インターネットのけもの

全て妄想です。

自分になる

インターネットに初めて触れてから、もう10年以上は余裕で経過していますが、その間に成長したことと言えば、「blowjob」だの「swallow」といった、義務教育では教えてくれない類の英単語を使いこなせるようになったくらいしか思いつかなかったため、僕は自分のあまりの成長してなさっぷりに絶望することしか出来ませんでした。

当初は知恵の泉として僕の生活に格好良く登場してきたはずのインターネットでしたが、そんな格好良さは一瞬で瓦解、もっぱらいかがわしい動画や漫画の収集ツールとしての側面ばかりが目立つようになっていました。

近年は特にそれがひどく、PC起動後真っ先にアクセスするのは、白いところを探すのが難しいほど黒い要素しか無い(法律的に考えて)エロ漫画サイトであったり、かの有名なXなんちゃらの動画のランキングサイトであったというのですから、目も当てられません。

快楽天BEAST、はてはX-EROSまでが月額980円で読み放題という夢のようなサービス、Komifloに登録してからは煩悩が加速し、というか加速しすぎてもはや別に抜くわけでもないのに普通に読み物としてエロ漫画を読んでいるという有様でした。

 

流石にこんな生産性がなさすぎる、生み出すものはと言えばティッシュに吐き出される白いなにかくらいしかないような生活を改めようと、2019年の開始時にはこっそりと抱負のようなものを掲げていたのですが、まったくもって達成されることなく2019年は終わってしまいました。

ちなみに2019年の開始時に思っていたことは、「今年は進化の一年にする!」でした。今にして思えば、具体的な目的もなく、曖昧すぎて結局何も出来なかったのは当然なのですが、当時の僕は新しいことに挑戦していく意欲的な一年にしたいと本気で考えていました。

そんな思いを秘めて始まった2019年でしたが、蓋をあけてみると酔っ払った挙げ句に陰部を露出するわ、その陰部が汚かったのか精巣上体炎とかいう病気になるわ、仕事中の居眠りがひどすぎて上司からガチ説教を食らうわ、酔っ払って初対面の女性の胸を揉むわ、挙げ句それを全く覚えていないわと、「進化」からは程遠い一年となってしまっていました。

新しく挑戦したことといえば、自分の陰毛を燃やし、それを誇らしげにインターネットで報告するとか、それくらいなものです。

 

僕も今年で27歳。

世間一般ではいい大人とされる年齢で、周りには結婚をしている、あるいは意識しているような友人も増えてきました。仕事に趣味に恋愛に、大忙しの彼らはなんだかとっても眩しく見えます。方や僕は酔っ払って今日も華麗に記憶を吹き飛ばし、家に帰ってシコシコと一人遊びに興じているわけです。

流石にそれはどうなんだと。僕だって世の中の楽しさを謳歌したい!自分の世界を広げたい!

というわけで今年の目標を具体的に書き出していくことにしました。こうやって目標を衆目に晒すことで逃げ場をなくせば、こんな僕でもやる気のようなものが湧き出てくるのではないかと思ったからです。ちょっと話題の転換が強引な気もしましたが、ここは僕の日記帳なので気にしないでください。

2020年の僕のテーマは「なりたい自分になる」です。ガチで考えたのですが、残念ながら仕事に関わるテーマが一切浮かんできませんでした。やはり僕は今の仕事が合ってないのかもしれません…。

これを全て達成できたとき、僕の人生は動き出すはずです。動き出してください…。

 

 

1. トランペットで「アメイジング・グレイス」を吹けるようになる

2020年最大にして最優先で達成しなければならない目標です。

僕がもう10年に渡り鑑賞している作品に「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」というものがあります。主人公、空深彼方は音楽が習いたくて軍隊に入るのですが、そこで学びたい楽器というのがトランペットで、重要なシーンで奏でられる曲がアメイジング・グレイスなのです。「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」ファンの一人として、この目標を達成しなければなりません。

 

2. スペイン語で簡単なコミュニケーションが取れるようになる

これもまた「ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」関連なのですが、この作品の舞台となっているのがスペインのクエンカとアラルコンで、僕はすでに2016年に訪れています。

しかし、このときはスペイン語が全く分からず、現地のスペイン人に「Mamada!」と言って挨拶するんだよと、完全なる嘘を教えられ、玩具にされていたという苦い記憶があります。3. に続きますが、再度行きたいと考えているので、今度はそんな嘘に騙されないようにするためにも、基礎的なスペイン語くらいは理解しておきたいところです。

DELEと西検という検定もあるようなので、どちらかは受験してみようと思います。

ちなみに「Mamada」の意味は「フェラチオ」でした。愚かな僕は、幾人もの人に笑顔で「Mamada!」と言って挨拶をしていました。

 

3. スペインへ行く

ソ・ラ・ノ・ヲ・ト」の舞台であるスペインのクエンカ・アラルコンへ行こうと考えています。

というのも、放送10周年を迎えたこの作品のファンたちが、クエンカでオフ会をするという、なんとも素敵すぎる計画があるようなのです。参加者の大半は日本人であることが予想されますが、あえてクエンカで開催するという、もはや狂気に近い熱意には頭が下がるばかりです。開催は未定なようですが、開催されるようなら是非参加したいところです。

もし開催されなくとも、個人で行こうかなーとは思っています。その場合は、1. と2. をある程度達成していることが条件にはなると思いますが。クエンカでアメイジング・グレイスを吹いてみたいなあ。あと、純情だった僕を騙して「フェラチオ」って言わせてた奴を探しだしたい。

 

4. 第0レースを必ず制することが出来る肉体づくり

競馬場の開門と同時に発生する、場所取りのためのダッシュを通称「第0レース」と呼びます。僕はこの第0レースが大好きなので、参加できるときは極力参加しているのですが、最近になって体力が低下してきたのか、なんとか場所は取れるものの、息が上がりやすくなり、走れる距離が短くなってきたことを実感しています。

競争率の低いエリアを狙っていることもあり、これまではほぼ毎回先頭で目当てのエリアに突入することが出来ていたのですが、去年の天皇賞(秋)では、ギリギリまで前の人を抜くことが出来ず、もし前の人が同じ場所を狙っていたら、取られてしまっていたかもしれないという危ない状態になってしまいました。

今後は安定して目当てのエリアを確保できるように、スタミナおばけになろうと思います。目指すはゴールドシップです。

 

5. 年間30冊の読書

去年の夏頃に「100冊の本を読むんだ!」と目標を掲げていたにもかかわらず、実際に読んだのはたった17冊と、あまりにも遅すぎるペースに絶望していたのですが、よく考えてみると月2冊以上のペースでは読めていました。他の目標との兼ね合いもあり、本ばかり読んでいるわけにもいかないので、一旦はこれくらいのペースで継続していこうと思います。余力があれば年間50冊を目標ということで。

 

6. 投資の世界を知る

狼と香辛料」「WORLD END ECONOMiCA」「羽月莉音の帝国」と、経済をテーマにした作品が大好きな僕が投資の世界に興味を持つのは当然のことでした。

とはいえ、今は積立NISAや確定拠出年金を活用しつつ、愚直にインデックスファンドで積み立てているだけです。「ウォール街のランダム・ウォーカー」という本にそうしなさいと書いていたからです!

と言ってしまうと、自分で何も考えていない阿呆のように思われてしまうかもしれませんが、実際考えれば考えるほどこれが正解のような気がしてなりません。

ただ、投資の対象や比率などはまだまだ工夫の余地があると思うので、一度しっかりと勉強してみようと思います。まずは「敗者のゲーム」を読むところから始めます。

 

7. スマートフォンを新調する

自分でもよくわからないのですが、僕はスマートフォンに保護フィルムやケースを付けるのはダサいと思っているところがあり、今使っているものにもそういった類のものは一切つけていません。

そのくせ普通に落としたりするので画面も背面もキズだらけ、でっかいヒビも当たり前という非常によろしくない状態になってしまっています。何度も落としたことが影響したのか、最近では挙動もおかしい始末。

この高度情報化社会を生き抜くためにはスマートフォンは必須と言って過言ではないため、完全に沈黙する前に新しい端末を入手しなければなりません。

他の目標に比べて明らかにしょぼい、というか買えばいいじゃんの一言で終わってしまうようなものなのですが、どの端末にしようか迷ってることもあって書き出しました。自分の生活スタイルに必要な機能を洗い出さないと…。

 

8. 日記を書く

当初は週一回は更新しようと考えていたはずでしたが、実際には月一回更新できれば良い方になってしまっていました。

というか、僕はそもそも日記と称して気持ち悪い文章をいっぱい書いてやろうと思っていたはずなのですが、実際に書き始めてみると、そういう文章を書くのは案外難しいことに気が付きました。僕の中でこういう日々のあれこれを書くのは逃げでしかないので、なんとかして気持ち悪い文章を書けるようになりたいところです。

創作活動に近いのかもしれません。頑張る。

僕がアルアインを買う101の理由

今週末、12月22日に有馬記念中山競馬場・芝・2500m)が開催されます。

毎年、年末のこの時期に開催されるこのレースは、競馬ファンからはもちろん、普段は競馬に興味がないという人からの関心も高く、競馬の祭典といわれる東京優駿日本ダービー)と並んで、日本競馬の盛り上がりに一役買っています。

 

そんな有馬記念に僕が大好きな馬の一頭である、アルアインが出走します。

僕とアルアインの関係については過去の日記に説明を任せますが、30万円をわずか二分足らずで奪われたり、応援に行かなかった時に限ってシレッと勝つようなことがありながらも、どうにも嫌いになれない、むしろどんどん好きになってしまう困った馬です。

internetbeast.hatenablog.com

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デビュー当時から追いかけていたこのアルアインも、競走馬の宿命には抗えず、約三年間の現役生活を終え、引退するときが来ました。その引退レースに選ばれたのが、有馬記念なのです。

残念ながら、この秋のアルアインの成績はお世辞にも良いとは言えず、競馬ファンの中でもアルアインはもう駄目だという評価が主流を占めています。

しかし、僕はそうは思いません。

アルアインはまだ終わっていない、最後の花道を飾ってくれると信じています。

その根拠を、これから示します。別にアルアインに「私の好きなところ100こ言える?」とか面倒くさいことを言われたわけではありませんが、僕の愛の大きさを示すためにも100こ挙げてやろうと思います。

 

 

1. アルアインは強い

これはもう当然の話なのですが、勝つためには強さが必要となります。もちろん、勝負事には運が絡む要素がありますが、強くないものは運が向いても勝てません。

その点、アルアインは数あるレースの中でも最高峰であるG1レースにすでに勝利したことがあり、その強さは確かなものです。

過去10年の有馬記念を振り返ってみると、9頭いる勝ち馬のうち(オルフェーヴルが2回勝っているため9頭)、7頭がG1レースでの勝利経験がありました。

 

2. G1を二度も制している

そんな強いアルアインですから、G1レースを制したのも一度だけではありません。

2017年の皐月賞、2019年の大阪杯と、二度の優勝経験があります。過去10年の有馬記念勝ち馬のうち、7頭がすでにG1での勝利経験があったことはすでに述べましたが、さらにこのうち5頭が、G1を二勝以上していた馬でした。やはり、強い馬が勝つのです。

 

3. 成績が安定している

今年の秋に出走した2レースこそ二桁着順(10着以下)が続いていますが、それ以前の成績に目を向けてみると、(5-3-2-7)(一着5回、二着3回、三着2回、四着以下7回の意味)と、抜群の安定感があります。

四着以下に破れた7回についても、四着が2回、五着が3回、あとは六着七着と、決して大きくは負けていませんでした。

馬券には、一着を予想する「単勝」以外にも、一~三着にはいる馬を予想する「複勝」、一着と二着になる馬の組み合わせを予想する「馬連」などがあり、三着までに入る可能性があるのであれば馬券として買う価値が十分にあります。アルアインの安定感は、馬券を買う上で無視できません。

 

4. 近年の有馬記念と相性が良い先行タイプである

競走馬のレーススタイルには大きく分けて4つのタイプがあります。それぞれ、「逃げ」「先行」「差し」「追い込み」と呼ばれ、前者にいくほどほど先頭に近い位置で、後者にいくほど後方待機でレースを進めます。

アルアインは前目で競馬をする「先行」タイプに分類されます。

レースによってどのタイプが有利か不利かというのがあるのですが、近年の有馬記念は先行馬の活躍が目立ち、その傾向は2014年に有馬記念の舞台である中山競馬場の改修が行われてから顕著なものとなっています。2014年以降の有馬記念勝ち馬全てが、「先行」あるいは「逃げ」で有馬記念を制しています。

 

5. やはり先行タイプから狙うべき

さらに見る範囲を馬券の対象である三着までに広げてみると、2014年~2018年で馬券に絡んだ15頭の内訳は、逃げた馬が2頭、先行した馬が10頭、差してきた馬が2頭、追い込んできた馬が1頭、となっています。やはり前に行く馬が強いレースなのです。

 

6. 天候が味方になってくれる

12月22日は現在のところ雨予報となっています。

競馬では、競馬場の状態(馬場状態)を表すのに「良」「稍重」「重」「不良」の4つがあり、コースの含水率によって区分されています。晴天時は「良」で、雨天時にはコースがどれだけ水を含んでいるかによって「稍重」「重」「不良」と分類されます。含水率が一番多い状態が「不良」です。

一般的に芝で行われるレースでは、雨が降り重たい馬場になるほど前に行く馬が有利とされています。これは、アルアインにとってさらなる追い風だと言えるでしょう。

 

7. アルアイン自身は重たい馬場が苦手ではない

馬場が重たくなると極端に成績が落ちる馬がいますが、アルアインはそうではありません。「3. 成績が安定している」でも書いたように、どのような条件であっても成績が安定していることに加え、重たい馬場での実績もあります。

アルアインは過去に「重」の馬場でG2レース(G1レースの次に格が高いレース)で二着になっており、このとき負かした相手にはG1馬が二頭もいました。

重馬場のシンザン記念(G3)で六着、不良馬場の菊花賞(G1)で七着に敗れていますが、シンザン記念では前の馬にぶつかりそうになる不利が、菊花賞はそもそも3000mもあり、アルアインに向いていなかった、という明確な敗因が挙げられます。

 

8. 有馬記念は距離適性が曖昧なレースである

昔から有馬記念マイラーでも好走できるレースだと言われています。

マイラーというのは1600mの競走を得意とする競走馬のことで、一般的には短距離に近い分類です。それに対し、有馬記念は2500mを競う、どちらかと言えば長距離に分類されるレースです。

それなのになぜ、マイラーが好走出来ると言われているのか。

それは、中山競馬場の2500mというコース形態が、コーナーを6回含む小回りなコースで、道中にさほどスタミナを消費しなくても済むコースだからと考えられます。

かの有名なオグリキャップは、有馬記念を二勝していますが、他に勝ったG1はマイル(1600m)のレースだけでした。

アルアインは2000mまでのレースでしか優勝経験がありませんが、その2000mのレースにはG1が含まれています。つまり、2000mまでであれば一線級にも引けを取らない能力を持っているのです。マイラーでも好走できるコース形態であるならば、未知の2500mだって恐くはありません。調教師も「年齢的にズブさが出てきたので、これくらいの距離の方が走りやすい」とコメントしています。

