例年ならこの時期でももっと暑かった気がしますが、9月に入ってぐっと涼しくなってきました。季節の変わり目とは言え、ここまで急激だと体調を崩している人もいるかもしれませんね。
超健康優良児であるこの僕は体調を崩す気配を微塵も感じさせてはいませんが、毎日会社のトイレにも篭って仕事をサボるために、会社ではずっとお腹の調子が悪いふりをしています。
ぶっちゃけ、周りの人は何も言ってこないので堂々とサボってやっても良いのですが、そうするとほら、僕の評価?とかそういう何かがほぼ確実に下がってしまうわけじゃないですか。
そういう何かが下がっても問題ない!俺は俺の道を征く!とワンマンっぷりを発揮できるほど能力が高ければ一切問題は無いのですが、このみみっちいサボり方からもお察しのとおり、仕事においても僕は周囲におんぶにだっこ状態という情けない有様のため、周囲の心象を極力いい方向に保たなければならないのです。
そのため、痛くもない腹が痛いふりをし、行くはずのなかったトイレにいき、下げなくてもよかったズボンを下げる。そんな涙ぐましい努力が必要なのでした。こういう社交性の高いところは皆さんにも是非見習っていただきたいところですね!
しかし、こうも毎日トイレに篭っていますと、ひとつの疑問が湧き上がってきます。すなわち、「トイレでサボっているってバレバレなのでは?」ですね。僕が思いつくような矮小な策を他の人が思いつかないはずがありませんからね。
それに思い当たってからというものの、僕のトイレライフは一変してしまいました。座っていても、常に時間を気にするようになってしまい、サボっているのに心落ち着かないという始末。
トイレから出てきてからも、周囲がこちらを見ているような気がしてきます。
「おいみろよあいつ・・・」
「またトイレでサボってたのね」
「ほんと使えねーやつだよ」
やめてくれ・・・。なんでちょっとトイレでサボってただけでこんな目に合わないといけないんだ・・・。
冷静に考えなくとも、トイレでサボることをやめれば良いのですが、僕はなんとしてもサボりたいのです。サボることすら出来なくなった時、僕はほんとに何も出来ないやつになってしまう気がしました。
そんな僕に一筋の光明が差し込みます。
僕の職場には、でかいパソコンのお化けみたいなのを置いて作業を行う部屋があるのですが、次の仕事のために、これからはそこで作業を行う必要が出てきたのです。この部屋は遮蔽物が多く、周りからは作業の状態が見えにくくなっていますし、元々あまり入ってくる人もいないため、ほとんど個室のようなものです。
こんなところで作業をしろなんて、ほとんど好きにサボっていいですよと言ってもらっているようなものでした。
さっそく、その部屋で作業を始めた僕は、トイレ以上にサボりっぷりを発揮するようになりました。周りには誰も居ないため、作業を進めているふりすらせず、携帯電話を片手にゲームだのネットサーフィンだのやりたい放題です。寒いくらいにクーラーが付いてますので、かなり快適な環境です。
しばらくサボっていた僕はある異変に気付いてしまいます。部屋寒すぎじゃね?
この部屋はパソコンの熱を冷ますために、かなりの低い温度に保たれており、そのためにクーラーからの風が凄まじいものになっていたのです。容赦なく吹きつける風は、僕の体温をいとも簡単に奪っていき、携帯電話を持つ指はかじかみ、その動きを弱めていきます。
このままでは、満足にサボることも出来ないと判断した僕は奪われた体温を取り戻すべく、一度自席に退避します。自席もクーラーは効いていましたが、あの部屋に比べると暑さすら感じるレベルでしかありません。さら少しでも早く体温を取り戻すべく、軽く腕を回したり体操をして、サボるための準備を整えます。この時ばかりは、仕事をしている振りを忘れてしまっていたのは仕方のないことでしょう。
無事体温を取り戻した僕は、ふたたびサボりに戻ります。ですが、今度も一瞬で体温を奪われるハメになってしまい、満足にサボることも出来やしません。どうやら、体の芯まで冷え切っていたようで、ちょっとやそっとでは表面的な暖かさしか取り戻すことが出来ていなかったようです。
再び自席に舞い戻る事になった僕は、そこでさらなる悲劇に見舞われます。
お腹が、痛い・・・。
どうやら長時間寒い部屋にいたのに加え、気温の変化の激しい場所を行き来していたがために、体に重大なダメージが発生していたのです。慌ててトイレに駆け込んだのは言うまでもありませんね。
トイレでサボるのを嫌ったばかりに、トイレに行くハメになってしまう。これは何の因果なのでしょうか。しかも、出切ったと思いトイレットペーパーに手をかけると、第二波、第三波が到来。結果的に、僕はサボっていたときよりも長い時間をトイレで過ごすことになってしまったのです。
自席に戻ると、先輩が声をかけてきました。
「しばらくいなかったみたいだけど、どこにいってたんだ?」
「トイレにいってました」
「随分長い間いってたんだな、ちゃんと仕事は進んでいるのか?」
その目は雄大に、「どうせトイレでサボっていたんだろ?」と告げていました。違うんです。確かにいつもはトイレでサボったりもしていたけど今日は本当なんです。信じてください・・・。
だけど、その言葉は発せられることはなく、ただただ僕の心に沈んでいくだけなのでした。
サボるのはいけねーよな、うん。