が慌ただしく動き回っていました。アラルコンを訪れた後は、一度クエンカに戻ってくる予定にしていたため、そのときにお祭りを楽しむことができるはず。今から楽しみです。

 

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 この時計塔もいったん見納めです。

 

事前に調べた情報によりますと、クエンカからアラルコンに行くためには、あまり手段がなく、クエンカから「モティリャ・デル・パランカル(Motilla del Palancar)」までバスに乗り、そこからはタクシーで向かう、というのが一般的なようです。バスは新市街から出ているようでしたので、散歩がてら新市街のバスターミナルまでは歩いていくことにしました。

時計塔を見納め(ピッタリ12時で鐘の音を聞いた気がしますが記憶が曖昧)、新市街を突っ切ってバスターミナルを目指します。途中通りかかった噴水で子どもたちが水遊びをしているのを見て、どこも変わらないんだなと、カナタのような事を考えたりもしました。40分ほど歩くと目的地が見えてきました。当然ではありますが、バスターミナルは通りに面したわかりやすい場所にありました。

 

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 バスターミナル内部。全然お客がいなかった。

 

バスターミナルに足を踏み入れた瞬間、嫌な予感が僕を襲います。というのも、かなり広いバスターミナルだと言うのにお客が全然いないのです。何かがおかしい・・・。しかもよく見ると、奥にある窓口はひとつを除いて全てシャッターが降りています。まだ昼過ぎだぜ?こんなに早く閉まるとかあり得るか・・・?ぐるぐると様々な思考が行き交いますが確かめてみないことには始まりません。唯一空いている窓口には既にお客がいたので、まずは他の窓口に貼られている時刻表を確認してみることにしました。そこで突きつけられたのはあまりにも残酷な真実でした・・・。

 

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 絶望の時刻表。写真を撮ったけど文字が小さすぎて何もわかりませんね。

 

クエンカからモティリャ・デル・パランカルへ向かうバスは、確かにこのバスターミナルから出ているらしいのですが(それも最低2つは路線がある)、本数が極端に少なく(確認できたのは2路線合わせて3本)、しかも土日は運休しているようなのです。旅行をはじめてからはすっかり曜日の感覚なんかは消え失せていたのですが、よくよく考えると今日は土曜日。他の時刻表を見てみても、土日は大半の路線が運休しているようです。どおりでバスターミナルに活気がなかったわけですね。肝心のバスが無いんじゃ人が集まっているはずがありません。

最後の望みを賭けて、唯一空いていた窓口で身振り手振りを交えながら「アラルコンに行きたい!モティリャ・デル・パランカルに行きたい!」という思いを伝えたのですが(実際には地名を連呼しただけ)、「アラルコン」と言った瞬間にお姉さんの表情がものすごく強張っていたので、僕は全てを察したのでした。外国人って凄いのな、あんな表情、映画でしか見たことなかった。馬鹿にするとかではなく、ただただ気の毒そうな表情だった。もちろん、「モティリャ・デル・パランカル」行きのバスなんかあるはずもありませんでした。

 

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 高速鉄道AVEが来ない方のクエンカ駅。こちらも全然活気がなかった。

 

バスターミナルにいても何も解決しそうになかったため、ひとまず新市街にあるクエンカ駅へと向かいました。鉄道でアラルコンに向かう手段はないのですが、駅前にはタクシーの一台でも止まっているはずで、高く付きますが他に手がない以上タクシーで直接アラルコンに向かうしかなかったからです。しかし、そこでもまた僕は悲痛な現実を知らされるハメになったのでした。駅前に停まっている車は路駐ばかりで、タクシーなんぞ一台も見当たりません。そもそも、駅前だと言うのに店は殆ど開いておらず、人も全然いません。どうやらスペインの人達は休日を本気で満喫しているようです。このあたりから、いよいよ本気で焦り始めました。

大通りに出てタクシーを探してみますが一向に見当たりません。流れてくる車の中にもそれらしいものは一切いませんでした。他にタクシーが停まっていそうな場所といえば、高速鉄道AVEが停まる方のクエンカ駅があります。到着時に停まっているのをみた記憶もあったため、バスでもう一つのクエンカ駅に向かいました。ものすごく無駄なことをしているような気もしますが、このときの僕はタクシーを捕まえることで必死だったのです・・・。

 

到着した僕を待ち構えていたのは、「いよいよこれはどうしようもないな」という気持ちだけでした。予想を大きく裏切り、こちらの駅にもタクシーは停まっていませんでした。ここにタクシーがいなければ一体どこにいるというのでしょう。この後僕は、乗ってきたバスにそのまま乗りなおすという痴呆症寸前の行動をしてしまうハメとなりました。

新市街に戻ったものの、相変わらずバスはありませんし、タクシーも見つかりません。いっそパラドールまで戻ってタクシーを手配してもらうことも頭をよぎりましたが、チェックアウトしてから時間がたっており、対応してくれるか怪しいところです。ここで一瞬、「自転車を買ってそれで向かえば良いのでは?」という考えが浮かびましたが、Googleマップで調べてみると9時間位かかるという結果が出たため、即座に破棄されました。そもそも自転車をどこで買えば良いかもわかりませんしね。人間焦ってもロクなことがありません。