 

9. 名馬は必ず復活する

先に挙げたオグリキャップも今回のアルアインのように、秋の2戦でボロ負けし人気を落としていた馬でした。

オグリキャップは終わった」

そんな声も多く、引退レースとなる有馬記念には出走せず、もうそのまま引退したほうがいいんじゃないかという意見まであったといいます。

そんなオグリキャップでしたが、下馬評を覆し見事優勝。引退の花道を自ら飾ったのでした。

名馬は必ず復活します。そして、アルアインは名馬です。

 

10. 引退レースに有馬記念はアツい

1984年にグレード制が導入され、有馬記念はG1となりました。これ以降、引退レースとした有馬記念で有終の美を飾った馬は、オグリキャップトウカイテイオーシンボリクリスエスディープインパクトダイワスカーレットオルフェーヴルジェンティルドンナキタサンブラックなどが挙げられます。

なかには、競馬に全く興味がない人でも聞いたことのあるレベルの名馬も入っています。

アルアインがこの馬たちに並ぶ存在である!とまでは言いませんが、名馬であるアルアインもまた、引退レースで有終の美を飾るに足る存在です。

 

11. 中山競馬場への馬場適性が高い

有馬記念が行われる中山競馬場はトリッキーなコースだとよく言われます。先程も触れたように、小回りで直線も短いことが原因です。そのため、昔から他の競馬場では大したことがなくても、中山競馬場ではめっぽう強い中山巧者と呼ばれる存在がいました。

いちばん有名なのはマツリダゴッホでしょうか。この馬は生涯に27戦10勝という成績を残しましたが、10勝のうち8勝が中山競馬場のものでした。そのなかには有馬記念もありました。

アルアイン中山競馬場では3戦して一着が1回、二着が2回と、連帯(一着か二着をとること)を外したことがありません。しかもその内容は、皐月賞(G1)で一着、G2レースで二着が2回とレベルの高いものです。アルアインも中山巧者の資格は十分に持っています。

 

12. アルアインは右回りが得意

日本には現在、JRAの競馬場が「札幌」「函館」「福島」「新潟」「東京」「中山」「中京」「京都」「阪神」「小倉」の10場あります。

各競馬場にはそれぞれの特色があり、特定の競馬場で強いという馬もいたりします。

競馬場の違いの中で最も大きなものが何かと言えば、それは右回り左回りでしょう。

10場ある競馬場のうち、「東京」「中京」「新潟」の3場は左回り(反時計回り)で、それ以外は全て右回り(時計回り)となっています。

アルアインは右回りを特に得意としており、左回りでは4戦して全て四着以下に敗れているのに対し、右回りでは14戦して(5-3-2-4)となっています。右回りでの成績がめっぽう良いのです。

 

13. 斤量に慣れている

競走馬がレースに出走する際には、負担重量ともいわれる重りを背負って走ることになります。これは騎手の体重も含んだものになっており、馬の年齢や性別によってレースごとに定められています。

馬によっては斤量が重くなった途端に全然走らなくなってしまったりするのですが、アルアインにはその心配がありません。

有馬記念で背負うことになる斤量は57kgですが、アルアインはもう二年以上も57kg以上の斤量で走り続けており、またその斤量を背負った状態でもG1「大阪杯」を一線級の相手を凌ぎきって制しているからです。

 

14. ずっと高いレベルで戦い続けてきた

レースには格(グレード)というものがあります。

歴戦の猛者が揃う有馬記念のようなG1レースから、デビューしたばかりの馬たちが集う新馬戦まで、おおまかに10のクラスに分けられています。

「G1」を頂点に、「G2」「G3」と格を下げていき、さらに「リステッド」「オープン特別」「3勝クラス(旧1600万下)」「2勝クラス(旧1000万下)」「1勝クラス(旧500万下)」「未勝利」「新馬」が存在しています。

全てのサラブレッドは「新馬」からスタートし(「未勝利」からスタートする馬もいますが…)、勝ち上がっていくことでクラスを上げていきます。「G3」以上は重賞と呼ばれ、だいたい週に2回ほどしか開催されない、強者のためのレースとなります。

毎年7000頭以上のサラブレッドが生産される中での競争は熾烈そのもので、「G1」レースともなると出走するだけでも大変です。「G1」では勝てない馬でも、「G2」ならあっさり勝ってしまう、というのもよくある話です。

アルアインはこれまでに19戦していますが、そのうち11戦がG1です。中には海外で開催されたレースも含まれています。ずっと一線級で戦い続けてきた、その中で掴み取った「G1」2勝の実力は本物です。

 

15. 世代レベルも高い

毎年7000頭以上のサラブレッドがデビューすると書きましたが、レベルが高い馬が揃う年もあれば、そうでない年もあります。

アルアインの世代がどうかと問われれば、僕は間違いなく世代レベルは高いと答えるでしょう。

アルアインを筆頭に、レイデオロ、キセキ、スワーヴリチャード。ウインブライト、ペルシアンナイト、サングレーザー、ミッキースワロー、クリンチャー、ダンビュライト。いずれもここ3年間日本競馬を盛り上げてきた存在です。

先月開催されたジャパンカップにおいては、アルアインの同世代であるスワーヴリチャードが優勝しました。牝馬ですが、宝塚記念を制したのもこの世代であるリスグラシューです。

優れたライバルの存在は、きっとアルアインを強くしています。

 

16. 5歳馬である

アルアインは5歳の馬です。

馬の年齢の数え方は、生まれた時を0歳とし、以後1月1日を迎えるたびに1つ歳を取る方式が取られています。

競走馬はほとんどが2歳でデビューし、その後引退のときが来るまで走り続けます。引退の時期は馬によって違いますが、5歳か6歳で引退する馬が多いです。

馬の寿命は25年~30年ほどで、競走馬の期間の年齢を人間に換算すると、だいたい10代前半から20代前半に相当すると言われています。

レースによってはこの年齢による差異を埋めるために斤量に差が設けられているものもあり、有馬記念もそうなっています。

そのため、3歳の馬が斤量的には有利とはなっているのですが、過去10年の有馬記念の勝ち馬を見ると、3歳馬が5勝、4歳馬が1勝、5歳馬が4勝と、有利なはずの3歳馬とほとんど差がありません。

有馬記念は斤量による有利さだけではない、年齢を重ねたベテランも輝けるレースなのです。

 

17. 鞍上と手があっている

馬の上に乗る人(騎手)のことを鞍上といいます。

今回アルアインに騎乗するのは「松山弘平」騎手です。この松山騎手は中山競馬場で開催されたG1「皐月賞」においてアルアインを優勝に導いた経験を持っています。

過去3度の騎乗経験がありますが、この皐月賞の勝利を含めた一着2回、負けたのもG1「日本ダービー」での五着が1回と、全く駄目だと評価されるようなものではありません。

最近は日本競馬においても、外国人騎手の活躍が目立ちますが、アルアインに関しては、外国人騎手で勝利したのが「新馬戦」と「500万下(今の「1勝クラス」)」のみで、「G1」「G2」では全て敗北しています。重賞以上を勝利したのは日本人騎手でのみです。

アルアインに乗ったことがある騎手は複数いますが、G1勝利に導いた松山騎手は特に相性が良いと言えるでしょう。

 

18. 調教師が有馬記念最多勝である

競馬に置いては、競走馬とそれを操る騎手ばかりが注目されがちですが、育成を担う調教師も忘れてはいけない存在です。

アルアインを管理する「池江泰寿」調教師は、数多くの馬を勝利に導いてきた名伯楽です。特にその力は有馬記念で発揮されており、有馬記念最多勝の四勝の記録を持っています。

有馬記念の勝ち方を熟知している池江調教師の手によれば、アルアインの勝利にも期待ができます。

 

19. 馬格がある

馬格とは馬の大きさを表す言葉です。大型馬のことを馬格があるといい、小型馬のことは馬格がないといいます。

過去7年の有馬記念において、体重が500kg以上の馬格がある馬が連対を続けており、アルアインもこの条件に当てはまっています。

今年の有馬記念出走馬16頭のうち、500kg以上で出走すると思われる馬はアルアインを含む5頭だけですので、アルアインがこの条件を今年も継続させる存在になることは想像に難くありません。

 

20. 枠番の妙を狙う

1レースあたりに出走できる競走馬の頭数は決まっており、最大でも18頭となっています。最大の頭数のことをフルゲートと呼んだりもします。

有馬記念のフルゲートは16頭で、8つに分けられた枠に2頭ずつが収まる形になります。

枠による有利不利が大きいコースも存在しているのですが、中山2500での枠番ごとの成績を比べてみると、そこまで明確な差異は見受けられませんでした。

アルアイン自身は内枠に入ったときの方が成績が良く、なんとしてでも内枠をつかみ取りたいところでしたが、残念ながら今回の有馬記念では13番枠というやや外目の枠を掴まされる形となってしまいました。

しかし、諦めることはありません。過去の有馬記念では、外枠からでも、先行した馬が上位に食い込むということは何度もありました。内枠のほうがレース運びがしやすかったことは事実ですが、外枠からでもスタートをスムーズに決め、早めに前に押し出せば、すんなりと先行して理想的な競馬を進めることは可能です。

 

21. 早い上がりは必要ない

レースには上がりという概念があります。

これは、レースは最後の3ハロン(約600m、1ハロンが200m)か、4ハロンでペースアップすることが多いため、特にその区間で掛かった時間を上がり3ハロンとか4ハロンと呼ぶものです。

競馬場ごとに上がりにはバラツキがあり、馬場状態によっては上がり3ハロンで33~35秒台、早ければ32秒台も出ます。

ここで過去5年の有馬記念で馬券に絡んだ馬15頭の上がり3ハロンを調べてみると、出走馬全体の中で最速の上がりを出していたのは1頭のみで、10頭は平凡な上がりタイムでした。

これは先行する馬が有利とも繋がるのですが、早めに前につけて粘り込みを図れるならば、最後に早い脚を使う必要はないのです。

  

22. その身に流れる名馬の血

競馬を語る上で外せない要素の一つに血統があります。

サラブレッドは人間の手によって改良され続けてきた品種であり、世代を重ねるごとにたしかに力を増してきています。過去のレコードタイムは更新され、新たな記録を生み出した名馬が、また新たな名馬を生み出す。この営みが繰り返されてきました。

アルアインは父:ディープインパクト、母:ドバイマジェスティ、という血統を持っています。

ディープインパクトは説明不要の名馬であり、ドバイマジェスティアメリカで活躍した名牝です。偉大なる両親から生み出されたアルアインが、また偉大な存在になるのは当然のことです。

 

23. 日本競馬を変えたサンデーサイレンスの血

アルアインの父であるディープインパクトの父は、サンデーサイレンスというアメリカで活躍していた馬です。

引退したサンデーサイレンスは日本で種牡馬となり、日本競馬を一変させました。ディープインパクトを始め、続々と名馬を排出し、種牡馬にまつわる記録を塗り替えていきました。

サンデーサイレンス以前と以後で時代区分が作れるほどの衝撃を日本競馬界に与えたのです。

過去5年間で馬券に絡んだ15頭のうち、11頭はサンデーサイレンスの血を引いています。もちろん、アルアインもこの血を引く1頭です。

 

24.  調教の動きが良い

競走馬はレースに向けて能力の向上と体調の調整のために、調教を行います。

調教には、走らせるコースや走らせ方(一頭だけで走るのか、他の馬と一緒に走らせるのか)に種類がありますが、基本的にはどれも調教時に走った際のタイムが測られており、それが一つの基準となります。

今週アルアインが行った調教は、800mのタイムが54.4秒、そのうちのラスト200mのタイムが12.0秒と、平凡なものではありましたが、これが「栗東 坂路 稍重」の条件で行われていたこと、また数字からは分かりませんが、映像を見ると併走馬を抜かせず、身体をのびのびと使った良い走りをしていました。

調教師も反応が良かったと太鼓判を押しており、体調面の不安はありません。

 

25. 展開が向く

有馬記念は先行した馬が、有利であることはすで述べましたが、これを狙っているのは何もアルアインだけではありません。

競馬は複数の馬で行うものですから、当然ほかにも前に行くことを狙っている馬はいます。

そんななか、果たしてアルアインはちゃんと前目のポジションをとることは出来るのか。

不可能ではないと考えています。たしかに先行するためには内枠が有利であるのに対し、アルアインの枠番は13番と外目ですが、他に有力な先行馬たちも内枠には入れなかったからです。

外枠から先行しにいこうとする有力馬たちの後ろを狙えば、労せずすんなりと先行することが出来るでしょう。

 

26. 最近の有馬記念はスロー寄り

レースには「ペース」という概念があります。これはレースの流れを表したもので、極端に言えばレースがゆったりと流れ、前に行った馬が有利な「スローペース」と、レースの流れがシビアで、後ろから差してくる馬が有利な「ハイペース」に分けられます。

近年の有馬記念はどちらかと言えばスローよりのペースになることが多く、これはアルアインにとって嬉しい傾向です。

仮にハイペースになったとしても、アルアインはタフな流れでも勝利経験がありますので、悲観することはありません。

 

27. 栗東所属馬である。

日本競馬は大きく「栗東(りっとう)」と「美浦(みほ)」の二つに分類することができます。それぞれ、「栗東」は関西、「美浦」は関東とも言われます。

有馬記念栗東所属馬が強く、過去10年間で栗東所属馬が8勝をマークしています。

栗東所属であるアルアインにも期待していいでしょう。

 

28. 大きく出遅れたことがない

競馬につきものなのが出遅れです。

ゲートが開いたときにスムーズにスタートが切れず、最初から不利な状態でレースがスタートしてしまっては、持てる能力を存分に発揮できるか怪しいものです。

また、出遅れは癖になってしまいやすく、馬によっては出遅れることを前提に予想をしなければならない場合も発生します。

その点、アルアインはデビュー当時はあまりスタートが良くなかったものの、これまでに大きく出遅れたことはなく、安心して観戦することができます。

 

29. 馬券的妙味がある

これまでに1. ~28. で挙げた項目は、レースの予想をする際に、主な基準となるものです。人によって、どの要素に重きを置くかで予想のスタイルは変わってきますが、「出馬表の上でペンデュラムによるダウジングを行い、一番反応が良かった馬を買っています」みたいな人じゃない限り、基本的なところはそう変わらないはずです。

あとはここにオッズ(倍率)という要素が絡んできます。

現時点でアルアインのオッズは単勝111.8倍となっており、レース直前までに大きく変わることもないと思われます。

これほど買い要素に溢れた馬が111.8倍も付くとは信じられないことです。

アルアインは今回の有馬記念で引退、ここを逃すともう二度と馬券は買えないため、今回は積極的に狙っていくべきでしょう。ちなみに馬券は100円から買えます。

 

30. 単勝

単勝はもっともシンプルな馬券で、選んだ馬が一着になれば当たりです。

競馬におけるオッズは、パリミュチュエル方式という、早口言葉で出てきそうなもので決められており、これは馬券の総売上をプールしておき、胴元(ここでは日本中央競馬会JRAのこと)が一定割合を差し引き、残りを予想を的中させた購入者で山分けするというものです。

胴元が差し引く割合(控除率)は馬券の種類ごとに異なり、単勝は20%が差し引かれます。これは、全馬券において複勝とならんで最も低いものとなっており、購入者側からすればオトクな馬券となります。

現在(2019/12/21 22:52)アルアイン単勝オッズは111.8倍、ちょっと計算してみましたが、このオッズだと単勝馬券を買っている購入者は約0.7%という人気のなさっぷりです。オッズは変動するもので、最終的なオッズは馬券の発売が締め切られてから確定するのですが、この調子だとおそらく100倍を下回ることは無いと思われます。

ですが、これはハッキリ言ってチャンスでもあります。これまで挙げてきた理由にもあるようにアルアインに勝ち目が全く無いわけではありません。多くの人はアルアインが勝つことはまずないと思っているのでしょうが、大衆はいつだって愚かなもの。 いつだって最後に笑うのは優れた観察眼を持つものなのです。

 

31. 複勝

複勝もまたシンプルな馬券で、こちらは選んだ馬が一着から三着に入れば当たりというものです。一着になろうが三着になろうがオッズに変わりはなく、同じ額が払い戻されます。

控除率単勝と同じ20%、控除率の低さと当てやすさから根強い人気がある馬券です。初心者の方が馬券の買い方を経験者に聞いたとき、最初におすすめされるのが複勝ではないでしょうか。

アルアインはこれまでに19戦して三着以内が10回、複勝率は約52.6%となります。

そんな馬が現在(2019/12/21 22:52)12.4-23.5倍(複勝のオッズは一着から三着になった馬の組み合わせで幅が出る、人気馬で決まると安く、人気薄で決まると高くなる)で買えるというのですから、これはもうかなりオトクと言わざるを得ません。

 

32. 応援馬券

実際には応援馬券という種類の馬券はなく、実態は単勝複勝を同額で組み合わせた馬券のことをいいます。馬券には「がんばれ!」と印刷されることから頑張れ馬券と呼ばれることもあります。

主流になりつつあるネット投票では購入することができず、競馬場やWINS(場外馬券発売所)でマークシートによる投票を行う場合にのみ購入することができます。「単+複」の式別をマークすると応援馬券になります。

好きな馬を応援するという意味を込めて買うこの馬券は、デビュー当時からアルアインを応援し続けている僕にはピッタリの馬券です。

 

33. 枠連

枠連は馬を選ぶのではなく、馬が入っている枠を選び、選んだ枠の馬が一着と二着になれば当たりです。一着と二着の着順は関係ありません。

古くからある馬券なのですが、枠を選ぶというのが他の馬券と異なるところで、初心者にはとっつきにくかもしれません。買いたい馬と同じ枠番に狙えそうな馬がいるときに枠連を買ったりします。控除率は22.5%です。

 アルアインと同じ枠に入っている馬は「ヴェロックス」。今年のクラシック戦線に盛り上げてきた3歳馬で、有馬記念と相性が良いとされる菊花賞で三着と好走しています。

枠連のイメージはチーム戦です。仮にアルアインがしっかりと走れなかったとしても、ヴェロックスが走ってくれれば馬券的には当たりとなるのです。

 

34. 馬連

 馬連は選んだ馬が一着と二着になれば当たりで、その着順は関係ありません。

例えば10番の馬と13番の馬を選んでいた場合、一着が13、二着が10でも、一着が10、二着が13でも、どちらでも当たりとなります。当てやすさの割には、大きな配当も狙える馬連は人気があり、馬券売上の約15%を占めています。控除率は22.5%です。

僕は2016年の天皇賞(春)で、カレンミロティックという馬を推していました。13番人気の単勝オッズ99.2倍という人気の無さでしたが、このカレンミロティックは最後の直線でキタサンブラックと見事な叩き合いを演じ、二着に入り込みました。このとき馬連オッズは201.6倍。もちろん馬連を買っていた僕にとっては嬉しい臨時収入となったのでした。

今回のアルアインも、あのときのカレンミロティックと同じように人気がありません。しかし、その分好走したときには大きな払い戻しが約束されているのです。

 

35. 馬単

 馬単は選んだ馬が選んだ通りに一着と二着になれば当たりで、着順が逆だと外れとなってしまいます。

買う時点で着順を指定して買うことになり、一着10番、二着10番の馬単を買っていた場合、結果が一着13番、二着10番だと外れです。控除率は25%です。

アルアインの人気の無さから、アルアインが一着に来た場合は二着にどの馬が来ても相当な払い戻しが期待できます。少し確認してみると、現在(2019/12/21 22:52)アルアインが一着の馬単は最低でも686.1倍と、100円が安くなったps4が3台買えてしまう金額に化けるほどのものとなっていました。

 

36. ワイド

ワイドは選んだ二頭が両方とも三着以内にはいれば当たりです。

馬連を三着までに拡大したようなイメージで、例えばレース結果が一着13、二着10、三着11だった場合、10-11、10-13、11-13の組み合わせが当たりとなります。控除率は22.5%です。

三着以内に入ることが多いアルアインには向いている馬券です。

 

37. 3連複

3連複は選んだ馬が一着、二着、三着になれば当たりで、その着順は関係ありません。

組み合わせとして当たっていればいいので、例えば10-11-13の組み合わせで買っていた場合、どれが何着になろうと、一着から三着がこの三頭であれば当たりです。控除率は25%です。

馬連よりも更に一頭多く予想しなければならない3連複ですが、「こいつはまあ三着には入るだろう」という馬が一頭いると、その馬を軸に相手を選ぶことで予想がしやすくなることに加え、相手に人気の無い馬が絡んでくると大きな配当も狙えるため、僕は割とよく買う馬券です。

すでに何度も述べているとおり、アルアインは三着以内によく入る馬ですので、軸には最適です。

 

38. 3連単

三連単は選んだ馬が選んだ通りに一着二着三着になれば当たりで、着順が異なると外れとなってしまいます。

競馬場で買える馬券の中では最も的中させるのが難しく、その分払い戻し金額にも期待ができます。100倍以上のオッズとなることはざらにあり、過去には2000万円以上の配当となったこともあります。控除率は27.5%です。

そこまでの配当になるためには、上位三頭が人気薄ばかりという条件が必要となりますが、都合の良いことにアルアインは今回全然人気がありません。

アルアインの他に人気のない馬が上位に来ることがあれば、100円が何千万円にも化ける可能性はあります。

 

39. WIN5

JRAが指定する5レース全ての一着馬を当てるという、的中難易度が他の券種と比較できないほど高い馬券です。

競馬場などでは買うことができず(厳密には買えなくないが少し手間)、ネット投票で買う馬券となります。理論上の払い戻し金額上限は6億円で、実際には4億7180万円の払い戻し記録があります。控除率も他の馬券とは一線を画す30%です。

5レース全部の単勝を当てるだけと考えると簡単に思えるかもしれませんが、実際に買うことを考えると、1レース当たり一着になりそうな馬を何頭か買いたいものです。

例えば各レース3頭選ぶとすると、その組み合わせは、3×3×3×3×3で243通りになります。WIN5は一口100円ですので、ちょっと買ってみるかと思っただけで24300円も必要となってしまうのです。これが各レース4頭選んでいたりすると、必要な金額は一気に膨らみ102400円となります。

そんなわけで、実際に購入する際にはレースごとにある程度、選ぶ頭数を絞る作業が必要となります。このときに人気薄の馬は切られてしまいやすいため、どこかのレースで人気薄の馬が勝つとWIN5の配当はすぐに跳ね上がります。100万円以上の配当となることもザラです。

今回のアルアインは圧倒的に人気がなく、本当にG1を2勝、それもそのうち1つは今年勝ったばかりなんだろうかと自分の頭を疑ってしまうほどです。それだけに、もしアルアインが勝つことがあれば配当は余裕で100万円を超え、もうひとつ上の桁にまで届くかもしれません。

夢を掴むのはここです。

 

40. 安平町生まれの馬は強い

アルアインの出生地は北海道安平町(あびらちょう)です。

過去5年間で安平町生まれの馬は3勝を挙げており、その強さを際立たせています。

アルアインの父で誰もが名馬と認めるディープインパクトも安平町出身です。(正確には早来町の出身ですが、早来町と追分町が合併し、安平町が新設されたため、安平町出身としています。)

 

41. 中山の最後の直線は短い

ゴール前に最後に走る直線のことを、そのまま「最後の直線」と呼びます。

最後の直線では多くのドラマが生まれており、レースの中でも一番盛り上がる場所だと言えます。時々テレビなどでレース映像が流れる際には、大抵がこの最後の直線シーンを写しています。

そんな最後の直線ですが、競馬場によって大きく距離が変わっています。

長いものだと新潟競馬場の658.7m、東京競馬場の525.9mなどがあり、短いものだと札幌競馬場の266.1m、そして中山競馬場の310mがあります。

すでに触れたことですが、有馬記念は先行馬が強いレースです。それにはこの直線の短さも関係しています。直線が長ければ前にいる馬を追い抜くチャンスもそれだけありますが、短いと追い抜く間もないままゴールに駆け込まれてしまいます。

直線の短さは、先行するアルアインにとって嬉しい要素です。

  

42. 2019年の松山騎手は一味違う
今年でデビュー11年目を迎える松山騎手ですが、今年は絶好調と言って間違いないでしょう。
現時点ですでにキャリア最多となる年間88勝を達成し、2019年の騎手リーディングでは8位。
アルアイン皐月賞(G1)を制した2017年は年間61勝のリーディング15位だったことを考えると、
これは眼を見張る成長です。
勝率0.103、連対率0.195、複勝率0.287と、どれもこれまでを大きく上回る数値を叩き出し、馬券的にも信頼できます。
今年のG1成績こそパッとしませんが、これは明らかに乗っている馬が強くないからでしょう。二桁人気の馬にばかり騎乗しており、人気になるような強い馬には一度も乗っていません。
確かな強さを持つアルアインに乗る今回は期待できるでしょう。

 

43. 松山騎手の有馬記念にかける思い

松山騎手は今回の有馬記念でのアルアイン騎乗について、
「騎乗依頼を頂けて素直に凄くうれしい。有馬記念は、ずっと乗りたいと思っていたレース。初めてG1を勝たせてもらった馬ですし感謝しています」
と語っています。
実は有馬記念に騎乗するのは初めてな松山騎手ですが、ずっと乗りたいと思っていたレースに、デビュー11年目にして乗るわけですから気合もはいることでしょう。それも、自身に初めてのG1勝利を届けてくれた馬とのコンビで、とあっては不安よりも期待のほうが上回るというものです。

 

44. ブリンカーを外し真価を発揮する

競走馬がレースに出走する際、様々な馬具をつけて出走することがあります。
馬具とは、馬を効率よく制御する目的で付けられるもので、意識を前方に集中させるための「ブリンカー」や、下方の視界を遮り、それを補うために馬が頭を下げることを利用した「シャドーロール」など、様々なものがあります。
もともとアルアインは馬具を付けてはいませんでしたが、不調であった頃に一変を期待して「ブリンカー」を装着するようになりました。
これの効果かどうかは分かりませんが、「ブリンカー」装着後アルアイン大阪杯(G1)を勝つことができました。しかし、それ以外の成績について言えば特に変わったように感じられるところはなく、引退レースとなる「ブリンカー」を外して望むこととなりました。
憶測にはなりますが、アルアインにとって「ブリンカー」はあってもなくても変わらなかったのだと思います。「ブリンカー」を付けていない時代にも皐月賞(G1)を制するなど、良い成績を残していたわけですし、むしろ、顔につけるなんだか邪魔なものという認識ですらあったかもしれません。
今回は、そんな邪魔なものから開放されたアルアインの自由な走りが見られるかもしれません。

 

45. 46494人のファンがいる

有馬記念は他のレースと違い、ファン投票によって選ばれた上位の馬に優先出走権が与えられます。

この形式となっているのは、宝塚記念有馬記念のみで、この二つのレースはグランプリと呼ばれることもあります。

ファン投票の結果は最終的に発表され、どの馬が何票獲得したかが分かるようになっており、どの馬にどれだけのファンが付いているか知る目安にもなっています。

今年の有馬記念で、アルアインはじつに46494票もの支持を受けており、これは昨年の45529票を、わずかながらも上回るものとなっています。

直近の成績が奮わないにも関わらず得票数を増やしているのは、見ている人はちゃんと見ているということでしょうか。玄人好みの強さを隠し持っている馬です。

 

46. 12月22日の有馬記念は5歳馬が強い

今年で第64回を迎える有馬記念ですが、12月22日に開催されたことが、過去に8回ありました。そのうちの5回において、5歳馬が勝利を挙げています。

奇しくも今年の有馬記念は12月22日。今年もそうなってもおかしくはありません。

 

47. 有馬記念の始まり

そもそも有馬記念の起源はどこにあるのでしょうか。

有馬記念は設立当初、「中山グランプリ」という名前で開催されていました。

当時の第二代日本中央競馬会理事長であった有馬頼寧(ありまよりやす)が、「中山競馬場でも日本ダービーに匹敵する大レースを」と提案し、世界でも類を見ないファンによる投票によって出走馬を選ぶ「中山グランプリ」を創設しました。

その翌年、有馬は急逝、それまでの功績が称えられ、「中山グランプリ」は第二回から「有馬記念」へと名前を変えたのでした。

優れた功績を残したものは後世に名を残す。これは馬にも言えることで、レースの中には、「シンザン記念」や「セントライト記念」のように、過去の名馬の名を冠したものが多くあります。

そのうち「アルアイン記念」なんてものが出来るといいなあ。

 

48. 有馬頼寧の功績

有馬はファンサービスの拡充に努めた人物でした。

球団オーナーの経験からか、競馬にもプロ野球オールスターゲームのようなオールスター戦を、ということで「中山グランプリ」を創設し、競馬の運営に資金が必要とあれば、売上の国庫納付を免除するための特例法の制定に尽力し、得た資金で競馬場の整備・拡充を行うなど、柔軟な発想で人々に楽しんでもらえる競馬づくりを目指しました。

日本短波放送によるレース実況の開始など、今にも通じるものの基礎は有馬が築いてきたものです。

競馬はギャンブルではありますが、決してお金のやり取りだけの非情な世界ではなく、あいつとあいつが戦ったらどうなるんだろう、その勝負を見てみたい!という純粋な興味を満たしてくれる娯楽でもあるのです。

僕もアルアインのことは純粋に応援しています。

 

49. 必要なのは柔軟な発想

なぜ有馬はこれほど柔軟な発想で競馬の改革を行うことができたのでしょうか。

その理由の一つに、有馬が競馬の全くの門外漢であったことが挙げられます。有馬の経歴をみてみると、そこには「政治家」「農政研究者」「球団オーナー」「日本卓球界総裁」と、競馬と関係ない様々な項目が並びます。