どうしたものかと歩を進めていると、街の案内図が飛び込んできました。そうか!最初からこれを探せばよかったんじゃん。こういう地図には大抵、街の案内所や大きな施設、はたまたタクシー乗り場なんかが記載されているものです。早速眺めてみますと、目当てのタクシー乗り場はあっさりと見つかりました。なんか駅とか関係ない、ちょっと広いくらいの道路にあるようです。そりゃ見つけられんわ・・・。

 

そう遠くはなかったので行ってみますと、そこにはタクシーの影も形もありませんでした。タクシー乗り場にタクシーがいないとは、ハッキリ言って何一つ意味がわかりませんでしたが、嘆いたところでタクシーは来ませんでした。普通の乗用車がバンバン行き交っていました。

というか、どう考えてもおかしいんですよね。普通タクシー乗り場って言うとタクシーが待機できるような場所があると思うんですが、ここにはそれがない。もしかしてここは、本当にタクシーを呼んで乗るだけの場所でしかないとかそういうオチなんじゃないの。しばらく待ってみましたがタクシーが来る気配はまったくもって皆無でした。

 

ここは諦めて、パラドールまで戻ってタクシーを手配してもらえるよう頼んでみるしか無いか、そう考えたそんなときでした。天よりの使いが現れたのは。その使いは初老の女性の姿をしていました。僕は救いを求めます。「タクシー!タクシー!」

女性はしばらく悩んでいたようでしたが、ふと何を理解した表情を浮かべると、呪文のような言葉を紡ぎながら僕の手を引いていきます。導かれるままに歩みを進めると、そこに現れたのは・・・。

とまあ、いらぬ小話を挟みましたが、タクシー乗り場とされる場所の近くにいたおばちゃんに思い切って「タクシー乗り場はどこですか?」と極めて紳士的に尋ねた所(実際にはタクシーと連呼しただけ)、とても親切な方だったようで、言葉もわからない怪しすぎる僕を、本当のタクシー乗り場にまで案内してくれたのでした。ちなみに、本当のタクシー乗り場はなんか公園みたいな場所の横にありました。案内してくれる最中、手を引きながら何かを語り賭けてくれたのですが、当然全く理解できなかったため、そこは申し訳なかったです。

それにしてもスペイン語でもタクシーは「タクシー」で本当に良かった。おかげでこのとても親切な方に助けてもらうことが出来ました。本当にこの旅行は助けられてばかりです。このおばちゃんは砦の乙女を名乗ってもいいと思う。

 

壊れたスピーカーみたいに「グラシアス!」を連呼しながらおばちゃんと別れると、すぐにタクシーがやってきました。人に聞くというのも大切ですね。言葉が通じずとも勢いでなんとかなったりするものです。

先に待ってた人がいたのに割り込みしてしまいそうになるという恥ずかしいハプニングもありましたが、次のタクシーもすぐに来たため、無事アラルコン行きの手段を手に入れることができました。

ちなみに、途中から写真が一切なく文章だけになってしまっているのは、写真を取る余裕が無いくらい焦っていたからです。マジで、目につく範囲にタクシーがいないか探し回りながら歩いてた。

 

 

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 やっと捕まえたタクシー。スペインのおばちゃんに感謝。

 

行き先を「アラルコン」と伝え、いくら位になるか尋ねたところ(例文集みたいなのは一応持ってきていた)、「100ユーロくらいだろう」とのことでした。日本円にして13000円ほどでしょうか。普段なら高いと感じたかもしれませんんが、これまでの不安を思えば安いものです。

必死の思いで乗ったタクシーですが、緊張の糸が切れてしまったのでしょうか。社内では爆睡してしまっていました。起こしてもらったのか、勝手に目が覚めたのか定かではありませんが、アラルコンが近づいた頃にちょうど目覚めました。

アラルコンに近づいても建物もろくにないだだっ広い土地が広がっていたので、血迷って自転車で来るという手段を取らなくて本当に良かったと思いました。多分熱中症とかで死んでたと思います。

 

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 アラルコンのパラドール。小さくても迫力満点。

 

1時間半くらいだったでしょうか。無事アラルコンに到着です。

お代はピッタリ100ユーロだったような気がします。お釣りはとっといてくれってやつをやってみたかったのですが、出来なかったはずなので確かです。

パラドールに来るまでに街中を通ってきたのですが、クエンカに比べかなり人通りが少なく、辺りを歩いているのも観光客らしい方が大半です。事前情報にあった過疎化の話はどうやら本当のようですね。その分、クエンカとは異なる落ち着いた時間が過ごせそうです。

 

来るだけでも一苦労でしたが、なんとか到着することが出来ました。クエンカに比べてアラルコンの情報が少なかったのも理解できます。こんな来にくい場所、ツアーではまず来ないでしょうしね。タクシーかレンタカー必須のハードルは中々高いようです。

クエンカのパラドールと異なり、アラルコンのパラドールはいかにも古城といった風体で佇んでいます。今日から2日間ここに泊まるのだと考えると、否が応でもテンションがブチ上がったのでした。

 

 

続く