競馬に関わり始めたのは初代日本中央競馬会理事長、安田伊左衛門の後任として招請されてからです。しかし、そこから柔軟な発想を活かし、競馬の発展とファンのために尽力した結果、今では大レースとして年末の一大行事となった「有馬記念」を生み出したのです。

アルアインもこれまでに海外を含む様々な競馬場での競走経験があり、それは初めて走るコースである、中山2500でもきっと活かせるはずです。

 

50. クラシックレースの価値

安田伊左衛門にも触れておかねばなりません。

安田は「日本競馬の父」とも呼ばれ、近代日本競馬の礎を築いた人物です。有馬と同じく競馬の発展と大衆化に尽力し、今ではその功績が称えられ、「安田記念」としてレース名に残っています。

安田の功績の中で最も大きなものは、イギリスのレース体系を参考に、クラシック五大競走(桜花賞皐月賞オークス日本ダービー菊花賞)を創設したことで、これらはいずれも現代でも大レースとして毎年盛り上がりを見せています。

クラシックレースはいずれもG1なので、出るだけでも強さが求められます。アルアインはこのうち、牡馬が出ることの出来る、皐月賞日本ダービー菊花賞、全てに参戦しており、さらに皐月賞では勝利を収めています。頑丈さと強さは保証されているのです。

 

51. 一念岩をも通す

安田の功績の中でもう一つ大きなものがあります。

それが「旧競馬法」の制定です。1908年、当時の政府は馬券の射幸性が高まると、刑法を根拠として馬券の発売を禁止しました。

安田は、「私には馬しか無い。馬券を復活して競馬が隆盛を極めるまで諦めない」と決意し、自ら議員となって問題解決のために尽力しました。そして、馬券の発売が禁止されてから15年間という長い期間を経て、ついに「旧競馬法」を成立させました。

一念岩をも通す。僕にはアルアインしかありません。

 

52. 日本競馬のはじまり

安田伊左衛門、有馬頼寧は競馬の大衆化に尽力しました。

では、そもそも日本競馬のはじまりはどこにあるのでしょうか。

1800年代後半から日本にサラブレッドが輸入されたり、外国人による居留地競馬が開催されていたり、それを模倣した日本人による競馬が開催されていたり、と競馬の萌芽はあったのですが、ここでは、馬政局が設置された1906年をひとつの基準として考えてみます。

馬政局は、日進・日露戦争で日本の軍馬が弱いことを痛感したことにより、勅令によって設立されたもので、軍馬の改良育種を目的とした行政機関です。馬政局は、国内における官民の馬産事業を振興するためには競馬で優劣の判定を行い、馬券を発売することで資金を調達する必要があると訴えました。これが現代の日本競馬につながっていきます。

日本競馬のはじまりには軍馬の育成という目的がありました。アルアインも生まれた時代が違えば、軍馬として活躍していたかもしれませんね。

 

53. 小岩井農場

今でこそチーズや牛乳、スイーツなどで有名な小岩井農場ですが、政府方針に従い方針を転換した1905年から、GHQ占領政策の影響を受けた1949年まで、競走馬の生産を行っていました。

イギリスから輸入された種牡馬から生まれた小岩井農場生産馬はめっぽう強く、昭和初期に創設された日本ダービーをはじめ、戦前の日本競馬史に燦然と輝く成績を残しています。日本初の三冠馬となったセントライト小岩井農場産です。

特に、農場の名を背負った「コイワヰ」は異例の強さを誇っていました。3歳から9歳まで走り、戦績は82戦45勝、天皇賞の前身である帝室御賞典をレコードガチ、現代ではありえない160ポンド(=約72kg)の斤量を背負っても勝ってしまうという化け物ぶりを見せていました。

アルアインもコイワヰくらい長い活躍をしてもらいたかった。

 

54. 日本競馬の歴史

ちょっとそろそろ自分でも何を書いているのかよくわからなくなってきたので、アルアイン中心の話に戻ります。

日本競馬の歴史は調べてみるとものすごく面白いし、ここでは挙げていない化け物みたいな名馬もゴロゴロいるので(ヒサトモとかトキノミノルとか)、調べがいがあります。

そのうちアルアインも未来の人が調べるような存在になってたりしないかな。この

有馬記念を制すれば可能性はあると思うのですが。

 

55. アルアインの来歴

アルアインは3年前の2016年10月29日にデビュー戦を迎えました。

クラブ馬であるアルアインは、募集価格が一億円と高額であったものの、デビュー前は調教で併せた馬に遅れてばかりでその活躍が心配されていました。一時は530kgあったという大型馬で、すぐに活躍するのは難しいという評価もありましたが、新馬戦ではあっさり勝利。続く千両賞も勝利し、競走馬として活躍の道を歩み始めたのでした。

ちなみにデビュー前に調教師から出されたコメントには、「距離はよくいってマイルあたり、何とか1600mまで走れるようにしていく」というものがあり、これは今から思えば的外れもいいところです。調教師の予想を超える成長を見せたアルアイン

最後の活躍にも期待したいところです。

 

56. 2歳新馬(2016/10/29・新馬・京都・芝1600・良)

スタートはあまり良くなく、直後からムーア騎手が促していったものの、あまり反応は良くなく、後方からの競馬となりました。

しかし、さすが名手というべきか、道中ではアルアインを自然と馬込みに誘導し、気合を付けさせます。

これでエンジンが掛かったアルアインは4コーナーで一気に加速、外に持ち出し先頭集団を捉えにかかります。

先に抜け出した一頭と叩き合いを演じ、最後に半馬身抜け出したところでゴール。三着馬には六馬身もの差をつけた見事な追い比べでした。

今の先行スタイルとは異なり、差しのスタイルで勝利を収めた新馬戦だったのです。

 

57. 千両賞(2016/12/23・500万下・阪神・芝1600・重)

 新馬戦で悪かったスタートは改善され、今回はスタート直後からすっと先団に取り付け、内ラチ沿いでじっくりと競馬を進めます。

そして4コーナーに入るところで内からスルスルとポジションをあげていき、4コーナーに入ったところで先頭に並び掛けます。

最後の直線であっさり内から抜け出すと、迫る後続を抑え込んで危なげのない勝利を収めました。

 

58. シンザン記念(2017/01/08・G3・京都・芝1600・重)

 雨降る中で行われた重賞初挑戦。

スタートはあまり良くありませんでしたが、直後から押して行ったことでなんとか先団後方あたりにポジションを取ることができました。

そのまま内で競馬を進めていたアルアインでしたが、それが仇となってしまいます。

これまでのように4コーナーで先頭を捉えにかかろうとしたところで、前の馬がよろめき、 スピードが乗り始める一番いいところで進路を塞がれたのです。この不利は大きく、アルアインも大きくよろめき進路を変えざるを得ないものでした。

更にそこから伸びようとしたアルアインでしたが、またもや前方に他馬がおり、実力を発揮できないまま六着に敗れてしまいました。

このときの勝ち馬は千両賞で二着だった「キョウヘイ」であり、スムーズならアルアインが勝っていた可能性は十分にあったと思われます。

 

59. 毎日杯(2017/03/25・G3・阪神・芝1800・良)

 シンザン記念からの立て直しを図る毎日杯でしたが、ここには強いライバルが一頭いました。サトノアーサーです。

一番人気1.2倍と、二番人気アルアインの7.7倍に大きく差を付けた評価を受けていました。

しかし、競馬は数字が走るわけではありません。

スタート直後、単独二番手につけたアルアインに対し、サトノアーサーは最後方から競馬を進めます。

直線に入ったところでアルアインは早々と先頭に立ち、千両賞のときのように楽勝するかに思われました。しかし、そこに最後方からサトノアーサーが迫ってきます。

一瞬ヒヤッとさせられるシーンも有りましたが、無事に迫りくるサトノアーサーを抑え込み、重賞初制覇を成し遂げたのでした。

 

60. 皐月賞(2017/04/16・G1・中山・芝2000・良)

 毎日杯を勝利し、皐月賞に臨んだアルアインでしたが、決して評価は高くありませんでした。他に良い馬が揃っていたこともあり、9番人気という評価に甘んじてしまいます。しかし、ここでアルアインはその強さを示すことになります。

スタートをあっさり決め、その勢いで先団に取り付くと、4、5番手でレースを進めます。

 3コーナーをすぎた辺りから他馬が迫ってくる中、アルアインは鞍上の松山騎手が追っても反応を示しません。このまま飲み込まれてしまうのか、と思ったその時、アルアインは抜群の反応を見せ、直線に入ったところで一気に先頭を捉えにかかります。進路が狭くなるアクシデントもありましたが、そんなことはお構いなしに馬群を割って一気に前へと躍り出ます。

しかし、前にはまだ一頭残っていました。これから何度も対戦することになるライバル「ペルシアンナイト」です。

必死に追う松山騎手の気概に応えるように、アルアインは抜群の反応を見せます。ペルシアンナイトをクビ差制したところがゴールでした。レースタイムは1:57.8、前年のディーマジェスティの記録を更新した、レースレコードでした。

レース後、松山騎手は「少し信じられない気持ちです。今日は3~4コーナーの馬場の悪いところで手応えが少し悪くなりましたが、直線に向いてしっかり伸びてくれました。自分が必死に追ったせいで馬が外によれましたが、後半はよく頑張ってくれました。馬と一緒に頑張って行きたいです」とコメントを残しています。

松山騎手はこれがG1初勝利。さらに皐月賞は初騎乗での勝利となりました。今回の有馬記念も初騎乗ですが、これを見ると心配はいらないでしょう。

 

61. 日本ダービー(2017/05/28・G1・東京・芝2400・良)

 クラシック1冠目の皐月賞を制したアルアインでしたが、その実力はまだ疑問視されていました。その証拠に、クラシック2冠目となる日本ダービーでも4番人気という微妙な評価です。

レース自体はすっとスタートを決め、いつものように先頭集団の一頭としてレースを進めます。最初の1000mが1:03.2と、かなりスローペースとなり先団のアルアインにとって有利な展開となります。

しかし、初の左回りと2400mという距離が良くなかったのでしょうか、いつもならば直線で先頭に並びかけるところ、今回はそれができず、最後まで先頭に立つことがないまま、五着という結果に終わってしまいました。

勝った馬は「レイデオロ」で、こいつとも長いライバル関係を演じていくことになります。

 

62. セントライト記念(2017/09/18・G2・中山・芝2200・良)

 30万円負けた。

internetbeast.hatenablog.com

 

63. 菊花賞(2017/10/22・G1・京都・芝3000・不)

 台風が接近する中でも競馬は止まりません。泥だらけになりながらも競走馬たちは懸命にゴールを目指して突き進みます。

正直、このレースは評価をするに値しません。僕個人としては長距離レース、それも馬場が悪くて消耗戦になるレースは大好きなのですが、評価という面になると条件が特殊すぎて他のレースの参考になりにくいからです。

特に今回は、アルアインの枠が16番というかなり外目の枠だったこと、台風の中での開催であり、走っている馬が泥だらけになったり、脚元からは水飛沫が飛んだりするほど馬場がぐちゃぐちゃであったこと、その影響からかアルアインはいつのもの様にうまく先行できなかった、などの点を考慮すると、この菊花賞は完全に参考外だとすることができます。

全てのレースを見ることも重要ですが、予想のためにはどのレースを重視し、どのレースを軽視するか、ということもまた重要なのです。

ちなみに勝った馬は「キセキ」で、これまた何度も対戦することになります。この世代は頑丈な馬が多く、何度も何度も対戦します。

 

64. 京都記念(2018/02/11・G2・京都・芝2200・重)

 年明け初戦の京都記念アルアインの一年はここから始まります。

同じ京都競馬場でのレースとは言え、菊花賞とは打って変わってここでアルアインはすんなりと先行します。前に行く馬が多かったので先行とはいえ、差しに近い少し後ろ気味の位置ではありましたが、十分に前を捉えられる位置取りです。

最後の直線では、先に抜け出した馬たちを捉えにかかろうとしましたが、全馬を捉えきることはできず、伏兵に足をすくわれる形で二着という結果に終わってしまいました。

やはり、先行して粘り込むという戦法が合っているようです。

 

65. 大阪杯(2018/04/01・G1・大阪・芝2000・良)

 阪神競馬場中山競馬場は特性が似通っていると言われています。

ということは、中山競馬場で結果を残しているアルアインにとっては阪神競馬場も向いているはずです。実際アルアイン阪神成績は(3-0-1-1)とかなりのものです。

今回は距離が2000mと更に期待が持てます。

抜群のスタートを決めたアルアインでしたが、前に出していくことはせず、流れに任せて馬群の中に入っていきます。それでもスタートが良かった分、4、5番手につけることができました。

レースは各馬の動きが激しいものとなりましたが、アルアインは動じず、いつもの自分のスタイルを崩しません。直線に向いたところで先頭を捉えにかかります。

しかし、道中先に先頭を捉えに掛かった馬を捉えきれず、更には後方から迫ってきた馬にも出し抜かれ、三着で終わってしまいました。

一着は「スワーブリチャード」で、昨年の皐月賞で下していた相手でした。二着は「ペルシアンナイト」です。

 

66. クイーンエリザベス2世カップ(2018/04/29・G1・シャティン(香港)・芝2000・良)

 アルアインはもちろん名馬ですから、海外挑戦もしています。

慣れない海外に戸惑ったのか、レース前には前代未聞の調教拒否というアクシデントもあり、結果も奮わない物となってしまいました。

レースは先行して進めることができたのですが、直線ではいつもの伸びがなく、先頭を捉えられないどころか他馬に抜きさられるという有様で、初の海外遠征は五着の苦い思い出となりました。

 

67. オールカマー(2018/09/23・G2・中山・芝2200・良)

このレースは現地で見ていたのですが、前にいた人がアルアインを買ってなかったのか、ずっと「アルアインくるなよ~、くるなよ~」とずっとブツブツ言ってたので、これには温厚な僕もブチ切れ。対抗して「アルアインいいぞ!そのままいける!」とずっと叫んでいてやりました。

結果としては、直線でアルアインが抜け出し、勝利を確信した瞬間、昨年のダービー馬「レイデオロ」が内からすっと抜き去っていき、アルアインは二着に敗れました。

痛み分けというところでしょうか。

 

68. 天皇賞(秋)(2018/10/28・G1・東京・芝2000・良)

 過去の僕が書いていた日記があったので引用しておきます。

天皇賞にはアルアインも出走するため、予想にも力が入ります。まあ予想というよりはアルアインが好きすぎて願望みたいになってしまっている感は否めませんが、そんな僕が下した最終予想は次のようなものでした。

 

基本的には4歳牡馬が中心のレース展開になる。

アルアインは当然として、スワーブリチャード、レイデオロ、キセキ、ダンビュライト、サングレーザーの5頭を加えた6頭のレースになるはず。おそらくはダンビュライトが逃げる形になり、その後ろにアルアイン、キセキ、もしかしたらスワーブリチャードも控えるかもしれない。レイデオロとサングレーザーはこの3頭よりは後ろになるだろう、スワーブリチャードが出遅れた場合はこの2頭よりも更に後ろになるかもしれない。

ダンビュライトがアルアイン向きのペースを作り出してくれるだろうから、最後の直線でアルアインが抜け出し先頭、レイデオロ、スワーブリチャード、サングレーザー当たりが追い込むも2着3着まで。第158回天皇賞を制するのはアルアイン。これで完璧だ!

 

そんな事を考えながらしこたま馬券を買い込んでいたのですが、なんとレース出走直前になってダンビュライトが放馬、そのまま出走除外となってしまいました。そんな馬鹿な!

これでは予想どおりに展開になる可能性は1ミリたりともありませんが、もはや時すでに遅し。馬券は既に買ってしまっているのです。

祈るような気持ちでレースを見守ります。予想と反してレースはキセキが逃げる展開になり、その後ろにアルアインが控えます。これはこれで良い展開だと言えるでしょう。このまま最後の直線でキセキを捉えて先頭、後続を引き離せば完璧です。

そして迎えた直線、アルアインがキセキを捉えにかかります。レイデオロ、サングレーザーも追い込んできており良い展開です。いける!あとはアルアインが先頭に躍り出るだけだ!

まあなんというか、直線抜け出たのはレイデオロでそれに続いたのはサングレーザーでした。しかもキセキがしれっと3着に残ってしまい、アルアインは4着でした。うん、アルアイン普通に実力足りてなかった。

 

あとに残されたのは枯れるほど叫んだせいでガラガラになった僕の喉。

今と似たようなことしかやってませんね。 

 

69. マイルチャンピオンシップ(2018/11/18・G1・京都・芝1600・良)

 久々のマイル戦に戻り、善戦マンのイメージを払拭したいアルアイン。二着三着は何度もあったものの、もう一年以上勝利からは遠ざかっています。

デビュー当時はマイラーだと評価され、マイル路線を中心にローテを組まれていたアルアインがマイルの舞台に戻ってきました。

抜群のスタートを決め、先行というよりは逃げに近いポジションでレースを進めます。直線入り口では早々と先頭に立ち、後続を突き放しにかかります。

「よしきた!いい頃のアルアインのレースや!」と喜び勇んだのもつかの間、後ろからやってきた二頭にあっさりと追い抜かれ、結果は三着でした。

このときの僕は心からアルアインの勝利を信じており、単勝馬券を10万円分ほど握っていたのですが、全て紙屑となり消え去りました。

 

70. 金鯱賞(2019/03/10・G2・中京・芝2000・稍)

またもや一着には手が届かず、三着に終わってしまった前走。

陣営はこれを「集中力が続いていない」と分析し、ブリンカー装着に踏み切りました。

先を見据えた叩き台的なムードではなく、たとえG2レースでも本気で勝ちに行く姿勢です。調教はハードなものとなり、早い段階から好タイムで駆け上がる盤石さです。まあその割には騎手の選択が完全に意味不明なわけですが、なにか考えがあったのでしょう。

レース自体は「これが…本気になったアルアインの力…!?」と驚かされるほどパッとしないものであり、一着からはかなりはなれた五着と、目も当てられない結果でした。

そもそもアルアインは馬群の中で闘志を煽りながら、最後の直線ですっと抜け出す戦法が得意なわけですが、なぜか今回は前に行ったは良いものの、馬群から離れた外をまわすわ、直線入り口の時点で前に並びかけられていないわ、と良いところが全くありませんでした。

 

71. 大阪杯(2019/03/31・G1・阪神・芝2000・良)

アルアインが勝った瞬間、雄叫びを上げたのですが、そこは雀荘であったため、割と普通に店員さんに注意されました。 

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72. 宝塚記念(2019/06/23・G1・阪神・芝2200・良)

 大阪杯を勝ち、復活の狼煙をあげたアルアインでしたが、皐月賞勝利ごと同じく、その実力が認められることはありませんでした。あくまでもフロック(運で勝った)と思われていたのです。

そのため、G1勝利後であったというにもかかわらず、この宝塚記念では5番人気の評価に甘んじます。

当時の僕は、競馬ファンのレベルの低さを嘆いたものでしたが、結果を見るとどうやら彼らが正しかったのかもしれません。

アルアインの勝ちパターンである内枠からすっと先行するまでは良かったのですが、最後の直線では前にいる馬たちを全く捉えきれず、四着に敗れてしまいました。

 

73. 天皇賞(秋)(2019/10/27・G1・東京・芝2000・良)

 アルアインの弱いところがもろに出た形のレースです。

大外枠である16番であったことに加え、苦手としている左回り、出走前から嫌な予感しかしていませんでしたが、その予感は正しいものでした。

スタート直後に内に切り込んで先行できればまだ話は変わっていたのでしょうが、実際にはまったく先行できず、馬群の外の中途半端な位置に納まることに。何度も述べているように、アルアインは馬群の中で闘争心を煽った方が良いタイプの馬ですので、これは全く良くありません。

案の定、4コーナーを迎える頃にはすでに見せ場がなく、キャリア初となる二桁着順、14着に敗れたのでした。

 

74. マイルチャンピオンシップ(2019/11/17・G1・京都・芝1600・良)

 再起を誓い、去年三着と適正を見せた舞台に帰ってきました。

鞍上にはデビュー戦で手綱をとった名手ライアン・ムーア騎手を迎え、態勢は万全です。またもや外目の枠である10番という枠番が鍵ではありましたが、ムーア騎手はその辺りも分かっており、「前走は外を回らされたのが厳しかった。デビュー戦に乗せてもらって以降、全部のレースを見ている。もっとやれる馬」と頼もしいコメントを残していました。

ですが迎えた本番では、少し出遅れた影響からか先行できず、結局は後方で馬群の外につけるという前走と大して変わらない競馬をしていたのですから、僕は開いた口がふさがりませんでした。16着。

 

75. 無事之名馬

「ぶじこれめいば」と読みます。主に競走馬を指して、「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」という考え方を表した格言です。

これはまさにアルアインのことでしょう。

3年間で19戦してきて、大きな怪我をしたことがない。体調を崩す馬もでてくる海外帰りであっても、体調は万全。心の弱い馬なら以降走る気をなくしてしまいそうなアクシデントがあっても、次走からまた一生懸命に走る。

近年はG1を勝ったあとに疲労が多くて引退してしまう馬や、早い上がりを使った馬が脚を故障して戦線から長期離脱を強いられたりと、長い間しっかりと活躍するすることが難しい時代になってきました。

そんな時代であっても、3年間怪我一つせず、無事走り抜けてきたアルアインはすでに名馬と呼ばれる資格をもっているのかもしれません。

 

76. 僕が現地観戦に行かない

ここまで書いてきて気がついてしまったのですが、僕はアルアインの勝利シーンを現地で見たことがありません。

僕は割と現地観戦に行く方で、地元関西のレースはもちろん、時には関東にも遠征して現地観戦をしており、2018年には「すべてのG1を生観戦しよう!」と、完全に思いつきだけで始めた苦行をやりきった経験もあります。

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ですが、アルアインの勝利を生で見たことがありません。

確認してみたのですが、アルアインが出走したG1は11戦で、僕はこのうち8つを現地で観戦しています。見ていない3戦は、2017年の皐月賞アルアインが勝利)、2019年の大阪杯アルアインが勝利)、2018年のクイーンエリザベス2世カップだけです。

クイーンエリザベス2世カップは香港での開催でしたから度外視するとして、国内レースに限って言えば、僕が見に行かないほうがアルアインは勝てるのです。なぜ僕は目の前で勝ってくれたことがない馬が好きなのでしょう。

 

77. アルアインは「泉」である

もう何度書いたか分かりませんが、「アルアイン」とはどういう意味なのでしょう。

この馬名の由来はUAEアブダビ首長国東部にある遺跡群で、アラビア語で「泉」という意味を持ちます。

「泉」は水が自然と地表に湧き出る場所のことを言いますが、また違う意味も持っています。それは「知恵の泉」や「希望の泉」など、物事がでてくるもと、源流です。

 

78. サラブレッドの血統

サラブレッドの源流はどこにあるのでしょうか。

サラブレッドはもともと野生にいた馬たちを競走用に品種改良して作られた馬です。そこから、「Thorough」(完璧な)+「bred」(品種)でサラブレッドと呼ばれるようになりました。恵まれた血筋の人間を「サラブレッド」と呼ぶのもここから来ています。

サラブレッドは必ず血統書で管理されており、サラブレッドとして認められる条件は、「連続8代に渡りがサラブレッドが交配された馬」であることです。

当然ですがアルアインサラブレッドです。

 

79. 三大始祖

現代の世界中のサラブレッドの父系の血統を辿っていくと、ある三頭の馬に行き着きます。

ゴドルフィンアラビアン」「バイアリーターク」「ダーレーアラビアン」の三頭です。サラブレッドは品種改良によって生み出された馬であるため、改良途上の彼らはサラブレッドとして認められてはいません。

ですが、約300年前に生まれたこの三頭から競争馬の血脈は連綿と受け継がれてきたのです。

アルアインも引退後は種牡馬となることが決まっており、その血を後世に残す存在となります。

 

80. アルアインは5月1日生まれ

アルアインは2014年5月1日に生を受けました。

5月1日といえば、そう「メーデー」です。

労働者の祭典に生まれたアルアインが、大部分が労働者である競馬ファンたちが楽しみにしている有馬記念で活躍するというのも、ある意味当然のことです。

 

81. ぬいぐるみが発売されている

競馬場で売っているのはなにも馬券だけではありません。

「ターフィーショップ」と呼ばれるグッズショップも存在しています。ここでは、競馬にまつわるグッズを購入することができ、中でも「アイドルホースぬいぐるみ」と銘打たれた、競争馬をデフォルメしたぬいぐるみが人気です。

ぬいぐるみになるためのハードルは中々高く、G1を勝ってもぬいぐるみになれない馬もいます。そんな状態の中でなんとアルアインはぬいぐるみが発売されているのです。

ある意味で名馬の証でもある「アイドルホースぬいぐるみ」化を成し遂げているアルアイン

アイドルホースぬいぐるみ

ターフィーショップのネットショップを確認したところ、アルアインのぬいぐるみはすでに扱われていませんでした。発売されたのは今年の秋でしたので、おそらく人気すぎて一瞬で売り切れたのでしょう。

 

82. 鹿毛である

競争馬には様々な毛色のものが存在しています。

アルアイン鹿毛(かげ)と言われる、赤褐色をベースに、四肢の下部などは黒い毛色です。

鹿毛には名馬も多く存在しており、父であるディープインパクトをはじめ、キタサンブラックロードカナロアジェンティルドンナなど、G1を複数勝利しているような馬はもちろん、有馬記念を制している馬もたくさんいます。

 

83. 兄弟も強い

競争馬にだって兄弟がいます。

ただ競争馬の場合は父親が同じものは兄弟として扱わず、母親が同じ馬を兄弟として扱っています。母親が同じであれば、父親が異なっていても兄弟です。

アルアインには弟がいます。「ダノンマジェスティ」です。

このダノンマジェスティ、新馬戦を3馬身差で快勝したところまでは良かったのですが、気性の悪さが災いし、以降はボロ負けしたり勝ったりの繰り返しです。

しかしその強さは本物。兄より優れた弟など存在しないらしいので、弟が強いということはアルアインにとっても嬉しい材料です。

 

84. ディープインパクトの血が流れている
アルアインの父、ディープインパクト
おそらく現代の日本でもっとも有名な競争馬であり、今現在も日本競馬界に影響を与え続けています。
日本競馬史上6頭目三冠馬であり、生涯成績は14戦12勝、敗れたのはフランスで開催される凱旋門賞と、3歳時に挑んだ有馬記念のみというとんでもない馬です。
残念ながら今年の夏に骨折により安楽死の措置が執られ、亡くなってしまいましたが、彼の血を引く競争馬の活躍はとどまるところを知らず、今年もG1を6勝しています。

 

85. ドバイマジェスティの血が流れている
アルアインの母、ドバイマジェスティ
2010年に、アルアインの生産者であるノーザンファームの吉田勝巳氏が、ファシグティプトン(アメリカ)のセールで110万ドルで落札し、日本にやってきました。
ブリーダーズカップフィリー&メアスプリント(G1)に勝利しており、エクリプス賞最優秀短距離牝馬を受賞した名牝です。

 

 

86. サンデーサイレンスの血が流れている
サンデーサイレンスディープインパクトの父で、アルアインからすれば祖父にあたります。
幼少期のサンデーサイレンスは脚が曲がっており、見栄えも悪かったためにセリに出されてものの売れ残りました。
しかし現役時代は強豪イージーゴアと何度も熱戦を繰り広げ、その強さを見せつけました。
周りの見る目がなかっただけで、本当は途轍もない能力を秘めていたのです。
日本で種牡馬となってからの活躍は眼を見張るほどで、1995年から2007年にかけて13年連続でリーディングサイアー(その一年で産駒の獲得賞金の合計が最も多い馬のこと)に輝きました。
サンデーサイレンス種牡馬の記録を多く更新し、今の日本競馬にしっかりと根づいています。
周りの見る目がないだけで、本当は秘めたる能力があるのはアルアインも同じかもしれませんね。

 

87. ダーレーアラビアンの血が流れている
三大始祖なんだから当たり前っちゃ当たり前ですが、ダーレーアラビアンの血が流れています。
サラブレッドではなく、アラブ種だと言われていますが、説によってはトルコ馬だとかシリア馬だとか言われています。
ダーレーアラビアンの偉大なところは、近代競馬における最初の名馬「フライングチルダーズ」を生み出したことです。
当時は今のように複数の馬が一つのレースで勝敗を競う形態(広義のステークスレース)ではなく、一対一形式のマッチレースが主流でした。そうやって競い合っていく過程で、あまりの強さに恐れをなし、フライングチルダーズに挑むものはいなくなったとまで言われています。
他にもフライングチルダーズは逸話を残しており、6120mを6分40秒で走ったとか(現在の菊花賞3000mと天皇賞春3200mのレコードタイムを合算すると6:13.5)、1600mを1分で走ったとか(現在のJRA1600mレコードが1:30.3)、と「いや、それ嘘だろ」としか言いようのない伝説を持っています。当時の人は信じていた辺り、嘘というよりはそれほど衝撃的だったということなのでしょう。
こういうUMAみたいな真偽の不確かな伝説が残っているのも競馬の面白いところです。

 

88. ポテイトーズの血が流れている
ポテイトーズは18世紀のイギリスの競争馬で、偉大なる父エクリプスの代表産駒として、ふざけた名前ながらも活躍した馬です。
「ポテイトーズ」とだけ聞くとちょっとポテトみたいな名前だな、と思う程度かもしれませんが、こいつのふざけているところは英字にしなければ分かりません。なんと「Potatoes」ではなく、「Potoooooooo」。Potにoが8つでポット・エイト・オーズ、ポテイトーズになっています。
こんなふざけた名前ながらも実績は十分、というか非常に優秀な成績を残し、種牡馬としても大活躍しました。
競馬にはわりとこういった珍名が多く、日本でも「オレハマッテルゼ」「エガオヲミセテ」「ネルトスグアサ」など何を思って付けたのかわからない名前の馬が実際に走っています。

 

89. セントサイモンの血が流れている
セントサイモンは19世紀末に活躍したイギリスの競争馬で、史上もっとも偉大な種牡馬だと言われています。
この馬もデビュー前はサンデーサイレンスと同じ見栄えが悪く、血統もパッとしないものだったため、期待されていませんでした。
しかし、競走に出ると当時の強豪たちをあっさりと蹴散らし、ときには20馬身以上の差をつけて勝つこともあったといいます。
種牡馬になってからは空前の成功を収め、牡馬と牝馬で一頭ずつ三冠馬を輩出し、クラシック全てをセントサイモン産駒の馬が占めたこともありました。
異常とも言える能力をもったセントサイモンでしたが、性格も異常そのものでした。極めて気性が荒く扱いにくい馬で、気性を落ち着けさせようと、馬房に猫を入れてみたところ、即座に猫をくわえて天井に叩きつけて殺してしまったといいます。
天才と狂気は紙一重ですね。

 

90. ネアルコの血が流れている
ネアルコは1930年代に活躍したイタリアの競争馬で、「ドルメロの魔術師」とまで呼ばれた名伯楽「フェデリコ・テシオ」の最高傑作と言われています。
14戦14勝の無敗記録を持ち、イタリア最大のレース「ミラノ大賞典」や当時世界有数の国際レースであった「パリ大賞典」に勝利しています。

 

91. ドルメロの魔術師
フェデリコ・テシオはイタリアの馬産家兼馬主兼調教師で、世界中に影響を与えた史上最高のホースマンです。
年間に10数頭程度しか生産していなかったにもかかわらず、「ネアルコ」「リボー」といった世界的名馬を生産しました。
彼の配合理論は独特で、それは著書「サラブレッドの生産」にまとめられています。日本語訳版が1965年発売の優駿という雑誌に載っているので、機会があればぜひ読んでみてください。僕は読みましたが、現代競馬と通じるところが多く、興味深い内容でした。

 「サラブレッドが存在するのは、その選択淘汰が、専門家、技術者または動物学者の手で行われたものでなくて、一片の木片、すなわちエプソム・ダービーのゴール板によって行われたことによる。」(フェデリコ・テシオ)

 

92. ノーザンダンサーの血が流れている
ノーザンダンサーは1964年にアメリカクラシック二冠を達成したカナダの競争馬です。
ノーザンダンサーもまた、見栄えが悪かったために当初は期待されていなかった馬の一頭でした。
カナダでデビュー後、アメリカへ遠征。アメリカ三冠レースの全てに出走に2度の勝利を収めました。
その後種牡馬となったノーザンダンサーは、イギリス最後の三冠馬ニジンスキーをはじめとする名馬を産出します。
しかし、本当にすごいのはここからです。ノーザンダンサーの産駒がまた優れた名馬を続々と産出し始めたのです。
ニジンスキーは「神の馬」とまで呼ばれた「ラムタラ」を生み出し、サドラーズウェルズはあのセントサイモンの記録をしのぎ、フランスで3度、イギリス・アイルランドで14度のリーディングに輝きました。
こうなってくるとノーザンダンサーの価値はどんどん高まり、1985年には種付け料95万ドルを記録しました。当時のレート換算でおよそ2億円です。競馬市場には続々と大金が流入し、ある種バブルのような状況となりました。ノーザンダンサー一頭の存在が、競馬をマネーゲームに変えてしまったのです。
ノーザンダンサーの血の一滴は1カラットのダイヤモンドより価値がある」とはよく言ったものです。

 

93. 種牡馬になることが決定している

またいつの間にか話が脱線していたので主題に戻ります。
アルアインは引退後、ブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入りすることが決定しています。
種牡馬になるということは思われている以上に難しく、G1を勝てばとりあえず種牡馬になれるというものでもありません。
特にアルアインディープインパクトの産駒ということで、ライバルも多い状態です。
そんな中で、種牡馬になることが決定しているというのですから、生産者側の期待が伺えます。

 

94. ブリーダーズ・スタリオン・ステーション
北海道の日高町にあるブリーダーズ・スタリオン・ステーションは主に夏の間見学することが可能です。
見学時間は9:00~10:30までとかなり短いですが、それでも引退した馬たちに会えるのは嬉しいもの。
とりあえず来年の夏は北海道に行くことになりそうです。

 

95. ムチを入れても大丈夫
有馬記念を明日に控え、陣営からのコメントも出揃ってきました。
アルアイン陣営からのコメントを精査してみると、先週の追い切り時点でかなり調子の良いことが伺えます。
「動きは良かった。ムチを入れると耳を絞るところがああるので、今日はムチを入れてもらったが大丈夫だった」
アルアインはこれまで、ムチを入れられると反抗して走る気をなくすなどと言われていたのですが、このコメントを見るにその心配はなさそうです。

 

96. ブリンカーを外しても問題ない
そして今週の追い切りでは、すでにレース本番と同じ条件となるブリンカーを外した状態での調教を行っています。
その状態で、「そんなに先週と変わらず、動きは良かったです」とのコメントが出ていることから、レース本番になってブリンカーがない状況に戸惑うということもないでしょう。

 

97. 調教師も最後ということは意識している
当然のことですが、アルアインがこのレースで最後だと一番強く実感しているのは、調教師を含む陣営側でしょう。
池江調教師はインタビューの最後に一言求められると、「アルアインにとってはこれが最後のレースとなりますが、これまでアルアインを応援してくれたファンのためにも良い結果を出したいと思います」と答えています。
これはもう僕のためのコメントと言っても過言ではありません。
どのような結果で終わっても僕はこれからもアルアインを好きでい続けるでしょう。もちろん、笑顔で終わることを望んでいます。

 

98. 助手も状態が良いと褒めている
調教師とは別に、実際の育成を担当する「助手」という存在がいます。
アルアインを担当する音瀬助手は、「状態は本当にいい。ここ2走は走りきっていないのかも。中山も良い。ブリンカーを外して松山騎手で原点に戻る」とコメントしています。
ここ2走は走りきっていないというのは僕も同感です。アルアインはこんなもんじゃない。原点に戻り、有終の美を飾ってくれるはずです。

 

99. 騎手も状態が良いと褒めている

さらにはレース本番で騎乗する松山騎手もアルアインの状態に太鼓判を押しています。

「しまいの動きも良かったです。比較はできませんが、状態はいいと思います。距離はやってみないと分かりませんが、コースは合うと思うのでロスなく運びたいですね」

状態面では本当に問題がないのでしょう。

あとはもう本番でうまく先行し、道中は内ラチ沿いをロスなく進出、4コーナーから直線に入る辺りで先頭に並びかけ、短い直線を活かして迫る後続を抑え込んでゴール板に駆け込む。そういう競馬を期待するだけです。

 

100. 理外の競馬

ここまで書いておいてなんですが、僕にももちろん分かっています。

アルアインは正直厳しい。

買い要素があるかを最初に検討したところ、あらゆるデータがアルアインを否定していました。まともな頭をしていたら買おうとは到底思えないほどです。

これまでに示したデータと呼べるかも怪しいなにかは、かなり恣意的な情報を抜き出しており、内容としては「犯罪者は皆水を飲んだことがある、だから水は危険だ」レベルのものも多いです。

それでも僕はアルアインが活躍してくれんじゃないかと考えています。

そこには、ただただ「好きな馬に活躍して欲しい」という思いしかありません。

もちろんこんなものは予想でもなんでも無い、ただの願望です。

競馬はギャンブルであると同時に娯楽でもあるのです。

かつてアナウンサーの杉本清は言いました。「あなたの、そして私の夢が走っています」

競馬ファンは馬券買うとき、同時に夢も買っているのです。

データがアルアインを否定している。面白い、俺は来ると思っているぞ。理屈じゃないんだ、これだけ長い間活躍してきた馬が、俺が応援し続けてきた馬が、最後に何の見せ場もないままに終わるなんてあるはずない。皆が走らないと思っていた馬が走ったとき、皆はどういう顔をするんだろうか。

夢を見せてくれ、アルアイン

 

101. やっぱりアルアイン

そう僕は好きだからアルアインを選ぶ。それでいい。

 

 

馬券は明日買ってこよう。

秋山瑞人の源流を探る

僕は秋山瑞人という作家を崇拝していると言っても過言ではないほど耽溺しています。読んでいて気持ちよくなるほどに疾走感に溢れた描写、シンプルながらも緻密に練り上げられたことを感じられるストーリー、どれもが僕の琴線に触れまくり、かれこれ10年以上は彼の文章を読み続けています。

ですが、そんな彼にもたった一つの欠点がありました。

書かない。続編をいくら待ち望めど、それが出来上がってくることが無い。

秋山瑞人は異常なまでに遅筆でした。

10年以上読み続けていると書きましたが、これは何も新作を欠かさずチェックしているとかそういうわけではなく、ただただ同じ作品を繰り返し繰り返し読み込んでいるだけです。

現在出版されている作品のうち、短編を除く6作品中、完結したのは3作品のみ。デビュー作である「E.G.コンバット」に至っては、色々と事情があるにせよ、最終巻を残したまま20年以上が過ぎてしまっている始末。最新作の「DRAGON BUSTER」は2008年に一巻が、2012年に二巻が出たきりで音沙汰もなく、ファンの間では度々死亡説が飛び交ったほどです。

この死亡説は2018年にある作品と絡めた「UFOの日:秋山瑞人からのメッセージ」が発表されたことにより解消されたのですが、内容としては作家としての活動を辞めてしまうとも捉えられるものとなっており、一ファンである僕としても、数年ぶりに新作の文章が読めた喜びと、もう書かないと明言されてしまったような悲しみとで、複雑な思いになったのをよく覚えています。

 

新作を望む声は未だに枯れていませんが、それが絶望的なのもまた事実。

それならばせめてと、彼の読書歴をなぞることでわずかでも嗜好を理解し、また、それを取り込むことでほんの僅かでも秋山瑞人のエッセンスを己のものに出来ないものかと考えました。また、好きな人が好きなものは自分も楽しめるだろうという浅薄な考えもありました。

思いついた当時は、なんて素晴らしいアイデアなんだ!!と自分を褒めていたのですが、ある程度読み終わった今にして思えば、別に同じものを食って育てば同じものが出来上がるわけでもなし、思いつきにも程があるなあといった感じです。

ですが、やはり自分の好きなものの源流を探るという行為はどうしようもなく魅力的なものであり、また、読んだ作品自体も良質なもの揃いで楽しめたため、せっかくなので感想を書いて残しておきます。

今回はSFハンドブックに掲載されたSFマイ・ベスト5の作品を読みました。

他には「テイルチェイサーの歌」や「アルジャーノンに花束を」とかも読んだけど今回は割愛。

 

あらすじは図書館の蔵書検索で引っかかったやつをパクってきたやつ。短くまとまっていて良い仕事をしていますね。

 

 

・「エンダーのゲーム」

地球は恐るべきバガーの二度にわたる侵攻をかろうじて撃退した。容赦なく人々を殺戮し、地球人の呼びかけにまったく答えようとしない昆虫型異星人バガー。その第三次攻撃に備え、優秀な艦隊指揮官を育成すべく、バトル・スクールは設立された。そこで、コンピュータ・ゲームから無重力訓練エリアでの模擬戦闘まで、あらゆる訓練で最高の成績をおさめた天才少年エンダーの成長を描いた、ヒューゴー賞/ネビュラ賞受賞作!

 

5作品の中で最初に読んだ作品。2013年に映画化もされているし一般的な知名度は一番高いのかもしれない。翻訳がうまいのか、非常に読みやすくてスラスラ読めた。

エンダーは天才というだけあって次々と発生する試練をどんどんクリアしていくのですが、それは能力任せのいわゆる無双状態ではなく、時には真正面から、時には搦め手で、仲間と団結し成長を重ねながら、困難な試練に立ち向かっていく王道的なものでした。多分死ぬまでジャンプを読んでいる、いつまでも少年のままの僕にとって刺さらないはずがありません。気がつけば、最終章を3回読み返している僕がいました。

宇宙にいるエンダーが主題の物語ではあるのですが、地球にいるエンダーの兄と姉の物語も並行して展開されます。彼らもまた優秀で、二人の活躍だけでも一冊の小説として完成させられるのではないかと言うほどです。エンダーにとっても大きな存在である彼らは、物語の要所要所で存在感を増し、結末をより説得力のあるものへとしてくれます。

読み終わったその日に映画も見たのですが、まあこちらは見なくていいです。小説のほうはシリーズ化されており、まだまだ続編が出ているようなので、時間を見て読み進めていこうと思います。どことなくライトノベル的で、僕のように秋山瑞人からSFの世界に入っていこうという人には最初に読んでもらいたい一冊です。

 

 

・「サターン・デッドヒート」

土星の衛星イアペトゥスで、異星人の遺物が発見された。スペースコロニーにある大学の考古学教授クリアスらが表面の図形を解読した結果、驚くべきことがわかった。土星近傍には同じような物体がいくつか隠され、その指示に従えば、異星人が太陽系に残した“贈り物"のありかがわかるというのだ。クリアスは無限のテクノロジーをコロニーのものとすべく旅立ったが、この情報を入手した地球側も急遽宇宙船を派遣。かくして宇宙船同士の白熱したレースが、苛酷な環境の土星系で展開されることになった。最新の科学情報を存分に駆使したファン待望のニュー・ハードSF登場。

 

「エンダーのゲーム」に比べると、かなりSF要素が強まった作品。主要な登場人物は主人公クリアス含めおっさんばかり、主人公の相棒である天才少年も早老症で妙に大人びて描かれている、平均年齢高めの作品です。しかし、だからといって熱が無いわけではなく、物語が展開されるに従って、どんどん熱量を上げてくる、SFにして良質な冒険物語でもありました。

最初は探索にも興味がなく、覇気がなかったクリアスでしたが、途中からは人が変わったように気力が充実し、ただの考古学者だった身でありながら土星探索に加わるようになります。天才少年ジュニアとの名コンビっぷりも見逃せないものがあり、二人のやり取りにはニヤリとさせられるところもありました。

僕はSFというジャンルは、読者が実際には見たことのないものを提示する以上、どこまで細部にハッタリを効かせた文章を示すことが出来るかが重要だと考えているのですが、この作品はそのあたりもしっかりとカバーしており、スペースコロニーでの生活や、土星近傍の探索の描写には妙な現実感がありました。特に土星を眺めるクリアスの描写には、自分も土星を眺めたらこうなるのではないかと錯覚させられるほどでした。

終盤へ向かいながら加速していく熱量は最後に爆発し、ページを捲る手が止まらなくなることでしょう。SF的な描写に抵抗があると楽しむことが難しいかもしれないですが、冒険活劇として読めばそんなことは気にならないほど熱くなれるかもしれない。

 

 

・「大いなる天上の河」

広大な宇宙へ向かって人類はようやく進出しはじめていた。だが、有機生命を敵視する機械文明との遭遇が、人類の運命を大きく変えてしまった。有機生命の抹殺をもくろむ機械文明により、地球と人類は徐々に破滅の道へと追いやられていく…それでも人類は生き延びていた。銀河中心にある年老いた恒星をめぐる惑星スノーグレイド。メカと呼ばれる機械生命の惑星改造のため、寒冷化と砂漠化が進められているこの惑星で、人類は戦いつづけていたのだ!科学者作家ベンフォードが、人類と機械文明の未来を壮大なスケールで描きだす傑作ハードSF。

 

これは読むのが本当にキツかった。ストーリー自体は大変に魅力的で、ジャンルとしても大好物なのですが、如何せん翻訳がきつく、何が書かれているのかピンとこない描写が多すぎて何度も読むのを挫折しそうになりました。

あらすじからも分かるように、ディストピア寄りのポストアポカリプスものという感じです。作品内の固有名詞が非常に多く、当然のように知らない言葉が登場してくるので最初は読むのが大変でした。ただ、読み進めていくうちにそれが何を指しているのか、どんなものなのかが徐々に理解できるようになっていき、終盤ともなると固有名詞だらけの文章でも全く気にならなくなります。このあたりは秋山瑞人も同じですね。文章自体が難解なのは相変わらずなので、こちらの方が理解しにくいところがありますが…。

この時代を生きる人類は我々とは文化も様相もかなり異なっています。それぞれのグループを率いるキャプテンの指示のもとで暮らし、食料を手に入れたりメカと戦ったりしながら放浪の旅を続けています。彼らは身体の一部を機械化しており、電波を感じ取り、電脳化したご先祖様から知識を得たりすることでなんとか生き長らえていました。

設定的には大好きになれそうなのに、肝心の文章がきつすぎるせいで、イマイチ物語に入り込めなかったのが残念でした。ただ、終盤あたりの展開は、ようやく物語を理解していたこともあってか、主人公であるキリーンに感情移入して楽しむことが出来たような気がします。

敵のはずであるメカのマンティスとキリーンの関係が面白く、普段触れる作品が機械と人間の温かい交流であったのに対し、こちらはキリーンは生き延びるために、マンティスは人間のことを知るために、とそれぞれの利害を考慮した冷徹な交流(というか交渉?)になっているのがなかなか新鮮でした。

このあと「光の潮流」に続くこともあってか、ストーリー的にはそこまで山場はありません。謎もかなり残されたままとなってしまいました。正直、中盤のだれた展開を読んでいるあたりで何度か寝そうになった。文章さえ良ければなあ。

 

 

・「クローム襲撃」

全世界のコンピュータ・ネットワークの織りなす情報の宇宙、電脳空間。おれたちは神経系をデッキに直接つないで、この空間に侵入するスーパーハッカーだ。つぎのターゲットはクローム。暗黒街のボスが築いたこのデータの砦を切りくずし、大金をかすめ取ってやる…疾走感あふれるシャープな展開の表題作ほか、『ニューロマンサー』のヒロイン、モリイの若き日々を描く「記憶屋ジョニイ」、さらに記念すべき処女作や、盟友スターリングとの共作など、サイバーパンクSFの旗手として各方面から熱い視線をあびるギブスンが、ハイテク未来を鮮やかに描ききった全10篇を収録!

 

「大いなる天上の河」→「光の潮流」を一気に読むのは不可能と判断したため、最後に読もうと思っていたこいつを先に読みました。恐らく秋山瑞人が大いに影響を受けているであろう「ウィリアム・ギブスン」の短編集です。サイバーパンクというジャンルを語る上で避けて通れない一冊なのでしょうが、僕はまだサイバーパンクの何たるかを理解できていないので、普通に楽しんで読みました。

最初の3篇あたりまでは文体に慣れていないからか、内容がいまいち頭に入ってこず、なんとなくで読み進めていたのですが、途中から急に内容をつかめるようになり、また最初から読み返すというよくわからないことをしていました。

表題作の「クローム襲撃」や、似た世界観の「記憶屋ジョニィ」も楽しんで読めましたが、どちらかと言えば「ニュー・ローズ・ホテル」や「ドッグファイト」、「辺境」あたりの暗い雰囲気が漂う作品のほうがより楽しめたので、ギブスンの書く悲しさのようなものの方が好きになれるのかもしれない。

あの秋山が惚れ込んだ作家、文章なのだから間違いなく面白いはずだ!と思い込んで読み始めてしまっていたのですが、どうも僕には向いていなかったのか、そこまでドハマリすることはなさそうです。もちろん楽しめるし面白いとは思えたのですが、平均よりはちょっと上というほどです。ですが、思い返せば僕が最初に秋山瑞人の文章に触れたときは、「読んでも意味がよく分からない」というどうしようもない理由で読むのを止めてしまっていたので、どこかで急にギブスンにハマる日も来るかもしれません。とりえず次は「ニューロマンサー」を読んでから考えます。

 

 

・「光の潮流」

はるかな未来、有機生命の抹殺をもくろむ機械生命メカの仮借ない攻撃に、惑星スノーグレイドの人類は滅亡寸前にまで追いつめられていた。ビショップ族のキリーンとその仲間は、メカの襲撃に窮地に立たされながら、古代地球人の遺産である宇宙船〈アルゴ〉を発見し、スノーグレイド脱出に成功、新たな故郷を求めて旅立った。そしていま、彼らの前に居住の可能性を示す惑星が現われた。メカのものらしいステーションを避けて惑星に着陸しようとしたキリーンたちだったが、突如〈アルゴ〉が制御不能におちいりステーションに向かいはじめた…。

 

「大いなる天上の河」の続き。前作に比べると哲学的な色が強くなったような気がする。前作で敵として描かれていたメカに加え、今作からはポディアというサイボーグの種族が登場します。ポディアたちは人類よりもはるかに進んだ存在であり、メカをも討ち滅ぼす力を持っています。人類のことは単なる「下等生物」としてしか見ていません。このポディアの一人であるクゥアートと変わらず主人公のキリーン、それぞれの視点が入れ替わりながら物語は進行していきます。

キリーン側で理解できない現象が発生していた裏ではクゥアートが糸を引いていたり、それぞれの事情が作用して展開されていくストーリーには引き込まれるものがありました。

当初はキリーンたちを「下等生物」として見下していたクゥアートでしたが、キリーンを通じて人類を理解していくうちに、いつしか人類と対等な関係になっていきます。そして最後には…、となるのですが、どうやらこのシリーズはまだ続いているらしく、一旦の区切りを置いたところで物語は終了します。

前作からの謎が解決するんだろうと思って読み進めていたのですが、さらなる謎が増えて終わってしまったことを理解し、呆然とすることしか出来ませんでした。

ただ、「E.G.コンバット」で出てきた自由落下坑(ブラジルエクスプレス)の元ネタとしか思えないネタが出てきた時にはテンションがぶち上がりました。登場させる舞台装置は同じでも、作者によってアプローチにこういう差が出るのかと、源流を探りはじめて一番強く実感出来た箇所です。

ここで「大いなる天上の河」と「光の潮流」を読んでいて感じたことを無理やり説明すると、作者であるベンフォードはこの作品を通じて人類が存在する意味を問いかけようとしているのではないかということが挙げられます。この世界には人類より遥かに優れた存在であるメカ、ポディアがいます。人類は追いやられるだけの存在で、暮らしていくためにメカの設備を利用したりと、もはや自力で生きていくのも困難な有様。そんな中で人類が生きていく意味とはなんなのか。

ベンフォードは作品の中で「夢見る脊椎動物」という表現を使いました。夢を見ないメカと対比させた表現なのでしょうが、ここに人類が存在する意味があるのでしょう。

ストーリーは好きなのに文章がきつくて読む気がしないという妙な作品ではありますが、せっかく続きが出ているようであればどこかのタイミングで読んでみようかなと。流石にすぐに読む気はしませんが…。

 

 

5作品程度では源流を探ったとは到底言えないので、これからもこの活動は継続して進めていこう。

以下、源流を探るためのリスト

・「テイルチェイサーの歌」(読了)

・「宇宙の孤児」(読了)

・「アルジャーノンに花束を」(読了)

・「鼠と竜のゲーム」

・「餓狼伝

・「姑獲鳥の夏

・ウイリアム・ギブスン

ブルース・スターリング

9月15日~16日

 どうやら僕にはまともに日記を書く能力が欠如しているようですので、前回の日記では気がつけば指が勝手に訳のわからない文章を綴っていました。今回はまともに書く、書くんだ。

 

 

9/15(日)

 

 この日から友人5名と共に金沢まで1泊の旅行に行っていました。友人たちと旅行だなんて充実しすぎだろ…、と思われるかもしれませんが、実際充実しているのですからどうしようもありません。

ありがたいことに、道中全てにおいて僕が運転を任されていたのですが、前日には日付が変わるまで麻雀を打っていたことに加え、なぜか出発早々に僕以外の皆が寝る、あるいはソシャゲに夢中になって無口になってしまうという、ある種いじめのような状態が発生してしまい、僕は開いた口が塞がりませんでした。

というか同乗者の中には前日の麻雀に誘ったにもかかわらず、「旅行前に疲れるようなことはしたくないから」と断っていたものもいたのですが、出発早々に寝てるあたり、何一つ意味が分かりませんでした。

そんなわけで、ただでさえ居眠りをかましやすい僕の睡眠欲は大いに刺激され、楽しい旅行が危うく、HEAVEN'S DRIVEと化してしまうところでしたが、それでもなんとか無事に金沢へと到着することができました。スピード出しすぎてあの世まで連れ去られるところだった。

 

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食事はやけにこだわる友人がいたので任せていたのですが、どうやら餃子が美味い店があるらしく、そこへ行くことに。ただ、言っちゃあなんですが、王将の餃子の方が美味かった。よくある「観光地にある有名店だから普通でも美味いように感じるけど、実際は普段食べてるチェーン店の方が美味しいんじゃない?」って感じの味でした。誰も口には出していなかったけど、そういう顔してた。

昼食後はかの有名な兼六園へ。確かに景色としてはかなり美しいところがあり、見ていて飽きないなと思うところはあったのですが、いかんせん人が多すぎました。隅っこの方を見ていても、視界の端にちらちらと人が入ってくるため、それが純粋な美しさを損なわせてしまっており、非常にもったいないと感じました。

そんなことを友人たちに話していたのですが、どうやら彼らはそういうことが全く気にならないようで、逆に「異常者」の烙印を押されてしまいます。なんで!?きれいな景色って独り占めしたくならないの!?そう抗弁しましたが、その意見すら受け入れてもらえず、さらに「人嫌い」の称号まで賜る始末。それでも僕は自分の意見を曲げることはしませんでした。こういうところは立派だと思います。やっぱ、どう考えても人がいないほうが景色は映えますからね。美しい。

 

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兼六園をぐるっと見終わると、次はお隣りにあった21世紀美術館へ。こうみえても僕は美術館に二、三回という途方も無い回数は行ったことがあるくらい、芸術に対して造詣がある男ですので、この美術館ではどのような絵画が拝めるのか、非常に楽しみにしていました。残念ながら有料エリアは長蛇の列ができており、諦めざるを得なかったのですが、それでも無料エリアが結構な広さで開放されており、十分楽しめそうです。

そんなわけで、目についたエリアに飛び込んだのですが、絵画のようなものは全く見当たりません。その代わりに何だか意図が良くわからないオブジェみたいなのがあるばかり。このあたりでようやく気がついたのですが、どうやらここは現代芸術と呼ばれるものをメインで扱っている美術館なようです。まあそりゃそうですよね、名前に「21世紀」とか入ってるし。

どうやら僕が期待していたような絵画などを拝むことは出来なさそうですが、それでも折角だからと館内を巡ってみました。すると、なぜだか分かりませんが、ある展示物の中に僕の大好きな漫画である「封神演義」の単行本を発見。テンションが上りかけましたが、よく展示物を見ると、それは全く意味がわからないというか、ぶっちゃけゴミの集まりにしか見えない、何も感じられないものだったため、テンションの代わりに何かがぶち上がってしまいました。

 

藤崎竜の傑作である「封神演義」を!!こんな訳のわからない作品に!!他のゴミと一緒に置いておくんじゃない!!というか、人様の漫画やらなにやらを並べるだけってどこが芸術なんだよ!?これだから現代芸術とかいうジャンルは嫌いなんだ!!芸術ってつければ何やっても良いと思ってんじゃねえぞ!!せめて自分の作ったもので勝負しろよ!!

 

生意気にも作者の情報が堂々と書かれていたため、僕はおもわず、主に新聞記事を用いた文書の作成、および投書などの行為に身をやつしてしまいそうになったのですが、それはただの気持ち悪いオタクにしかならないなと冷静に気がついてしまったため、思いとどまりました。我ながら大人になったなと感心してしまいました。

なんか悪口しか書いてませんが、もちろん良いところもありました。それが、「ふしぎな花倶楽部 中部花の輪いしかわ押し花 合同展」です。すごいクオリティの押し花が並べられている様は圧巻で、それでいて隣では作者であるおばちゃん達による体験会が開かれているという、親近感を感じさせる空間はまさしく芸術でした。あんなにも、花に見とれていたのは初めてのことかもしれない。

なぜ金沢に行ってまで、地元のおばちゃんが作った押し花を見ているのか、今考えるとまったくもって意味が分かりませんが、他の展示物がどうでも良すぎたのが大きかったのかもしれません。今の時代、非常にコメントしづらい存在へとなってしまったLGBTな方々の写真をひたすら展示してあるブース(壁一面にホモセクシュアルな方々の写真が貼られているだけで、見ている人達が何を楽しんでるのか一切わからない不気味な空間でした!)や、天井に大きな正方形の形に切り取られた窓のあるエリア(どうやら切り取られた空を楽しむ空間のようでしたが、どう考えても兼六園でみた景色の方が楽しかったのであまり心に響きませんでした)など、受け手がどう感じるか問いかけるようなものが多く、それが僕に合わなかっただけのような気もしますが。

あと、友人が提案した「勝手に作品の名前をつけ直す」という遊びが案外面白いものでした。一人一つずつタイトルを出し合い、互いに投票することで誰がセンスあるか競っていたのですが、あるものはギャグに走り、あるものは真っ当に良いタイトルをもってくる、思いつきで始めたにしては中々楽しめる遊びでした。

 

その後は一部の熱望もあり(主に僕)、近くの温泉へ。これが、湯涌温泉という場所だったのですが、どうやら「花咲くいろは」の舞台として登場していた温泉だったようで、自販機や銭湯にポスターがたっぷりと張ってありました。中には声優直筆のサインが書かれているものもあり、意味不明にもテンションが上ってしまっていました。21世紀美術館では抑えられていたはずが、やっぱり気持ち悪いオタクになってしまっていました。というか、僕は「花咲くいろは」を1話しか見てないのに、なんでテンションを上げていたのでしょうか。自分でも意味が分かりませんでした。

風呂を上がると良い時間になっていたので、そのまま夕食へ。金沢は海に近いこともあり、海鮮が美味いらしく、それは回転寿司であっても変わらないという情報を掴んでいた友人の勧めで、市街地にある回転寿司へ。正直、昼食のことがあったので、あまり期待はしてなかったのですが、昼間の店はなんだったのかと思うくらい、寿司は美味かった。普段あまり笑わない友人も寿司を頬張った途端、初めて見るレベルの笑顔を見せていたので相当な美味さだったのでしょう。こっちはそのへんの回転寿司とは比べ物にならなかった。

宿では昼間に買い込んだ酒を飲みながらダラダラと過ごしていたのですが、これがまた飲みやすく、ぐいぐいといけてしまいます。危うく意識が持っていかれるかと思ったのですが、翌日に運転が控えていることを思い出し、なんとか無事に就寝することが出来ました。僕は責任感の強い男です。

 

 

9/16(月)

 

この日は昼前にのっそりと起き出し、のどぐろ丼を食べに行きました。先に言ってしまうと美味いしか書くことが無いのですが、まじでのどぐろは美味かったです。こちらもかなりの有名店らしく、開店直後くらいに行ったのに、既に僕たちでのどぐろ丼が完売になってしまうほど、お客さんが殺到していました。

僕は普段、メジャーなものになびいてしまうと自分の中の大事なものが壊れてしまう、と未だに中学生のような考えを手放せないでいるのですが、今回の旅行で、「食事に関しては有名店に行くほうが良い」という、割と皆が実践していることに今更ながらに気がついてしまいました。あと、観光地はどんどん便乗してくるものだということにも、改めて気がつくことが出来ました。金沢からは金箔をのっけてりゃいいんでしょ?って空気を感じました。

 

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食後は大きく足を伸ばし、福井県東尋坊へ。道中に競艇場を見つけ、東尋坊よりもこっちに行ったほうが楽しいんじゃないかと盛り上がるどうしようもなさを存分に発揮した僕たちでしたが、鋼の意志で一路東尋坊へ。

男6人で東尋坊に行ったところで自殺くらいしかすることがないんじゃないかと思っていましたが、実際に行ってみるとこれがなかなか景色の良いところで、正に断崖絶壁といった装いの崖から波打つ日本海が見渡せ、遥かな水平線の果てまで突き抜けるような青空が広がっていました。嘘です。ほんとは結構雲が出ていました。ですが、それでも正直に言ってしまうとテンションが上りまくる景色でしたので、落ちないように細心の注意を払いながらも(落ちたら普通に死にます)、崖のあちらからこちらまで移動して写真撮影なぞにうつつを抜かしていました。

そうすると横から、最近の若者といった感じの連中がやってきて、ひょいひょいと崖から崖へと身軽に飛び移っていくではありませんか。彼らは命が惜しくはないのでしょうか。それを見ながら、「一人くらい落ちてくれたら面白いな、海がだんだん赤く染まったりするんだろうか」と実に不謹慎なことを考えていると、風に煽られて僕のほうが落ちそうになっていました。マジやべー。神様ってやつは見てる。

東尋坊では結構な長居をしていたのですが、これは別に「景色に見とれていたから」という高尚な理由ではなく、「競馬のメインレースの発走時刻が迫っているにも関わらず、まだ予想が固まっていないから」というどうしようもない理由からでした。どうやら近場の競艇場は躱せても、遠方の競馬場は躱せないようです。ちなみに、1時間くらい悩んだにもかかわらず、全員完膚なきまでに外れました。

その後は「海を眺めている後ろ姿」って格好いいのでは?という考えのもと、各々が海に向かってポーズを取りながら、交代で撮影を行うというなかなかに洒落た行いをしてきました。しかし一つ解せなかったことは、他の皆は今すぐにでも自分のアイコンとして使えそうなくらいバッチリ決まった写真になっていたにもかかわらず、僕の写真は「おや?自殺場所の下見に来たんですかな?」というくらい謎の悲壮感が漂う写真になっていたことです。他の写真もラリったキチガイが海に向かって叫んでるようなのしかありませんでした。

 

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「神様ってやつは見てるんだね」

「何の話?」

「私はやっぱり死ぬしかないんだよ。ここまで来て、やっぱりそう思うよ」

「死ぬしかないなんてことはないよ。こち亀両さんも言ってたよ。死のうなんて考えるもんじゃない。まずは生きる、そこからどう生きるかを探せば良いんだって」

「なにそれ。今更そんな言葉でやめると思ったの?両さんが言ってたからって何になるのよ」

「ごめん。たしかに今かけるような言葉じゃなかったね。でも君に死んでほしくないってのは本当なんだ」

「そう言われてもねえ。私はもう決めちゃってるわけだし」

「なんでそんなに死にたがるんだ?生きてりゃ良いことがあるとは言わないが、まだ経験してないことだってあるだろうに」

「別に今が楽しくないから死にまーす!なんて軽いノリで死ぬって言ってるんじゃないよ。ちゃんと未来のことまで考えて、それでもやっぱり、死ぬしかないなって」

「未来のこと?」

「そうそう。今が楽しくないのはもうどうしようもないと思うんだよね。でさ、一応未来のことも考えてみたわけ。それでもやっぱり、どうしようもないんだなって」

「何がどうしようもないのさ」

「全部だよ。大学行っても学びたいことなんてないし、趣味と呼べるものもない、やりたい仕事だって当然ない。それでも人は食べていかなきゃいけないでしょ?そのために無理やり仕事を探して、それを何十年も続ける。楽しみもないのに苦しみだけ味わうために生きるだなんて、生きていてもしかたないじゃない」

「…」

「私はさ、いい子じゃなかったよ。だからこんなになっちゃったのかな?なんて、こんなことも死ねば考えられなくなるのにね。いや、考えずに済むって言ったほうが正しいのかな?」

「君が死ぬ必要なんてないさ」

「なんで?なんでさっきから止めようとしてくるの?」

「要するにだ、君は今に退屈しているんだろ?そして、それがこれからも続くと思っている」

「そうよ、間違ってる?」

「ああ、間違ってる。間違ってるね。退屈なんてもんは、自分と周りの有り様でいくらでも解決できるんだ。俺が君を退屈から救ってやる」

「出来もしないのに簡単に言わないで!あなたに何が出来るっていうのよ!」

「簡単なことさ、今からだってそいつを示してやれる」

「どうして私を助けようとするの?私は死にたいって言ってるのに」

「言ってるだろう。君に死んでほしくない。君が好きなんだ」

「え…」

「まずは俺が君を救ってやる。この世は決して退屈なんかじゃない、それを教えてやる」

「…、一体何をしようっていうのよ」

「きっと俺は今この瞬間、君を救うために今まで生きてきたんだ。君がくだらないと思っているものにだって、命を賭けられるものが存在する、いまからそいつを見せてやる」

「だから、一体…」

「いいか!今から俺は君の代わりに飛び降りる!高さは相当なもんだが、下は海だ。うまく落ちれば助かるかもしれない。もし俺が無事にここへ戻ってきたら、もう二度と死ぬなんて言わないでくれ!」

「え…、ちょ…」

「返事は上がってから聞かせてくれ!君の退屈を解消するためにも、俺は飛ぶ。絶対に戻ってくる!それからまた、続きを話そう。それじゃあ!」

「だから待ってって!行っちゃった…」

 

 

 

「え…、海めっちゃ赤くなってるじゃん。あんだけ大見得きっといてマジ?なんか、救ってやるだの教えてやるだの、やけに上から目線だったのに、これはないわー。こっちの返事も聞かずに勝手に納得して飛び込んじゃうし、なにが返事は上がってから聞かせてくれだよ、あり得ない。」

「でもまあ、あんなのでも大人になれたんだよね。そう思うと、私なんてまだまだ大丈夫じゃん。それに今から死んだらあいつと心中したみたいで嫌だしね」

 

そういう救い方も、きっとある。

 

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9月14日

必死になって思い出そうとしてみたのですが、どうやっても9月上旬の記憶が出てきませんでした。一度どこか大きな病院に行ったほうがいいのかもしれません。そういえば、上司からも一度病院にかかったほうが良いんじゃないかとアドバイスを受けていたことを思い出しました(業務時間中でもかまわずに寝まくるから)。

 

 

9/14(土)

 

 一ヶ月ほど前から、「誰が一番麻雀強いのか、それをハッキリさせたい」と強者を求めて放浪している格闘家のようなことを友人が言い出してしまったため、この日は朝から晩まで麻雀を打っていました。

一月前からお互いの友人に声を掛けていたにも関わらず、当日集まったのは7人という中途半端な人数で、しかもそのうち4人が一時間以上遅刻してくるという、どうしようもないまでの人望の無さを露呈してしまう催しになってしまったことについては、ただただ悲しむばかりです。

麻雀自体はつつがなく進行し、約12時間にわたる激闘を無事に終えることができました。なぜか遅刻してきた人が先に帰ってしまうというハプニングもあり、結局僕はずっと打ちっぱなしという状況にさせていただけたため、お陰様で1諭吉程度負けさせていただくことができました。ありがとうございました。

どうやら僕は距離の概念が随分とズレてしまっているらしく、会場となった雀荘には自転車で赴いていたのですが、どうやら他の人たちは皆当然のように電車で来ており、一人で帰るハメになってしまったのですが、そこで事件が起きました。 

 

「えぐっちゃん!?えぐっちゃんやろ!?」

交差点を横断していると、突如後ろから大きな声が聞こえてきました。何事かと振り向いてみると、そこにはすれ違ったばかりの男性が一人、驚いた顔でこちらを見つめていました。

「えぐっちゃん!」

どうやら彼は僕をえぐっちゃんと勘違いしているようです。そろそろ日付も変わろうかという時刻、街灯も少ない交差点だったため、見間違えてしまったのでしょう。

嬉しそうにこちらに近づいてくる彼には悪いのですが、もちろん僕は江口ではありませんし、彼のことだってビタイチ知りません。。まあ近くに来たら流石に勘違いしていることに気がつくでしょう。せめて彼が恥ずかしくならないように、陽気に対応しよう。そんなことを考えているうちに、彼が目の前までやってきました。

「えぐっちゃんやん!!」

いやいや。

いくら暗がりだからって1メートルくらいしか離れてないのに間違えるか?しかも、この喜びよう。恐らく彼と江口くんは相当に仲が良かったものと思われます。それでも間違えるのか?

ちなみにここまで僕は一言も発していません。彼が勝手に「えぐっちゃん」で盛り上がっているだけです。ですが、このまま放っておけば、彼の中で僕が「えぐっちゃん」として確定してしまうのは明らかでしょう。そこで僕は冷静に言い放ちました。

「えぐっちゃんじゃ、ないです」

今思えばもっと言いようがあったのではないかと思いますが、当時は近づいてきてなお、僕を「えぐっちゃん」と言い張る彼に驚くあまり、そう返すのがやっとでした。

「えぐっちゃんじゃ、ないん?」

 本人が否定しているにも関わらず、何故かあくまでもお前は江口だろう?と疑ってくるスタイル。学問の出発点として疑問を持つということは大切ですので、もし彼が江口の研究者ではあったならば、さぞかし良い研究者になったことでしょう。しかし、恐らく彼は江口の研究者ではないし、僕もそうではありません。ここはただ僕が江口ではないことを信じてもらいたいところです。

「ちゃうよ」

まだ納得がいかないのか、マジマジと僕の顔を見つめてきます。とりあえず、僕のドッペルゲンガーの名前が江口であることはもはや確定したと考えていいと思います。それにしても、ここまで疑われるとなんだか自分の存在に自信がなくなってきます。もしかして僕はどこかでこの男にあったことがあるんじゃないだろうか、その時に江口と名乗っていたのではなかろうか。いや、もしかして自分は本当は江口そのものだったのではないか、今までの記憶だと思っていたものは偽りで、実際には江口として活動していた時期があったのではないか。

世界五分前仮説というものがあります。詳しい説明は省きますが、これは世界は五分前に始まったもので、今ある五分以上前の記憶は五分前に植え付けられたものなのではないかというものです。

同様の理屈で、僕が僕として始まったのが五分前なのかもしれない。今まで家族と思っていた、友人と思っていた人たちは皆記憶の中でのみ過去から存在しているだけで、実際には今まで何の関わりもない生活を送っていたのかもしれない。そこでは僕は江口で、目の前にいる男となんらかの深い関わりがあったのでしょう。

 

そしてある時、元江口はまた別の人間として生まれ変わるために、突如として彼の前から姿を消したのです。街中を疾走し、今はまた別の存在になった江口を探す彼。詳しい説明は省きますが、時空超越者として生きる元江口は、定期的に自らを別の存在に書き換えねば、この時代に存在できないことを彼は知っていたのです。もう逢えないかもしれない、この時空に存在するのかも分からない。それでも探さずにはいられない、えぐっちゃん…、君は一体どこにいるんだ。

いつしか時は過ぎ、彼は長い学生生活を終え、立派な社会人になっていました。今ではえぐっちゃんのことを思い出す頻度は減ってしまっていましたが、完全に忘れてしまうということはありませんでした。街中で似たような人を見つければ目で追ってしまうし、毎年出会った日には、未だに取り壊しになっていない、鮮烈な出会いの場であった廃墟にも行っています。そこが取り壊されない限りは、またえぐっちゃんに会えるような気がして…。

えぐっちゃん、俺はなんとかやっていけてるよ。結局、あの頃話していたような旅打ちにはなれなかったけど、世間では良いって言われている会社に入ってひいひい言いながらも頑張ってついていけている。君は俺の未来を知っていたりするのかな?今思うと変な意地はって「俺は実力で当てるんだ!既に確定した出来事を知ってギャンブルで稼ごうだなんてヌルい考えは持ち合わせていないぞ!」だなんて言わずに、もっと君から未来の情報を集めておけばよかったかもな(笑)。そうすれば、こんな毎日仕事に追われることもなかっただろうから。でも、どこかでこれで良かったんだと思う俺もいるんだ。出会ったばかりの頃の俺はもうどこかに行っちまったよ。今じゃ君と馬鹿やってた頃と同じくらいか、それ以上に毎日を楽しめているような気がする。別に君のことを忘れるだとかそういうことじゃないんだ。ただ、君が君の時空に生きるように、俺は俺の時代に生きなきゃならない。

君が今どこにいるのかは知らない。でもそれでも良いんじゃないかって思えるんだ。だってそうだろ?もともとは会うはずのない二人だったんだ。いつまでもお互いのことを知ってなきゃいけないなんてそんなことはないはずさ。確かに寂しく思うときもあるよ。でも、君と楽しくやってきた記憶があるから、辛いときだって楽しく生きていける。君が今どんな状態なのかは知らないけど、俺との思い出は残ってないかもしれないけど、どこかで力になれているのなら嬉しく思う。それに最近、予感がするんだ。どこかでまた君に会えるんじゃないかって。えぐっちゃんじゃなくなっているかもしれない、それでも君に会えるんじゃないかって。

 

そして二人はまた出会うのです。

夜の交差点で。

すれ違いは一瞬、それでも彼には十分だった。

「えぐっちゃん!?えぐっちゃんやろ!?」

 

物語が動き出す。